自民「9条改正」案、秋に提示か 衆院選の堅調報道受け - 朝日新聞(2017年10月17日)

http://www.asahi.com/articles/ASKBJ4G7LKBJUTFK002.html
http://archive.is/2017.10.17-022158/http://www.asahi.com/articles/ASKBJ4G7LKBJUTFK002.html

自民、公明両党で300議席をうかがう――朝日新聞をはじめ報道各社が実施した衆院選の情勢調査結果が出た。自民党内では結果を受け、秋に臨時国会を召集し、党として憲法9条の改正原案を示す案が早くも浮上。安倍晋三首相も選挙後の改憲議論を見据え、布石を打ち始めた。
情勢調査で自民党の堅調ぶりが伝わって以降、党憲法改正推進本部の幹部の間では、選挙後に首相指名を行う特別国会の閉幕後、改めて臨時国会を召集し、自民党の9条改正原案を示す案が浮上。幹部の一人は「我々の考え方、議論の方向性を示せるかどうかだ」と語る。
安倍首相は憲法改正について、街頭演説でほとんど触れていない。だが、今回は自らが提案した「自衛隊明記」など改憲4項目を公約に盛り込み、テレビ出演では自衛隊を明記することについて党内の意見は「まとまっている」と強調。衆院選公示翌日には、テレビ番組で自民党高村正彦副総裁について、「任期の間は務めてもらう」と表明した。衆院選に立候補しなかった高村氏を来年9月の任期まで引き続き副総裁として遇し、改憲に向けた党内外の調整役として、議論を加速させる考えだ。
これに対し、公明党山口那津男代表は「国民の理解の成熟がなければ、発議して信を問うのは時期尚早になる」と慎重姿勢だ。希望の党小池百合子代表も首相提案に基づく自衛隊明記は「大いに疑問がある」としている。立憲民主党共産党社民党は首相提案を批判しており、各党の獲得議席によって、9条改正をめぐる議論の展開は大きく変わる可能性がある。

内閣支持率と獲得議席の関係 不支持6割で政権交代契機 - 東京新聞(2017年10月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201710/CK2017101702000127.html
https://megalodon.jp/2017-1017-1021-43/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201710/CK2017101702000127.html

国政選挙で、内閣支持率と政権与党の獲得議席は連動しているのか。衆院選に現行の小選挙区比例代表並立制が導入された一九九六年以降、七回実施された総選挙の結果と、衆院解散の直前に行われた共同通信の定例世論調査結果の相関関係を分析した。
顕著な傾向が表れたのは、二〇〇九年と一二年の総選挙。当時の麻生政権と野田政権の内閣支持率はそれぞれ23%、17%と低迷し、不支持率はともに60%台に達し、自民党民主党は大敗を喫して政権交代につながった。〇〇年の森政権も不支持率60%で獲得議席を減らしており、不支持率が支持率を上回ると厳しい結果になっている。
例外といえるのが〇五年だ。当時の小泉政権は支持率42%、不支持率45%だったが、小泉純一郎首相は郵政民営化の是非を争点に衆院解散を断行。民営化法案に反対した自民党所属の前職に公認を出さず「刺客」を送り込んで対決姿勢を際立たせ、自民党を圧勝に導いた。安倍晋三首相が衆院解散に踏み切り、自民党が勝利した一四年の前回総選挙では、直前の支持率は48%、不支持率は40%。今回は支持率44%、不支持率46%と、わずかながら不支持率が上回った状況下で総選挙を迎えた。 (柚木まり)

安倍首相 11月のトランプ会談後に“禅譲”の可能性も - NEWSポストセブン(2017年10月17日)

