子どもの一時保護所、まるで刑務所 もっと予算の拡充を 聞き手・藤田さつき - 朝日新聞(2018年7月24日)

https://www.asahi.com/articles/ASL7L52X3L7LUPQJ00N.html
http://archive.today/2018.07.23-224732/https://www.asahi.com/articles/ASL7L52X3L7LUPQJ00N.html

慎泰俊さん(起業家)

親から虐待を受けている可能性がある子どもを救う方法の一つに、児童相談所が緊急的に避難させる一時保護があります。しかし、保護された子どもたちが生活する「一時保護所」が、傷ついた心をケアするような場所でないことは知られていません。
私は2015年以降、約10カ所の一時保護所を訪ね、2施設には住み込んでルポを書きました。驚いたのは、一部の一時保護所における刑務所のような雰囲気です。外壁は高く、窓は閉じたままで外へ出ようとすればセンサーが鳴る。食堂には1列に並んで入り、食事中は私語禁止。学校にも通えず友達へ連絡を取ることもできません。
なぜ、こんなに厳格なのか。職員に聞くと「子どもを守るため」と言います。押しかけてくる親もおり、非行を理由に保護された子どももいる。トラブルを防ぐため、無用な子ども同士の交流は避ける、ということでした。
現状を調べたのは、立ち上げたNPOでの活動がきっかけです。施設で暮らす子どもらを支援するなかで、保護所でのつらい経験を聞きました。裕福とは言えず、大変な家庭も多かった地域で育った私にとって、彼らの話はひとごととは思えませんでした。
過去には体罰を振るっていた所もありました。もちろんすべての保護所がこうした状態ではなく、子どもの権利を尊重していた施設もあります。ただ施設による差が大きい。また一時保護所の滞在期間は2週間以内が望ましいとされていますが、最近は児相の人手不足などの理由で平均30日と長期化しています。
現状を変えるには、国による監査で施設の質を全国比較するなどの情報公開が不可欠です。個々の子どもに合わせたケアをできるように児相の職員も増やすべきでしょう。保護所に代わって里親が子どもを預かり、地域から離れずに生活できる一時保護委託も増やしてほしいと思います。
こうした対策を実現するにはお金がかかります。しかし経済協力開発機構OECD)の統計では、日本の家族・子ども関連の公的支出は36カ国中、下から8番目。日本の政治家が重視する施策は、自分たちに投票してくれる高齢者を向いたものなのです。子どもの福祉を訴える人たちの声は、あくまで子どもの「代弁」。事実より情に流されやすい日本の政治では通りづらいのかもしれませんね。
そもそも子育てはお金がかかるものです。親が無償で行う労働を行政が担う場合、どうしても多額の予算が必要になります。資源に乏しい日本が、このまま人を育てようとしなければ、経済成長は望めず国は貧しくなるばかりです。「未来」のために、子どもにもっとお金を使う国になってほしいと思います。(聞き手・藤田さつき)

     ◇

しん・てじゅん。1981年生まれ。途上国の貧困層に金融サービスを提供。2007年にNPO法人「Living in Peace」を創設。

公文書対策 本質に目つぶったまま - 朝日新聞(2018年7月24日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13602594.html
http://archive.today/2018.07.23-234350/https://www.asahi.com/articles/DA3S13602594.html

公文書管理法が2011年に施行されて以来、この1年余ほど、公文書の信頼性に疑問が投げかけられ、管理のあり方が問われたことはあるまい。
森友・加計問題にPKO日報の隠蔽(いんぺい)……。あるものをないとウソをつき、都合の悪いものは怪文書扱いする。揚げ句の果てに内容の改ざんに手を染めた。
法が唱える「民主主義の根幹を支える」制度の危機だと認識し、文書管理のあるべき姿を根底から見直す。それが政権がとり組むべき最大の課題のはずだった。だが、「再発防止に全力をつくす」という首相の言葉とは裏腹に、本気で向きあう気はなかったと言わざるを得ない。政府が先週まとめた対策は、問題の本質に目をつぶったまま、形を取り繕っただけだ。
目玉は、特定秘密保護法を制定した際、内閣府に設けた「独立公文書管理監」に新たな役割を加え、政府の文書管理を横断的に点検できるようにしたことだ。省庁に資料を求めたり調査させたりする権限を、首相に代わって行使するという。
だが森友・加計問題で問われたのは、その「首相」の姿勢ではなかったか。省庁や自治体にある記録が、なぜか官邸側には一切残されていない。そして、その疑問にこたえる姿勢を、官邸はついぞ見せなかった。
そんな状態を放置したままで内閣府の役人に何が期待できるか。国民の側を向いた、真に「独立」したポストとして機能するのか、甚だ疑わしい。
政権の逃げの姿勢は、国会の事実上の閉会日にこの対策を公表したことからもうかがえる。国会は閉会中審査を開き、政府の考えをただすべきだ。与野党を問わず立法府全体が愚弄(ぐろう)されたことを忘れてはならない。
一連の問題以降、「なるべく文書を残さないようにしよう」という本末転倒の考えが霞が関に広がる。公文書であるべき記録が個人メモとされ、米国では丸ごと保存される幹部職員のメールは、いまも次々と消されている。当の官僚からも「官邸での打ち合わせで、メモをとるなと叱られることが増えた」といった声が聞こえてくる。
こうした事態に今回の対策は何も打ち出せていない。期日がきたらメールを自動廃棄するシステムを停止すべきだという、与党ワーキングチームの提言も採り入れられなかった。
改ざんや廃棄はなぜ行われたのか。真相は解明されず、不信の渦中にいる人々の手でまとめられた対策である。「根幹を支える」制度は揺らいだまま、民主主義の漂流が止まらない。

