(政界地獄耳)財務省理財局長・太田充はたぬき - 日刊スポーツ(2018年4月7日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201804070000109.html
http://archive.today/2018.04.07-004756/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201804070000109.html

★森友公文書改ざん問題で“丁寧な答弁”に努めている財務省理財局長・太田充。自民党参院和田政宗から「太田理財局長は、民主党政権時代の野田総理の秘書官も務めていた。増税派だからアベノミクスをつぶすために、安倍政権をおとしめるために、意図的に変な答弁をしてるんじゃないか」と問われた。「公務員としてお仕えするのが仕事。さすがにいくらなんでも、そんなつもりは全くない」と答弁し、野党からも同情を買った。
★ところがどうやら、この1年間の野党の質問を突き合わせると、前理財局長とともに森友対策の中心人物として奔走していたのが、太田だったことが分かった。まさに民主党時代の参院福山哲郎、同党・福島伸享立憲民主党川内博史らが、丁寧に質問し続けた成果の結実といえる。昨年2月22日に官邸において官房長官菅義偉がこの問題の説明を受けたとしているが、財務、国交が一緒に長官にレクをしたことになれば、それは森友問題財務・国交両省合同隠ぺい対策会議が開かれたといえるだろう。
★先月30日の衆院財務金融委員会では、いつだれがこの会議にいたのか、との川内の質問に、太田は「2月の22日」と答弁。国交省航空局次長・和田浩一は「20日前後の記憶があるが、随行者や同席者は確認できない」ととぼけた。今月3日の同委員会で川内が再度聞き、同委員長・小里泰弘も「事実関係を速やかに調べるように」とたしなめると、太田は「理財局長の随行として理財局総務課長が同席している。官房長官への説明の時は、当時で言いますと、官房の総括審議官も同席しているということでございます」とした。ここまで答弁を渋ったのは、当時の総務課長の前職は国有財産企画課長、そして当時の官房総括審議官は、太田自身だった。太田は当事者として、対策会議のメンバーだったということになる。太田はたぬきだ。(K)※敬称略

2018年4月3日 衆院 財務金融委員会→本会議→財務金融委員会

森友疑惑 菅官房長官が佐川・太田氏から説明受けていた/昨年2月 首相進退答弁の直後/官邸関与示す動き - しんぶん赤旗(2018年4月6日)

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-04-06/2018040602_03_1.html
http://archive.today/2018.04.06-073824/https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-04-06/2018040602_03_1.html

学校法人「森友学園」との国有地取引に関する財務省の決裁文書改ざん問題などをめぐって、「官邸に報告したり了承を受けることはない」と官邸側の関与を全否定している佐川宣寿・前理財局長と太田充・現局長が、「森友疑惑」追及が国会で始まった直後の昨年2月22日、菅義偉官房長官に官邸に呼ばれ、国有地売却の経緯などについて説明していたことがわかりました。太田氏は当時、財務省大臣官房総括審議官。疑惑対応で官邸側が具体的にかかわったことを示す動きです。
菅氏への説明は、安倍晋三首相の「私や妻が関係していれば、総理大臣も国会議員も辞める」という衆院予算委員会での進退答弁から5日後に行われました。国土交通省航空局次長も出席し、国有地から出たごみの撤去処分費用の見積もりなどを説明したといいます。
安倍首相は菅氏に「(質疑で)特に私の家内の名前も出たから、しっかりと徹底的に調べろという指示をした」(昨年2月24日の衆院財務金融委)と述べており、妻昭恵氏の関与疑惑を意識したことは明らか。安倍首相の指示を受けた菅氏は、佐川氏らから説明を受け、安倍首相に報告をしたことは認めましたが、具体的な日時や説明随行者の氏名は明らかにしてきませんでした。
しかし、当時総括審議官として佐川氏に随行した太田理財局長は3月30日の衆院財務金融委で「(説明したのは)昨年2月22日」と明らかにし、3日の同委では「財務省で説明を主としてやったのは(佐川)理財局長だが、随行として当時の理財局総務課長、当時大臣官房総括審議官も同席している。官房長官側は官房長官と担当の秘書官」と、自身の名前はあげず答弁しました。
NHK報道では、菅氏への説明が行われた2日前の昨年2月20日、財務省理財局が学園側に電話して、ごみ撤去でウソの説明をするよう求めていた疑惑が新たに浮上しています。

