安全保障法制の方向性を読み解く(元内閣法制局長官 阪田雅裕さん) - 第三文明(2015年6月8日)

http://www.d3b.jp/politics/5407

政府・与党によって取りまとめられた「安全保障法制整備の具体的な方向性」。法律的観点から見た問題点について聞いた。

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今回の恒久法による自衛隊海外活動も、国連決議に基づくものに限られるのであれば問題ないと思います。しかし、「関連する国連決議」がある場合にも自衛隊の派遣ができるということだとすると、いったいこの「国連決議」をどのように特定するのか。恒久法の性格上、アフガンやイラクのときのように個別具体的な国連決議を挙げるわけにはいきませんから、国際法上の正当性が裏付けられ、自衛隊派遣の歯止めとなるように「関連する国連決議」なるものを書き表すことができるのかどうか、非常に気がかりな点です。
ただ多国籍軍武力行使に「関連する国連決議」というだけだと、どんな場合でも自衛隊多国籍軍と一緒に行動できることになってしまいます。
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ただ、今回の取りまとめで気になるのは、「国際社会の平和と安全への一層の貢献」のところで、PKO以外の国際的な活動への参加に言及している点です。
PKO以外の活動として挙げている「国連が統括しない国際的な平和協力活動」とは、何を想定しているのでしょうか。
それが人道復興支援ならばまだしも、「安全確保活動」(抵抗勢力を押さえこむ治安・掃討作戦)のようなものまでに広がるとすると、結局、米軍が主導する活動に、いつでも、どこででも参加することができるようにするための措置ではないか、と考えてしまいます。