米首都で原爆展 「投下は誤り」伝えねば - 東京新聞(2015年6月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015061702000155.html
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現在でも米国民の大半は「原爆投下が日本を降伏させて戦争終結を早め、さらに多くの犠牲者が出るのを防いだ」と言い、正当化する考えが根強い。米研究者には、日本を攻撃したが、戦後台頭するとみたソ連を核の威力で威嚇するのが大きな目的だったとの分析もある。ワシントンのスミソニアン博物館には、広島に原爆を投下した爆撃機エノラ・ゲイ」が展示されているが、地上でどんなことが起きたのか説明はない。
日本側の資料は、核兵器を国際政治の視点ではなく、人間の体と心を通して考えるべきだと訴えている。被爆直後だけで二十万人以上が死亡し、深刻な後遺症をもたらした原爆の投下は誤りだったと伝えたい。
核廃絶の歩みは進まない。米、ロシアなど核保有国が核兵器を削減する「軍縮」、新たな保有国をつくらせない「不拡散」の論議はともに最近、目立った成果がない。
一方、「核兵器禁止条約」の制定を目指す動きもあり、既に百七カ国が賛同している。日本政府は核の非人道性をめぐる議論に積極的に関与して、指導力を発揮する努力が求められる。