関連記事)
財務省森友学園側に口裏合わせ求めた疑い 国有地売却問題で - NHKニュース(2018年4月4日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20180404#p16

性教育で申し入れ 国際基準は「幼少期から」 都議の授業批判で識者:東京 - 東京新聞(2018年4月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201804/CK2018040702000158.html
https://megalodon.jp/2018-0407-0905-32/www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201804/CK2018040702000158.html


足立区の中学校で行われた授業を都議が「不適切な性教育」と批判したことについて、有識者らでつくる「“人間と性”教育研究協議会」は六日、都庁で記者会見し、教育現場が萎縮するなどと懸念を表明した。性教育の国際的な基準では、幼少期から正しい知識を教えることを推奨しており、識者は日本の現状を「遅れている」と指摘する。 (柏崎智子)
国連教育科学文化機関(ユネスコ)は二〇〇九年、各国の研究成果を踏まえ、世界保健機関(WHO)などと協力して性教育の指針「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」を発表した。日本では昨年、邦訳が出版された。
五〜十八歳を四段階に分け、学習内容を提示。五〜八歳で受精など赤ちゃんが生まれる過程を知り、九〜十二歳で無防備な性交は意図しない妊娠や性感染症の危険があり、コンドームなどの正しい使用が有効と学ぶ。中学生は健康な妊娠や出産の知識、高校生は性的な接触には互いの同意が必ずいることの理解が重要としている。
生殖だけでなく、家族内の男女平等や性の多様性、メディアが発信する性情報の問題なども幅広く扱い、性は恥ずかしいものや汚いものではなく、生きる上で大切な要素だと伝える。
各国の研究では、性教育によって性交年齢が早まったとの傾向はなく、むしろ遅くさせ、慎重にさせる結果がみられたという。インターネットなどでゆがんだ性情報が氾濫し、子どもの性を狙う犯罪も後を絶たない中、「無知と誤った情報が生命を脅かす」と教育の重要性を強調している。
一方、日本では文部科学省が学習指導要領で、中学校で「妊娠の経過(=性交)は取り扱わない」と縛っている。性行動が活発になる前に正しい知識を教えることが子どもの心身を守り、性感染症も防ぐという国際的な考え方とはずれがある。
ガイダンス邦訳者の一人で、性教育に詳しい田代美江子・埼玉大教授は「日本では教えるといまだにバッシングが起こり、国際的な基準から遅れ、極めて深刻な状況。子どもたちが幸せに生きるため、性教育の基盤を整えるべきだ」と話す。

働き方法案 これでは過労死防げぬ - 東京新聞(2018年4月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018040702000150.html
https://megalodon.jp/2018-0407-0906-43/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018040702000150.html

働き方改革関連法案は閣議決定され国会で本格的な論戦が始まる。その前に言っておきたい。これまでの法案を巡る政府の対応は不適切、不誠実だった。肝心の働く人々が置き去りにされている。
安倍政権が「働き方改革」を掲げる狙いは、経済界が望む裁量労働制の対象拡大と労働時間規制から外す高度プロフェッショナル制度高プロ)創設の規制緩和策を実現しアベノミクスを推し進めることではないのか。それに差し障りのある情報は隠したい。その姿勢が論議を混乱させている。
野村不動産の社員が、裁量労働制の対象外なのに違法に適用され自殺していた。長時間労働による過労が原因で労災認定もされた。
政府は不適切な運用をする企業を特別指導した実績例としてこのケースを説明した。指導の事実は会見まで開いて公表したのに、過労自殺の事実は公表しなかった。
だが、違法に適用され犠牲者まででていたことの方が指導の成果より重要である。公表しなかった点などを国会で野党に追及されても納得できる説明はないままだ。
一般の労働者の労働時間よりこの制度で働く人の方が少ないと強調しようと不適切なデータを利用していたこともそうだが、健康を害しかねない働き方だとの印象を与えたくなかったのではないか。
不適切データ問題で裁量労働制の対象拡大は法案から削除された。だから説明する責任はないと政府は考えるべきではない。
労使であらかじめ労働時間と賃金を決める裁量労働制は、労働者に業務量の調整に裁量があるとは言い難く、長時間労働を助長すると指摘されている。今、改善策が要るのはあきらかである。
ところが、働く人の健康を守る手だても法案から削られてしまった。新入社員のような裁量を発揮できない人を対象外にする要件を設け、終業から始業までの休息時間の確保や有給休暇の付与などの対策を企業に義務付ける内容で、必要な対策だった。
高プロは法案に盛り込まれた。野党から「スーパー裁量労働制」だと批判もでている。法案は国会論議を通し再考すべきだ。
残業時間の上限規制など働く人を守る規制強化と、官邸主導で進めてきた規制緩和を同時に進めることは矛盾する。多くの人は仕事への強い責任感がある。そこにつけこんだような制度をつくり働かせていいはずがない。制度のありようは、働く人の命にかかわると政府は自覚すべきだ。