共産・小池氏「自民党、基本的人権語る資格ない政党に」 - 朝日新聞(2018年7月24日)

https://www.asahi.com/articles/ASL7R74VTL7RUTFK01Q.html
http://archive.today/2018.07.23-220602/https://www.asahi.com/articles/ASL7R74VTL7RUTFK01Q.html

自民党杉田水脈〈みお〉衆院議員が、同性カップルを念頭に「子どもを作らない、『生産性がない』」と行政支援を疑問視した寄稿をしたことについて)無知、無理解、悪意に満ちた偏見で、あまりに悪質な発言。生産性がないというのは、個人の尊厳を根本から否定する妄言だ。議員の資質に関わる重大な発言だ。
杉田議員個人の問題ではない。比例代表として公認し、国会議員にした自民党の責任が問われる。杉田議員は、(ツイッターの)ツイートで、大臣クラスの自民党議員からも、「間違ったことを言っていない」と言われたと。誰なのか明らかにする必要がある。
発言の全面的な撤回と謝罪を求めたい。こういうことを放置していたら、自民党基本的人権、LGBTの尊厳について語る資格のない政党だとなる。(記者会見で)

同性カップルは「生産性なし」 杉田水脈氏の寄稿に批判 - 朝日新聞(2018年7月23日)

https://www.asahi.com/articles/ASL7R4SB9L7RUTFK00L.html
http://archive.today/2018.07.23-115316/https://www.asahi.com/articles/ASL7R4SB9L7RUTFK00L.html

自民党杉田水脈(みお)衆院議員(比例中国ブロック)が月刊誌への寄稿で、同性カップルを念頭に「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がない。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」と行政による支援を疑問視した。人権意識を欠いた記述だと批判が上がっている。
寄稿は18日発売の月刊「新潮45」が掲載。「『LGBT』支援の度が過ぎる」と題して、「『常識』や『普通であること』を見失っていく社会は『秩序』がなくなり、いずれ崩壊していくことにもなりかねません」などと主張した。
SNSで「優生思想だ」といった批判が広がると杉田氏は22日、自身のツイッターで、先輩議員から「間違ったこと言ってないんだから、胸張ってればいいよ」などと声をかけられたとし、「自民党の懐の深さを感じます」と投稿した。
しかし、党内からも批判が相次ぐ。武井俊輔・前外務政務官は19日、寄稿を念頭に「劣情を煽(あお)るのは政治ではなくて単なるヘイト」とツイッターで指摘。橋本岳・同党厚生労働部会長は朝日新聞の取材に「生きづらさを抱える人たちが、自分らしく生きられるようにするための福祉行政全般を否定していると受け止められかねない」とした。
当事者団体も23日、抗議声明を発表した。LGBT法連合会は「LGBTに限らず広く人権の観点から、『生産性』を引き合いに出す主張は疑問」と指摘。LGBT理解増進会は「重大な懸念」を表明し、自民党本部に善処を申し入れた。
杉田氏は23日、月刊誌の発売後に「ゲイだと名乗る人間」から殺害予告のメールが届いたとして赤坂署に被害届を提出し、関連するツイートを削除。その後、朝日新聞の取材には「コメントできない」と語った。
杉田氏は2012年に初当選し、2期目。元次世代の党で、自民党が昨年の総選挙で比例中国ブロックに、比例単独候補としては最上位の17位で擁立した。(二階堂友紀)

(音声配信)「“マジレス”の必要あり〜自民党・杉田水脈議員のLGBTに関する『新潮45』原稿に対し、荻上チキが渾身の応答」 - TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」(2018年7月23日)


https://www.tbsradio.jp/275561

LGBTをめぐる自民党杉田水脈議員の論考に対し、支援団体が抗議声明」について荻上チキがコメントしました。

内閣支持率は下落 豪雨対応に厳しい評価 - 報道ステーション(2018年7月23日)

http://www.tv-asahi.co.jp/hst/news/detail.php?news_id=1000
http://archive.today/2018.07.23-224630/http://www.tv-asahi.co.jp/hst/news/detail.php?news_id=100

報道ステーションが21日と22日に行った世論調査で、安倍内閣の支持率は、先月より1.2ポイント下がって38.2%となった。支持しないと答えた人は、1.1ポイント増えて45.6%だった。西日本豪雨の対応をめぐり今月5日の夜、安倍総理自民党の国会議員が懇親会を行っていたことに批判が出ていた。安倍内閣の豪雨対応を「評価しない」と答えた人は53%で、「評価する」と答えた人は30%だった。