憲法記念日 「すべて安倍のせい」と護憲派が横浜でスパーク -産経新聞(2015年5月3日)

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憲法記念日の3日、各地で改憲、護憲両派の集会が開かれた中、横浜市西区臨港パークでは「平和といのちと人権を! 5・3憲法集会〜戦争・原発・貧困・差別を許さない〜」(実行委員会主催)が行われた。会場には作家の大江健三郎さんら護憲派の人々が3万人以上集まった(主催者発表)。それぞれが安倍晋三首相を「安倍」と呼び捨てで批判し、集団的自衛権反対を訴えた。
司会を務めたのは、女優の木内みどりさん。「いろいろなグループの思いは同じではないかもしれないが、憲法を守りたいという気持ちは一緒です」とまくしたてた。
作家の雨宮処凛さんは「この暑い中、熱中症で誰か倒れたら全部安倍のせい」と最初から“戦闘モード”。貧困問題と戦争の親和性を主張し、「戦場に行くのは貧しい人たち。(集団的自衛権行使で)命を使い捨てられるような人が国内からも生み出されるのではないか。経済や何かのために人の命が犠牲になる社会を止めたい」と訴えた。
次いでスピーチした大江氏は、安倍首相が4月29日に米上下両院合同会議で行った演説に対し「あまりにも露骨な嘘。だが(日米両国で)はっきりとした拒否の言葉が述べられることはなく、それをどうひっくり返すかが大きな問題だ」と断じ、会場からは大きな拍手が起こった。安倍首相が夏までの安全保障関連法案の成立に決意を示したことにも「安倍は日本の国会で(そのことについて)はっきり述べて、われわれ日本人の賛同を得たことはない」と強調した。
大江氏はさらに、この日配布されたパンフレットに書いてある「私たちは、『平和』と『いのちの尊厳』を基本に、日本国憲法を守り、生かします 集団的自営権の行使に反対し、戦争のためのすべての法制度に反対します」というメッセージを自身の考え方の根本にあると紹介。「自分がこれだけ大勢のみなさんの前で語るのはこれが最後」と語った。
憲法学者樋口陽一東大名誉教授は、盟友だった俳優、菅原文太さんの「政治には2つの役割がある。ひとつは国民を飢えさせないこと。もうひとつ、絶対に戦争をしないこと」という“遺言”を引き合いに出し、「今の政治は憲法が目指してきた方向と何から何まで正反対の方向に日本を引っ張ろうとしている。憲法を壊し、自由闊達な言論を貶め、彼ら政治勢力自身の先輩政治家が作り上げてきたはずの戦後史そのものをないがしろにしている」と糾弾した。
作家の沢地久枝さんは「私は安倍晋三とその周りにいる政治家、それから軍需産業でもうける経済人たちに絶対反対。安倍という人はアメリカに行って、国会にもかけず、選挙民にもかけず、アメリカと約束をまた結んだ。あの人は平和とか命とか大事な言葉をあんなに汚くした。政治家としては珍しい。私たちは今、あの人を引きずり下ろしてやりたいと思う」と感情をあらわにし、「戦後70年間、日本は戦死者を1人も出していない。こんな国はないんです。この次の段階になったとき、戦後70年間戦死ゼロできた歴史が切り替えられた年が2015年だった、とならないようにがんばっていく」と結んだ。参加者からは「その通りだ」「アホ政権!」などの声が飛んだ。
精神科医香山リカさんも「私たちはこの憲法を変えるどころか、まだ使い切ってもいない。今の憲法さえ使いこなせていない政権に憲法を変える資格はない」と持論を展開した。
集会には民主党長妻昭代表代行、共産党志位和夫委員長、社民党吉田忠智党首ら野党幹部も登壇し、「戦争立法反対の一点で協働し、安倍政権のたくらみを必ず打ち破ろうではありませんか」(志位委員長)と共闘を呼びかけた。
生活の党と山本太郎となかまたち山本太郎共同代表も飛び入り参加。「政府の面を被った人間たちが根底から覆そうとしているこの憲法、何が何でも守りましょう」と叫んだ。