原発同意 義務あれば権利あり - 東京新聞(2018年4月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018040702000149.html
https://megalodon.jp/2018-0407-0907-52/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018040702000149.html

日本原子力発電東海第二原発の再稼働などに際し、立地する東海村のほか、水戸市など周辺五市の事前了解も必要とする新たな協定が結ばれた。原発の地元が広がった。画期的なことではあるが。
3・11を教訓に、原発の半径八〜十キロ圏内を目安にしていた原子力防災の重点区域が、三十キロ圏に拡大された。それに伴い、三十キロ圏内の自治体は、避難計画の策定を国から義務付けられた。
「国民の生命及び身体の安全を確保することが最も重要であるという観点」(原子力災害対策指針)からだ。
原発事故の影響は、最低限そこまで及ぶ、だから住民の命を守るため、普段から事故に備えておきなさい、ということだ。
原発事故による放射性物質の影響は、風向き次第で広範囲に及ぶ。福島の事故でも、例えば飯舘村では三十キロ圏外の住民にも避難指示が出た。チェルノブイリ原発事故の放射能は国境をはるかに越えて、欧州を震撼(しんかん)させた。
にもかかわらず、原発の再稼働や運転延長に際して同意や拒否を表明できる事前了解の権利があるのは、原発が立地する自治体だけだった。それさえ法的拘束力のない、いわゆる紳士協定だ。
義務だけあって権利がない。それが周辺自治体なのである。
協定の締結先が少ないほど、利害の調整がしやすくて、再稼働や延長へのハードルは低くなる。理不尽というのみならず、危険なことではないのだろうか。
原電の村松衛社長は「県都水戸市が三十キロ圏内にあるという地域特性が非常に大きい」と、協定拡大の理由を説明した。
それは、どういう意味なのか。
東海第二原発から水戸市役所までは約十六キロ、原発三十キロ圏内には百万人近い人が住んでいる。首都圏からも遠くはない。
だから特別だとするのなら、間違っていると言うしかない。命の重さは、居住地の機能や人口で決められてしまうものなのか。
避難計画は、今そこに危険があるから必要なものではないか。
そもそも再稼働に関しても避難計画についても、基本的には自治体任せの国の姿勢が、どれほど多くの「国民」を不安にさせていることか。
避難計画の策定が義務付けられている以上、最低限、その義務を課せられたすべての自治体に、再稼働や延長に対する事前了解権を、国として明確に保証すべきなのである。

(筆洗)五日亡くなった映画監督の高畑勲さん - 東京新聞(2018年4月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018040702000148.html
https://megalodon.jp/2018-0407-0908-58/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018040702000148.html

焼夷弾(しょういだん)は五十センチほどの六角形の筒で、落ちてくるときにはなぜかおしりの部分に火が付き、火の雨が降り注ぐように見えたという。五日亡くなった映画監督の高畑勲さん。九歳の時に岡山で体験した空襲を鮮明に記憶していた。
親とはぐれ、けがをした姉と逃げた。火の雨、空襲後に本当に降った黒い雨、焼け野原になった市街地と多くの遺体…。体験はそのまま代表作『火垂(ほた)るの墓』に生きる。
反戦への思いを強くしながら、晩年になるまで人前でこの経験を詳しく語ってない。

語るとして…将来の戦争を食い止める力になるのだろうか
(著書『君が戦争を欲しないならば』)。

戦争に懐疑的だった人たちが、開戦後いっせいに体制に協力し、勝利を連呼するようになった事実に、そんな無力感を覚えていたからだった。
火垂るの墓』も「反戦映画ではない」と言った。日本が再び戦争に向かうことに強い危機感を持っていた一方で、戦争を止める力にはならないと考えたからだ。
だが現実は異なる。映画でどれだけの人が戦争の悲惨さを知り、どれだけの親子が戦争について語り合ってきたか。反戦映画の枠を超える名作になった。
著書では

