民主主義を破壊する解釈改憲は阻止すべき(北海道大学大学院法学研究科准教授 中島岳志さん)- 第三文明(2014年6月25日)

http://www.d3b.jp/constitution/4173

今行われようとしている、解釈改憲による集団的自衛権容認は、立憲主義、民主主義を崩壊させる暴挙である。
立憲主義の危機
安倍晋三政権は現在、解釈改憲によって集団的自衛権行使を容認しようとしています。これは大変な問題です。「国民が国家のあり方を規定する」という構造を根本的に崩壊させてしまうからです。
通常の法律は、国家が国民に対して「××をやってはいけません」と縛る禁止条項です。たとえば人を殴ってケガをさせたときには、刑法違反で処罰されます。
対して、憲法はベクトル(方向)がまったく逆で、「言論の自由を抑圧してはいけません」「奴隷的拘束をしてはいけません」といったように、国民が国家に対する命令条項を決めているのです。
解釈改憲が可能になれば、憲法の条文に手を加えるまでもなく、内閣のなかで実質的改憲が自己完結してしまいます。実は国民主権と言っても、その主権が大きく関与できるのは立法府だけです。その立法府を飛ばしたところでさまざまなことが決定されると、私たちの主権が関与していないことになります。
憲法は国民が国家を縛るものです。その禁止条項は行政にかかっているのにもかかわらず、行政の側が自分たちを規定している憲法を勝手に変えられるとなると、憲法が有名無実化してしまいます。