ユネスコ宣言 大人こそ学んで下さい-東京新聞(2014年11月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014111302000155.html
http://megalodon.jp/2014-1113-1023-01/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014111302000155.html

再び子どもたちへ。国連・持続可能な開発のための教育(ESD)の十年を締めくくる、名古屋のユネスコ会議が幕を閉じました。もっと学びが必要なのは、やっぱり私たち、大人のようですね。

貧困解消や環境保護など、ESDのテーマについて、引き続き学びを深め、実行に移していきましょう−。

「あいち・なごや宣言」は満場一致で採択されました。十年はひと区切り、これからも取り組みを続けていこうということです。

折しもその日、北京の米中首脳会談で、世界最大の温室効果ガス排出国の中国は、ガスの排出源になる化石燃料以外が国内の消費エネルギーに占める割合を約20%にする、二位の米国は二〇二五年までに〇五年比で最大28%ガスを減らすと、世界に訴えました。

本当にできるかな、という不安は残ります。でも両大国が、温暖化対策に向けて、新たな行動を起こしたことは間違いありません。

ESDって、持続可能って何なのか、一朝一夕に理解が及ぶテーマではありません。それでも、たとえば温暖化対策について、私たち一人ひとりが今すぐ何か行動を起こすべきではないか、と気づく、きっかけにはなりました。

そしてその責任はまず、これまで地球を壊し続けてきた、私たち大人にあるということも。

閉会式のフィナーレで「ESDあいち・なごや子ども会議」の小中学生が、私たち大人に突きつけたメッセージは宣言以上に強烈でした。みなさんの代弁でしょう。

「持続可能な社会とは、未来を考え、お互いを思いやり、人間だけでなく、すべての生き物が、ともに幸せに生きる社会です」

環境や平和、文化について学び、考え、話し合いを重ねた子ども会議の結論です。

そして「持続可能な社会づくりを難しくしているのは、とどまることを知らない人間の欲、自分勝手なわがままな気持ち。意識や関心が低く、知識が少ないことなんです」と。耳が痛くてたまりません。今学び、考え、気づくべきは誰なのか。

子どもたちは希望も示します。

「いろいろな問題の原因をつくっているのは人間ですが、それを解決していくのも人間です。だから大人のみなさんも、本気になって取り組んでください」と−。

未来を生きるみなさんからの重い宿題、私たちは、しっかり受け止めなければなりません。