私たちは先立った人たちに見つめられているのだ、という…感覚をもつことが必要ではないか

とメッセージを残した。これからは作品の向こうからわれわれを見つめることになる。

前川氏講演 後援巡り判断割れる 北九州認め、下関断る - 毎日新聞(2018年4月6日)

https://mainichi.jp/articles/20180407/k00/00m/040/152000c
http://archive.today/2018.04.06-235043/https://mainichi.jp/articles/20180407/k00/00m/040/152000c

山口県下関市で14日にある文部科学省前川喜平・前事務次官の教育講演会を巡り、市教育委員会が主催者側からの後援申請を断っていた。市生涯学習課は「(後援すると)市教委が前川氏を応援または支持していると捉えられかねず、市教委が奨励する事業としてふさわしくない」と説明している。
講演会は、市民による実行委員会の主催。「今こそ伝えたい、これからの日本、これからの教育」と題した前川氏の講演や対談などが予定されている。
実行委によると、2月13日に市教委に名義後援を申請し、同26日付で不承諾の連絡があった。市教委の担当者は「前川氏の言動が注目され、国においても真偽について議論されている現在の状況のもとで後援をした場合、市教委が前川氏を応援または支持していると捉えられかねない」などと説明したという。
一方、14日には北九州市戸畑区でも前川氏の講演会が予定されているが、こちらは市教委が後援している。
市教委によると、地元住民でつくる実行委員会が3月上旬に後援を申請。主催者が反社会的勢力でなく、特定の宗教や政党の支持団体でもないなど判断基準に照らして後援を決めた。市教委は「断る理由が特段見つからなかった」としている。
その後、市教委には後援を問題視する問い合わせが数件寄せられたが「総合的に見て問題ないと判断したと説明している」という。
下関市安倍晋三首相の地元。同市と北九州市は隣り合っているが対応が分かれた。【上村里花、木村敦彦】

働き方改革を閣議決定 残業時間の規制が原点だ - 毎日新聞(2018年4月7日) 

https://mainichi.jp/articles/20180407/ddm/005/070/035000c
http://archive.today/2018.04.07-001111/https://mainichi.jp/articles/20180407/ddm/005/070/035000c

今国会の目玉である働き方改革関連法案がようやく閣議決定された。
当初の予定から1カ月以上も遅れたのは、厚生労働省の調査データに不自然な数値が多数見つかったことがきっかけだ。結局、裁量労働制の対象拡大は法案から削除された。
改めて議論を整理したい。働き方改革は、電通の女性社員の過労自殺によって政府が取り組みを迫られたものだ。非正規社員の低賃金の改善も喫緊の課題である。
若い世代が安心して働き、結婚や出産ができるようにしないと、社会全体が地盤沈下していく。だから残業時間規制などは重要なのだ。
ところが、もともと政府が成立を目指していた高度プロフェッショナル制度高プロ)や裁量労働制が関連法案に組み込まれ、議論がもつれるようになった。高プロは残業の規制がなく、経営者は残業代を払わなくて済む制度だ。
経営者側にとって残業規制は労働力不足に拍車を掛け、非正規社員の賃上げは人件費増となって経営に打撃となる恐れがある。そこで、高プロ裁量労働制の拡大でマイナスを埋め合わせようというのだろう。
労働時間よりも独創性によって労働の価値が決まる仕事の場合は、高プロ裁量労働制について議論する意義はある。
しかし、現実には残業代を抑えるため、裁量労働を適用できない人に適用して長時間労働をさせることが横行している。
野村不動産でも裁量労働制を違法に適用された社員が過労自殺した。政府は国会で同社を特別指導したことを強調しながら、肝心の過労自殺については認めていない。
現実に起きている弊害を認めず、メリットばかり強調するから矛盾が露呈する。これでは政府案に不信が深まるばかりだ。
野党側は関連法案にある高プロも同様の事態が起きることが懸念されるとして反対しており、国会審議の紛糾は避けられないだろう。
まずは、弊害に対して徹底した是正策を講じるのが筋ではないか。
もともと規制強化と緩和という矛盾するものを一つの法案にまとめるのは無理がある。残業時間の規制という原点に立ち返って、働き方改革を議論すべきだ。

働き方改革 労働者保護に焦点絞れ - 朝日新聞(2018年4月7日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13440186.html
http://archive.today/2018.04.07-001238/https://www.asahi.com/articles/DA3S13440186.html

