保育の現場 潜む虐待 突き飛ばす、怒鳴る、差別する - 東京新聞(2018年11月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018111602000147.html
https://megalodon.jp/2018-1116-0939-37/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018111602000147.html

乳幼児を預かる保育施設で、保育士が子どもを突き飛ばす、怒鳴るなど不適切な対応をするケースがあることが、保育士らの労働組合「介護・保育ユニオン」(本部・東京都世田谷区)が初めて実施したアンケートで浮かび上がった。人手不足で余裕をなくしている様子が背景にうかがえる。 (奥野斐)
アンケートは今年六〜八月、関東や東北地方の保育施設で働く組合員にインターネットで実施し、二十五人が回答。職場で保育士や職員が虐待に当たるような行為をしたのを見たことがあるか尋ねると、二十人が「ある」と答えた。
「言うことを聞かないからと三歳児にいすを投げる」「食事を無理やり口に詰め込む」「園児を差別する」「動画サイトを見せて放置する」。また、「園長が子どもの前で職員を怒鳴る」など面前DVのような場面も報告された。
自分自身が感情的に対応してしまった経験も、十人が認めた。原因として「一人で二十人以上の子どもを見ていた」「休憩が取れず、サービス残業が多い」「先輩のパワハラがあった」などストレスを抱えていたことを挙げる人が多かった。「子どもがかわいいと思えない時がある」と打ち明けた人もいた。
ユニオンの担当者、池田一慶(いっけい)さん(39)は「行政の定める保育士の配置人数は少なすぎ、過重労働で保育士が追い詰められている」と分析する。

保育の現場 人手不足、パワハラ…ストレスか 「本当は子ども一番に考えたい」 - 東京新聞(2018年11月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018111602000146.html
https://megalodon.jp/2018-1116-0941-19/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018111602000146.html

「本当はみんな、子どもの立場に立った保育がしたい」。アンケートに回答した一人、神奈川県内で働く保育士の女性(30)は、苦しい胸の内を語った。
「ギャー」。数カ月前、担任する一歳児クラスから、男児の悲鳴のような泣き声が聞こえた。別の保育士に引き継いで帰宅しようとした時だった。続けてその保育士の怒鳴り声。慌てて部屋に戻り、保育士に声を掛けたが、何事もないように振る舞われた。
翌朝、男児の左腕には、強くつかまれたようなアザが。園長に事情を聴かれた保育士は、翌月辞めた。
別の保育所では、年配の保育士が、トイレに失敗した一歳の女児を突き飛ばし、電気を消した暗いトイレに閉じ込めた。泣きやまないと、自分の握りこぶしを女児の口に押し付けて黙らせた。女性は「ひどいと思ったが、ほかの子の世話で精いっぱい。何も言えなかった」。副園長に報告したが「あの先生がするわけがない」と問題にされなかった。
国の基準で保育士一人が見る園児数は、認可保育所ではゼロ歳児が三人まで、一、二歳児六人、三歳児二十人、四、五歳児は三十人。現場を回すぎりぎりの人数で、トラブルなどで誰かがかかりきりになると、ほかの保育士が見る子どもの人数が増える。
女性も、十五人の二歳児を約一時間半、一人で見た経験がある。子どもたちがあちこち動き回り、けんかも始まった。「『ここに座っていて!』と強く叱ってしまった。何かあってはいけないという緊張感でつらかった」と打ち明けた。
都内の認可保育所で働く女性(53)は、公園で他園の保育士が散歩用のカートに園児を大勢乗せ、怒鳴っているのを見かける。砂場内だけで遊ぶよう指示し、出ようとすると「言うことを聞かないなら帰りなさい」と叱りつける。
「少ない保育士で大勢の子どもを安全に散歩させるのは大変。子どもを一番に考えられる保育ができるように、人手を増やして」と訴えた。

<税を追う>歯止めなき防衛費(3)進む日米一体化 軍事戦略の一翼担う - 東京新聞(2018年11月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018111602000133.html
https://megalodon.jp/2018-1116-0943-29/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018111602000133.html