https://www.news-postseven.com/archives/20171017_621256.html

安倍晋三・首相は10年前の第1次政権では参院選大敗後に無理を重ねて政権にしがみつき、体調悪化でわずか1か月後に退陣に追い込まれた。今回は逆に、選挙に勝ったうえで余力を残して後継者を指名して退陣し、次期政権に影響力を残す道を選ぶという見方がある。
政権運営に責任を負わない“キングメーカー”ならストレスもなく、体調不安の心配をせずに裏から権力を握ることができるからだ。後継指名は首相の“政治の師”である小泉純一郎・元首相が選んだ道でもある。自民党細田派の中堅が語る。
「小泉さ*んは安倍総理を後継者に指名した後、ほどなくして楽隠居を決め込んだ。派閥に森喜朗・元首相というキングメーカーがいたからできたことです。
しかし、派閥領袖の経験がない安倍さんは以前から、退陣した後は派閥に戻って高齢の森さんから派閥オーナーの座を引き継ぎ、名実ともに父の晋太郎氏以来の安倍派を再興するという気持ちが強い。最近はとくに体に無理を強いて長期政権を目指すより、森さんのように長くキングメーカーとして君臨したいという考えに傾いているように感じる」
その最短のタイミングが、11月に来日するトランプ米大統領との首脳会談だ。安倍首相は「年末から来年にかけて北朝鮮情勢が緊迫化する」という判断が国難突破解散の一つの理由だと語っているが、体調の維持に苦しみ、モチベーションを保つことが難しい精神状態で、有事に果たして耐えられるのか。
官邸の側近たちは、選挙中、首相が「過半数は絶対大丈夫」との報告を受けても、いつものように喜ばなかったことから、目標喪失状態にあるのではないかと見ている。そこにトランプ氏とのゴルフ会談を終えた後、“政権を禅譲する”可能性を感じているというのだ。

週刊ポスト2017年10月27日号

立憲民主党が破竹の勢い 30選挙区で自民に“勝利”の可能性 - 日刊ゲンダイDIGITAL(2017年10月17日)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/215636

民進党時代は、こんなに人が集まることはなかった」と関係者も驚くほどの熱気だ。立憲民主党が急速に支持を広げている。まだ正式な党員・サポーターもいない新政党で、組織的な動員をかける余裕もない。それでも、枝野代表の街頭演説には1000単位の人が集まる。ツイッター立憲民主党公式アカウントのフォロワー数も、あっという間に17万人に増え、自民党を抜いてトップに。選挙戦でも各地で善戦。終盤にかけて自民党候補を猛追し、30選挙区で勝てる可能性が出てきた。
共産党との野党共闘が成功している北海道では、多くの立憲民主候補が優位に選挙戦を進めている。
「3区の荒井氏や6区の佐々木氏が強いのは当然として、1区でも引退した横路孝弘氏の後継で新人の道下に勢いがあり、11区も新人の石川氏が自民の中川氏に競り勝ちそう。4区の本多氏、5区の池田氏も猛烈に追い上げています」(地元紙記者)
■希望に代わって政権批判票の受け皿に
首都圏では、小池知事のお膝元である東京で希望の党が総崩れ。代わりに立憲民主が政権批判票の受け皿として支持を伸ばしている。東京1区の海江田氏は民主党代表時代に落選したほど選挙に弱いのに、今回は久々に選挙区の勝利があり得る情勢だ。
「2区の松尾氏、8区の吉田氏、10区の鈴木氏は新人ですが、希望の候補をリードしている。5区の手塚氏、6区の落合氏、16区の初鹿氏も自民といい勝負に持ち込めそうです」(旧民進党関係者)
代表の枝野氏と代表代行の長妻氏は、他候補の応援などで地元に張り付けないため、自民候補と接戦になっているが、投票率が上がれば大差での勝利が見込める。
新潟1区の西村氏は立憲民主入りで自民を逆転。早くから野党共闘が進んでいたため、2〜6区は無所属で出馬した野党系候補すべてが自民と互角の戦いを繰り広げている。
西日本でも、大阪10区の辻元氏が奮闘。6区の村上氏と16区の森山氏は公明候補を猛追中だ。大分3区の横光氏も自民との一騎打ちで、反自公票の受け皿に。鹿児島1区の川内氏も急激に追い上げ、逆転が見えてきた。
野党共闘が奏功している北海道や新潟を見ても、与党と一対一の構図に持ち込めば、いい勝負になることが分かります。選挙戦がスタートしても安倍政権の支持率は下がり、不支持率が上回っている。多くの有権者が政権に対する不満を強め、受け皿を探しているのに、野党の乱立が自公政権を助けている。すべての選挙区で野党が候補者を一本化できていたら、自公で300議席などという予測結果はあり得ませんでした」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
今からでも遅くはない。希望の党は、立憲民主と競合する選挙区の候補者を取り下げたらどうか。
「どんな手段を使っても安倍政権を倒す」とタンカを切った民進・前原代表の覚悟を見せて欲しいものだ。

(政界地獄耳)政界全体のレベル低下に危機感 - 日刊スポーツ(2017年10月17日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201710170000149.html
http://archive.is/2017.10.17-013723/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201710170000149.html

