「侵略事実と謝罪は別」 70年談話有識者懇・北岡氏-東京新聞(2015年4月11日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015041102000131.html
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戦後七十年の安倍晋三首相談話に関する有識者懇談会で座長代理を務める北岡伸一国際大学長は十日、東京都内のシンポジウムで講演し、戦後五十年の村山富市首相談話にある「植民地支配と侵略」などの文言について「そのキーワードが入るかどうかの議論は矮小(わいしょう)ではないか」と、継承するかどうかをめぐる議論に疑問を示した。「侵略という事実があったかどうか。談話に書くかどうか。それを謝罪をするかどうか。全部別々の問題だ」とも語った。 

懇談会の有力メンバーである北岡氏は三月上旬の講演で、先の大戦に関して「安倍首相に『日本は侵略した』とぜひ言わせたい」と述べ、首相に「侵略」の文言を継承するよう促す考えを示していた。

しかし、十日の講演では「五十年と七十年で言うことが多少違ってくるのは当然だ。百年たっても村山談話と同じ言葉を使うか議論するのか。そんなばかなことはあり得ない」とした。

侵略の定義については「他国の意思に反して軍隊を送り込み、人民を殺傷し、大幅に主権を制限することだ」と説明。一九三一年の満州事変などは「明らかに侵略だ」と指摘した。一方で、七十年談話の記述に関して「謝罪の言葉について、今さら書かなくてもいいというのは、十分理屈がある」と述べた。

七十年談話に「侵略」を明記するかどうかをめぐっては、三月十三日に開かれた有識者懇談会で賛否両論の意見が出ていた。