四回目の核実験、続く長距離弾道ミサイルの発射。二〇一六年二月、北朝鮮の挑発行為に半島情勢は緊迫の度合いを増していた。
その頃、海の向こうの米連邦議会では、地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の日本導入が話題に上っていた。「アジア太平洋に配備されているわれわれのイージス艦の任務を軽減するのではないか…」
議員から日本配備による米国のメリットを問われたハリー・ハリス米太平洋軍司令官(当時)は、質問を途中で遮り断言した。「もちろんだ」。まるで米国のミサイル戦略の一角を日本が担うと言わんばかりだった。
昨年末、日本は地上イージスの導入を決めた。トランプ米大統領が日米首脳会談で、安倍晋三首相に大量の防衛装備品の購入を迫った翌月のことだ。
ハリス氏は今年二月の米下院軍事委員会でも日本の地上イージス導入の効果を聞かれ、「私や海軍、太平洋艦隊の負荷の一部を軽減することになるだろう」と明言した。日本国内では今も、「トランプ氏に買わされた」との声がくすぶる。
地上イージスを運用する陸上自衛隊でトップの陸幕長まで務めた冨澤暉(ひかる)氏は、日本で先にミサイル弾道を探知すれば米国は迎撃しやすいと分析。日米一体の運用を見据えた配備とみる。「日本にとってミサイル防衛はあったほうがいいが、米国は日本を守るためだけに売るわけではない」
政府が配備候補地に挙げるのは、陸自の新屋演習場(秋田市)とむつみ演習場(山口県萩市、阿武町)。北朝鮮から秋田、山口に向かう延長線上には、それぞれ米軍基地のあるハワイとグアムが位置する。
もし、北朝鮮がグアムを狙ってミサイルを発射したらどうするのか。防衛省の答えは「地上イージスで対応することも理論上は考えられる」。日本を守るための兵器が米国を守るために使われる可能性を認めた。
「地上イージスだけでなく、どんどん日米の軍事一体化が加速している」。民主党政権で防衛相を務めた北沢俊美氏は、第二次安倍政権下での日米同盟の変貌ぶりに目を見張る。
転機は一五年九月、他国を武力で守る集団的自衛権の行使に道を開いた安全保障関連法の成立だ。自衛隊の戦闘機や護衛艦が、米軍機や米艦を警備するケースが増えている。日米安保政策に長年かかわってきた米国務省の元高官でさえ、「五年前にはあり得なかった光景だ」と言う。
官邸で安保政策を担当する薗浦健太郎首相補佐官は「今や日米同盟は、かつてないほど強固。揺るぎない絆により、同盟の抑止力・対処力は大きく向上し、日本の安全はより確固たるものになった」と主張する。
今年九月、海上自衛隊は中国が進出を強める南シナ海で潜水艦の訓練を実施したと発表した。「極秘であるはずの潜水艦の行動を公表することは、本来ありえない」。北沢氏は異例の公表に、米国にすり寄る日本の姿を重ねて続けた。「集団的自衛権が容認された証しとして世界にアピールする。おもねってるんだ、米国に」

(政界地獄耳)スタートから間違えた入管法改正 - 日刊スポーツ(2018年11月15日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201811150000229.html
http://archive.today/2018.11.16-000859/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201811150000229.html

★政府は入り口のアプローチから間違えたといえそうだ。入管法改正、事実上の移民法は本来、法務省が万全を期す陣容で国会に挑むはずのものが、お寒いほどのスカスカの内容で、つまり法案といえるものではない。移民または外国人労働力の安易で乱暴な受け入れ体制といえる。12日、国会内で「外国人労働者 野党合同ヒアリング」が開催され、6野党・会派の代表や国対委員長が出席し、4万人といわれる受け入れ見込み数や失踪技能実習生への聴取データなどの提出を求めたものの、法務省は見込み人数については「精査中」、聴取データ(聴取票)については「検討中」を繰り返した。

★時間稼ぎは結構だが、法務省は入管の拡大で省益拡大になる。喜んでいるか否かはともかくもこの強引な財界要求に応えようとする人手不足対策は、この合同ヒアリングに参加した17人の実習生の涙ながらの訴えを聞けば、徴用工の再来や現代の奴隷制度といわれても仕方がない。現行の外国人技能実習制度の実態、建前の制度の抜本的見直しは大前提になるだろう。7日の参院予算委員会で法相・山下貴司は「技能実習の反省に立って新制度を作っている」としたが、ブローカーの介入が奴隷制度につながる現実をどう対応するか。意図的なザル法が留学生を苦しめているはずだ。

★人手不足といいながら我が国の失業者は150万人。彼らをほったらかしにしたまま、それでも外国人を受け入れたいのは安価で使い捨ての労働力だと考えているからではないのか。また賃金体系も外国人労働者の水準に合わせて日本人の本給を下げる理屈に使われかねない。そもそも外国人労働者と言い張り、段階的に受け入れてきた移民の実態をいまだに認めない政府の方針の転換から、この議論はスタートしなければ意味がない。(K)※敬称略

失踪実習生の調査結果 政府きょう公表 集計だけの方針 - 東京新聞(2018年11月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201811/CK2018111602000140.html
https://megalodon.jp/2018-1116-0945-05/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201811/CK2018111602000140.html