★メディアの情勢分析を眺めながら政界関係者が言う。「大きな流れがあるようでもあるが、小選挙区1つ1つの勝敗は各社によってまちまち。鉄板で圧勝している選挙区など数えるほどだ。この選挙で国民は何を示そうとしているのか。いや、戸惑っているのではないか」。確かに各社の情勢分析は自民堅調、希望失速、立憲躍進、共産苦戦ではまとまっているものの、個々の選挙区の状況はまちまちで、実際は激戦区が多数残っているとみてよさそうだ。
衆院解散後に政党が2つも生まれるなど、また先の国会の議論と全く違う力学が政党の発足につながっている。政策論争より国の形に関心があるのだろうか。この選挙に臨む有権者の思いは(1)安倍1強体制のおごり(2)野党への信頼不足(3)北朝鮮問題を軸にした安全保障や憲法問題。毎日新聞の調査では自民党が堅調ながらも安倍政権の続投を望まない、が47%あるという。首相・安倍晋三は嫌だがこの危機管理は自民党に任せるほかないという複雑な心情なのだろう。
★また安倍離れの理由には森友・加計疑惑がことさら強調しないまでも不信感の象徴になっているのだろう。さりとて分裂した野党では頼りない。つまり自民党を超える野党もいない。立憲民主党も政権批判の受け皿まで。これが国民の本音だろう。つまり政界全体のレベル低下、退潮感に危機感を持っているといえる。程度の低い若手政治家の不祥事。1強のおごり、当選したいがための分裂や裏切りの政党乗っ取り劇。政治を取り巻く余波部分が中心のように扱われる不幸を国民は、かみしめているのではないか。選挙は、3日で変わる。明日には、新たな状況が生まれているかも知れない。(K)※敬称略

<衆院選>社会保障の将来 全世代型の負担も語れ - 東京新聞(2017年10月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017101702000142.html
https://megalodon.jp/2017-1017-1234-04/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017101702000142.html

少子化と高齢化が急激に進む社会をどう乗り切るのか。衆院選ではこれまでになくこの課題への対策に焦点が当たっている。だが、肝心のことが語られていない。
年金、医療、介護、子育て支援などの社会保障制度は、税財源だけでなく保険料負担や自己負担によっても支えられている。
どんな給付を受けるには、誰がどれくらいの負担を引き受ければいいのか。誰がどれくらいの給付を我慢すれば、将来の生活に「安心」が得られるのかという制度全体の将来像を何よりも知りたい。
安倍晋三首相は「全世代型へ転換する」と表明した。自民党は幼児教育・保育の無償化などを看板政策に掲げた。確かに、高齢者に偏っている社会保障を「全世代型」に転換する必要はあるが、この考え方は既に歴代政権の政策の流れだ。目新しいものではない。
現役世代への給付を厚くすると同時に、取り組まねばならない課題がある。人口の多い団塊世代が七十五歳を過ぎる二〇二五年には、飛躍的に医療・介護費用は膨れ上がる。一方で、支える側の現役世代は減っている。
高齢化に対応しながら、少子化対策を強化するには、税負担のあり方だけではなく、費用の負担増や給付の抑制も避けられない。
だが、与野党を問わず居並ぶ公約は「全世代型の給付充実策」ばかりだ。幼児教育・保育の無償化や、高等教育費の負担軽減などは異口同音に唱えている。
公明党は低年金者の支援給付金の前倒し実施、希望の党は国民に現金を配るベーシックインカム立憲民主党は医療・介護の自己負担の軽減、共産党社民党は最低保障年金の創設なども挙げる。
聞きたいのは、世代に関係なく負担能力のある人が負担する「応能負担」の姿だ。富者が痛みもなく、貧困層に負担を求めていいはずもない。
例えば、現役世代より優遇されている年金課税の強化は検討課題だ。その分の財源を低年金者に回せば支援になる。公的医療保険の給付範囲の絞り込みなど医療・介護サービスは一定の縮小を考えざるを得ない。こうしたマイナス面も「全世代型」にする必要がある。各党はこの点も語るべきだ。
負担増や給付減は選挙戦では不人気だ。しかし、耳に心地いい公約を並べられても、かえって不安が増すばかりである。
社会保障は「痛み」の分配のあり方こそ争点だと認識してほしい。

衆院選 教育無償化 優先順位とメリハリを - 朝日新聞(2017年10月17日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S13183282.html
http://archive.is/2017.10.17-033203/http://www.asahi.com/articles/DA3S13183282.html

