「解雇に解決金」導入答申 規制改革会議 - 東京新聞(2015年6月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015061702000109.html
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政府の規制改革会議(議長・岡素之(もとゆき)住友商事相談役)は十六日、雇用や農業、医療などの分野で規制緩和策の答申を決め、安倍晋三首相に提出した。焦点の不当に解雇された労働者に支払う「解決金制度」について導入検討と踏み込んだ。農地の集約に向けた耕作放棄地の課税強化も明記した。
安倍首相は、答申を受け「提言をしっかりと実行していくことが私たちに託された使命だ」と強調。改革実行に向け「スピード感を持って前に進めたい」と表明した。
解決金制度は、裁判で解雇が無効との判決が出た場合、職場復帰ではなく金銭の支払いで決着する仕組み。労働者に金銭解決の選択肢ができることで早期決着が見込め雇用の流動化が進む一方、安易な解雇につながるとの問題が指摘されている。労使の代表や有識者が今後、具体的な制度設計を議論する見通しだが、利害対立で調整が難航する可能性もある。
政府は、答申を新たな成長戦略に反映。規制改革実施計画を策定し、成長戦略と経済財政運営の指針「骨太方針」とともに月内に閣議決定する。
答申は経済界の要望を受けた解決金制度の導入検討のほか、耕作放棄地への課税強化を打ち出した。農地は固定資産税が低く抑えられているため、耕作しない農地を保有したままでは税負担を重くする仕組みを検討する。農地集約による大規模化を進めやすくする。
医療では、患者の服薬情報を一元的に管理する「かかりつけ薬局」の要件を明確にする。普及すれば薬の飲み残しや重複を防ぎ医療費の抑制効果が期待できる。調剤薬局医療機関と別の場所に置く「医薬分業」について、経営が独立していることを前提に分業規制の緩和も要望した。
理髪店と美容院が兼業できない規制を見直し、従業員が全て理容師と美容師の双方の資格を持っている店に限り兼業を認める。
自民党の規制改革推進委員会も十六日、地域活性化に向けた規制緩和策などを盛り込んだ提言を政府に提出した。