入管難民法などの改正案を巡り、政府は十六日の衆院法務委員会理事懇談会で、失踪した外国人技能実習生に関する調査結果を公表する。立憲民主などの野党各党は、劣悪な低賃金労働が指摘される実習生の労働環境を正確に把握するため、個々人の聞き取り結果を記した「聴取票」を示すよう求めているが、政府はプライバシーの保護を理由に、十六日は回答の集計だけを示す方針だ。
法務省は二〇一七年に失踪した七千八十九人の実習生のうち、不法残留などの入管難民法違反で検挙された二千八百九十二人に、失踪理由などに関する聞き取り調査を実施。86・9%の二千五百十四人が「より高い賃金を求めて」失踪したと野党側に説明していた。
しかし、聴取票の失踪理由に関する質問は、回答の選択肢として「低賃金」「契約賃金以下」「最低賃金以下」などが並ぶが「より高い賃金を求めて」という選択肢はない。野党が十五日に実施した法務省に対する合同ヒアリングで、立民の長妻昭政調会長は、同省の説明を「捏造(ねつぞう)に近い」と批判した。
聴取票の質問は失踪理由のほか、実習生が母国の「送り出し機関に支払った金額」や借金の有無、労働時間や賃金など、技能実習の実態把握につながる項目が並ぶ。
このため、野党側は十五日の衆院法務委理事会で、実習生の氏名などの個人情報を非公開にした上で、聴取票を開示するよう要求。与党側は、来週以降に野党側が聴取票の一部を閲覧できるよう調整すると説明した。十六日は聴取票の回答の集計と、外国人労働者を五年間に最大約三十四万人受け入れるとした政府試算の算定根拠を示す。
野党側は、開示内容が不十分な場合、審議拒否も辞さない構え。 (木谷孝洋)

(大弦小弦)「外務省が成果を強調しても、国民がそう考えなければ・・・ - 沖縄タイムス(2018年11月16日)


https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/345572
https://megalodon.jp/2018-1116-0945-55/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/345572

「外務省が成果を強調しても、国民がそう考えなければ何の意味もない。日米地位協定改定に向けた世論を高めていきたい」。運用改善が最善と言う政府の姿勢へのダメ出し。誰の言葉だと思われるだろうか

▼何を隠そう、15年前の河野太郎外相である。自民党の国会議員有志による「日米地位協定の改定を実現し日米の真のパートナーシップを確立する会」で幹事長を務める改定積極派だった

▼それが、今やどうだ。「一部を取り出し比較することには意味がない」。米軍に国内法を適用するドイツやイタリアの例を引き合いに迫る野党議員の質問を一蹴した

▼閣内に入れば政府方針に縛られる事情も分からぬではないが、権力を手にした時こそ、自らの信念を具現化するのが政治家の醍醐味(だいごみ)ではないのか

▼相互防衛義務を負うNATO加盟国と、米国への基地提供義務にとどまる日本では、協定が違って当然とする認識も解せない。批判を押し切り、安保法制で自衛隊任務は格段に広がった。日米の役割分担が変わったのだから、協定の在り方も共に論議すべきだった

▼イタリアのディーニ元首相は調査で訪れた県職員にこう述べた。「米国の言うことを聞くお友達は日本だけ。米国は日本を必要としている。うまく利用して立ち回るべきだ」。この助言、河野外相はどう聞くだろう。(西江昭吾)

<金口木舌>県民のために - 琉球新報(2018年11月16日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-834875.html
http://archive.today/2018.11.16-004828/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-834875.html

大きな荷物を下ろしたかのように晴れ晴れとしていた。2009年7月の衆院解散で勇退した仲村正治さんを取材して記事を書いた

▼前年9月に不出馬の意向を表明しており、「やっと引退」と柔和な笑顔を浮かべた。重鎮として自民党沖縄県連を率いる責務から解放され、安心したのだろう。内閣支持率が下がり続ける自民党には厳しい時期だった
▼そのさなか、サトウキビの新価格制度や沖縄科学技術大学院大学学園法の審議など、沖縄にとって重要な施策の政党間調整に力を尽くした。「県民のためだ」という言葉を何度も耳にした
▼戦後の厳しい時代を生きた政治家として、時には自民党中央の方針に沿わない言動もあった。最終的には党の方針に従ったが、グアム協定ではグアム移転と嘉手納より南の基地返還の「パッケージ」に反対の声を上げた
▼誤った沖縄の歴史認識は許さなかった。新進党所属のころの特別委では、県民が合法的に米軍に土地を貸したとする閣僚の答弁に「略奪手法による土地取り上げの非合法性の正当化は認められない」と憤った
自民党復党後、高校教科書検定では、文科省に対し沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」の記述に軍関与を明記するよう訴えた。「基地問題になると、共産党のよう」(政府首脳)との声も聞かれた。自民党政権にも厳しい視線と追及を忘れない気骨のある人だった。