秘密保護法 言わねばならないこと(8)原発情報も闇の中 環境経済学者 大島 堅一氏-東京新聞(2014年1月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2014010702000104.html
http://megalodon.jp/2014-0107-1115-57/www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2014010702000104.html

政府は原発推進の理由に、火力など他のエネルギーよりも発電コストが低いとされることを挙げているが、その計算方法は示してこなかった。二〇〇一年に、経済産業省が情報公開請求に応じて開示した資料も黒塗りだった。電力会社の内部情報だからだという。

原発のコストに関する情報なんて、外交や防衛に比べれば大したデータではない。それでも出さない。政府の主張に根拠がないと感じたことが、自らをコスト試算へと駆り立てた。

その結果、原発のコストは政府の主張よりも二倍も高く、火力などよりも高コストだと分かった。政府の主張に根拠はなかった。

環境に関する政策研究を続けていて痛感するのは、日本は「歴史」がない国だということだ。行政の歴史が次々に廃棄され、検証することが非常に難しい。


秘密保護法が施行されれば、そんな政府の隠蔽(いんぺい)体質はますます強まる。

政府は、原発に関する特定秘密は警備情報などテロ対策に関わるものだと説明する。だが、米国は原発がいかに防護されているかをあえて公開することでテロを防いでいる。日本の秘密保護法は反対に特定秘密にして隠そうとしている。


なぜか。日本は原発の脆弱(ぜいじゃく)さを国民に見せたくないからだ。本来なら、防護を強化すべきなのに、それをせず、もろさを隠そうとする。政府のご都合主義そのものの法律だ。