改憲の入り口探る自民 国民の抵抗感緩和狙う - 東京新聞(2016年7月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201607/CK2016070902000142.html
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自民党は第二次安倍政権の発足から三年半、国民の反発を受けずに実現できる改憲のテーマを探ってきた。最大の目的である九条改憲に最初から切り込めば、国民投票で否決される可能性が高いとみているからだ。別の条項で改憲の実績をつくり、国民の抵抗感を和らげる狙いがある。
安倍晋三首相がまず目を付けたのが、九六条が定めた改憲要件の緩和だ。二〇一四年二月の国会では、改憲が実現しない要因に九六条を挙げ、「国民が(改憲を)議論する機会を奪っているから変えようということだ」と明言。発議に衆参両院で必要な賛成を三分の二以上から過半数に変えようとした。ただ、手続きから入る姿勢は与党からも「裏口入学」と批判され、結局は断念した。
次に新条項の追加が浮上した。具体的には(1)緊急事態条項(2)環境権の新設(3)財政規律条項−だ。災害時や戦時に国会議員任期を延長する内容を盛り込む緊急事態条項には、野党も一定の理解を示した。自民党は一五年五月の衆院憲法審査会で野党に協議を呼び掛けたが、安全保障関連法を巡って与野党の対立が激化し、審議は中断した。
一方、自民党は同六月、「一票の格差」を巡り違憲性が指摘される参院選挙制度改革の一環で、都道府県ごとに一人の議員を選出できるようにする条文を憲法に加える方針を了承。参院選公約でも、この方針に言及した。 (我那覇圭)