「立件」この不可解なマスコミ用語ーPC遠隔操作事件・5か月目の報道検証(下)-楊井 人文 | 日本報道検証機構代表・弁護士(2013年6月25日)

http://bylines.news.yahoo.co.jp/yanaihitofumi/20130625-00025901/
http://megalodon.jp/2013-0625-0840-58/bylines.news.yahoo.co.jp/yanaihitofumi/20130625-00025901/

いずれにせよ、事件報道における「立件」は、送検や起訴と同列の客観的概念ではなく、多くの場合「起訴見込み」という警察側の意向を反映した判断や記者の予想が入り混じった曖昧な概念であり、その使い方に明確なルールもない。にもかかわらず、「立件」報道は、その客観的な響きとともに読者に「クロ」(推定有罪)と印象づける効果がある。送検時まで白紙状態のはずの検察に起訴を促すプレッシャーとなる可能性もある。
「立件」と報じて不起訴となった事件も、現に存在する。事件報道は天気予報ではない。「立件」などと言わずに淡々と「警察の捜査終結により書類送検した。今後、起訴するかどうかは検察官が判断することになる」と伝えるべきではないのか。最後に、「立件」などという曖昧な用語は極力使うべきでない、と指摘したマスコミOBもいることを記しておきたい。