安倍政権が今国会の最重要法案と位置付ける働き方改革関連法案が国会に提出された。
長時間労働是正のための残業時間の罰則付き上限規制と、非正社員の待遇改善に向けた同一労働同一賃金が柱だ。いずれも喫緊の課題である。
だが法案には、専門職で年収の高い人を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度高プロ)」の新設も盛り込まれた。
長時間労働を助長しかねないと、多くの懸念や不安の声がある制度だ。緊急性の高い政策と抱き合わせで拙速に進めることは許されない。切り離して、働き過ぎを防ぐ手立てや制度の悪用を防ぐ方策を、しっかりと議論するべきである。政府・与党に再考を求める。
関連法案は、当初、2月中の閣議決定をめざしていた。大幅に遅れたのは、あらかじめ決められた時間を働いたとみなす裁量労働制をめぐり、首相の答弁撤回や、法案づくりの参考にされた調査データの不備など、問題が相次いだためだ。
その結果、政府は今回の法案から裁量労働制の対象拡大を削除した。だが、問われているのは、残業代や割増賃金の規制を緩めて、長時間労働や過労死が増える心配はないのか、という点だ。裁量労働制以上に規制を緩和する高プロを、そのまま法案に残す判断は理解しがたい。
与党との調整で、法案には管理職を含め、働く人たちの労働時間の状況を把握するよう、会社に義務付けることが新たに加えられた。だが、これはもともと法律の成立後に省令でやることになっていたものだ。
一方、裁量労働制の拡大を削除するのに伴い、企画業務型の裁量労働制の対象者を「勤続3年以上」とする要件を新たに設けることや、健康確保措置の強化策まで見送りになった。
裁量労働制をめぐっては昨年1年間で、272事業所が是正勧告や指導を受けている。野村不動産の違法適用は、問題が表に出た、まれな例に過ぎない。
対象拡大を見送ったからといって、裁量労働制がはらむ問題は放置できない。現状を改め、指導・監督の実効性を高めるために何をすべきか。議論を進めるべきだ。
野党は、働く人々を守る規制の強化に重点を置いた、働き方改革の対案を準備している。高プロを関連法案から切り離せば、与野党が歩み寄り、話し合う余地は生まれるはずである。
だれのための働き方改革か。政府・与党はそのことを考えるべきだ。

虐待 40代障害男性を20年以上檻に 兵庫・三田 - 毎日新聞(2018年4月7日)


https://mainichi.jp/articles/20180407/k00/00m/040/172000c
http://archive.today/2018.04.06-233041/https://mainichi.jp/articles/20180407/k00/00m/040/172000c

兵庫県三田市で40代の障害男性が20年以上、自宅に隣接するプレハブ内の檻(おり)で生活を強いられていたことが6日、捜査関係者への取材で分かった。目立った健康被害は確認されていないが、市は70代の父親らから事情を聴き虐待に当たると判断、男性を福祉施設に入所させた。県警は監禁の疑いもあるとみて捜査を進めている。
市によると、今年1月16日に「障害のある男性が家族に行動を制限されている」と通報があった。担当職員らが2日後に訪問。プレハブ内に南京錠がかけられた木製檻(高さ約1メートル、幅約1・8メートル、奥行き約90センチ)があり、男性が生活していた。プレハブに暖房器具やエアコンがあり、檻にペット用トイレシートが敷かれていた。一日の大半を過ごしていたとみられる。
男性は長男で、自宅には父親の他、女性の家族もいるとみられる。家族の市に対する説明では、男性が16歳ごろから暴れるようになったためプレハブで過ごさせ、壁などをたたかないよう檻を作って入れた。食事は自宅で家族と一緒に食べ、入浴させていたが、家族の留守中は檻に入れた。父親は市に対し、「長男は精神疾患がある」と説明している。
男性が義務教育を終えてから市に転入。福祉サービスの利用もなく市は通報まで障害者と把握していなかった。一方、檻にいるのを確認した1月18日の後も約1カ月間、警察に連絡していなかった。
大阪府寝屋川市では昨年12月、精神疾患と診断された娘が監禁されて衰弱の末に凍死し、両親が監禁と保護責任者遺棄致死の罪で逮捕、起訴されている。三田市は取材に対し、「異常な状態だったが、男性の健康状態や家族の対応から緊急性はないと判断した」と説明している。【粟飯原浩】