へいわのうた 9条を描き出す人たち(3) 憲法朗読 パフォーマンス:神奈川 - 東京新聞(2015年5月5日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20150505/CK2015050502000150.html
http://megalodon.jp/2015-0505-1026-37/www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20150505/CK2015050502000150.html

◆現代芸術家・花崎 草さん(横浜市港北区
昨年夏の東京・新宿。歩道に散らばった二十人の女性が小さな紙片を取り出し、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し…」と、憲法九条の条文を一斉に朗読し始めた。集団的自衛権の行使容認を問題視した有志が仕掛けた、「フラッシュ・モブ」と呼ばれる路上パフォーマンスだ。
その中に、現代芸術家の花崎草(かや)さん(28)=横浜市港北区=がいた。多摩美術大で油絵を学んだ後、パフォーマンス芸術を深めるため東京芸術大大学院に進学。在学中に東日本大震災を経験し、脱原発デモに参加したことがある。
音読パフォーマンスでは、道行く人が奇異の目を向けてきた。「怖い」と避ける人も。花崎さんは「カルト宗教と思われたのかな」と苦笑しつつ、「条文を読んでいるだけなのに怖いというのは、正体が分からないから。憲法の存在が遠いという、今の日本を象徴している」。あぶり出したのは、改憲問題をめぐる国民の無関心だった。
自身は改憲特定秘密保護法原発再稼働など、最近の政府の「暴走」に明確に反対だ。しかし、作品に賛否の意思を込めることはしない。身の回りの社会問題に独自の感性でスポットを当て、見る人が深く考えるきっかけをつくるのが、作品の役割だと考える。九条の音読は「なんで、こんなことしているんだろう」と、疑問に思ってもらうのが狙いだった。