(あのとき・それから)昭和15年 斎藤隆夫の反軍演説 議会除名、翼賛体制へ加速 - 朝日新聞(2015年6月6日)

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(1940年)
今年4月の参院予算委員会。政府が提出をめざしていた安全保障関連法案を「戦争法案」と批判した社民党福島瑞穂議員の発言に対して自民党が反発、議事録からの削除・修正を求めた。
福島議員の発言は結局そのまま残されたが、国会内での議員の発言が問題視されて議事録から消された例は過去にもある。そのうち最大の事件に発展したのが1940(昭和15)年、斎藤隆夫の「反軍演説」だ。
兵庫県但馬地方の農家に生まれ苦学の末に衆議院議員となった斎藤は、男子普通選挙制の実現に尽力。軍部の政治介入を徹底的に批判し国家総動員法に反対するなど、立憲政治家として知られていた。
2月2日、衆院本会議。斎藤は質問演説で、政府・軍が日中戦争の収拾を誤り長期化を招いたと厳しく論難した。陸軍は「聖戦の目的を侮蔑するもの」と猛反発した。
議会と政党は軍に迎合する。議長は演説の3分の2以上を議事録から削除。労働組合を基盤とする無産政党社会大衆党も、斎藤の除名を率先して求めた。やがて大勢に従う形で、斎藤自身が属する民政党も除名賛成を決めた。
斎藤の除名は3月7日の本会議で採択された。賛成296、棄権・欠席144。反対はわずかに7票だった。