未来への投資、という前向きな感じゆえか。各党が「教育無償化」を公約に掲げている。
消費税を10%にする際に使い道を変え、幼児教育の無償化などに充てる。自民党がそう言えば、連立を組む公明党は私立高校の無償化推進を訴える。
希望の党増税凍結と幼児教育の無償化を同時にうたい、日本維新の会はすべての教育を無償化するため改憲すると意気込む。立憲民主党は高校の無償措置から所得制限を廃止するという。共産党もふくめ、「無償化」のオンパレードだ。
国の懐が豊かなら、すべての教育を無償化するのが理想だ。だが日本は1千兆円の借金を抱える。財政とのバランスを考えないと、子どもたちの未来に大きなツケを回すことになる。
財源を教育に回す分、ほかのどんな政策経費を、どれだけ削るのか。保育園から大学まで、どんな優先順位をつけるのか。そこまで語らなければ責任ある姿勢とは言えない。メリハリのないバラ色公約では、有権者は判断に困るばかりだ。
たとえば、幼稚園や保育園には、家計の苦しい世帯向けの減免措置がすでにある。一律無償化によって恩恵を受けるのは、中間層と富裕層だ。
収入の多寡を問わず、子育て世代すべての負担を軽くするという考えもあるだろう。しかしそのお金があるのなら、保育所の建設や保育士の養成・確保こそ急ぐべきではないか。
そうした手当てを十分せずに無償化を進めたらどうなるか。保育所の需要をさらに掘り起こし、入所のための競争をさらに激しくさせる心配がある。
認可保育所と認可外では保育料や環境に大きな差がある。それぞれに子どもを預ける人の間の不公平感も深まりかねない。働く女性を中心に「無償化よりも保育所を」との声が上がるのは、ごく自然なことだ。
教育の無償化が政策課題として近年浮上したのは、7人に1人という子どもの貧困率の高さが社会問題化したのが大きい。ひとり親家庭貧困率は5割を超える。親から子への貧困の連鎖を断つ必要性は、人々の間で共有されつつある。
根底にあるのは、家計を支える保護者らの不安定な就労だ。全教育課程の無償化が実現したとしても、生活が苦しければ働かざるをえず、進学をあきらめる子はなくならないだろう。
聞こえのいい教育無償化にとどまらず、就労支援などで生活の安定を図らなければ真の解決にならない。政党、候補者にはそこまで目を向けてほしい。

衆院選 知る権利 民主主義の明日を占う - 朝日新聞(2017年10月17日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S13183283.html
http://archive.is/2017.10.17-033059/http://www.asahi.com/articles/DA3S13183283.html

安倍政権がないがしろにしてきたもの。そのひとつに、国民の「知る権利」がある。
政府がもつ情報の公開を求める権利は、国民主権の理念を実現し、民主主義を築いていくうえで欠かすことができない。
だが政権は、森友・加計学園問題で、政府の記録を公開する考えはない、破棄済みで手元にない、そもそも作成していないの「ないない尽くし」に終始した。PKO日報をめぐっても重大な隠蔽(いんぺい)があった。
自民党が5年前に発表した憲法改正草案は、「知る権利」について「まだ熟していない」として条文に盛りこむのを見送った。後ろ向きの姿勢には疑問があるが、一方で「国は、国政上の行為につき国民に説明する責務を負う」との規定を、新たに設ける考えを示している。
この草案に照らしても、政権の行いは厳しい非難に値する。
情報公開法の制定から18年になる。熟したか熟していないかの議論はともかく、大切なのは知る権利が確実に保障される社会をつくること。具体的には、情報隠しができないように法令を整備し、制度をみがき、行政にたずさわる人々の意識と行動を変えていくことだ。
だが、自民党衆院選公約には「行政文書の適正な管理に努める」とあるだけだ。公明党も同様で、与党として、一連の問題に対する深い反省も、改革への決意もうかがえない。
希望の党は、知る権利を憲法に明確に定めることを公約にかかげる。しかしこれも、同党を率いる小池百合子東京都知事が五輪会場の見直しや築地市場の移転をめぐって見せた行動を思いおこすと、眉につばを塗る必要がある。
「敵」と位置づけた元知事らにとって都合の悪い情報は、たしかに公開した。だが自らの判断については、そこに至った根拠や検討の経過、描く将来像などの説明に応じなかった。
市民が情報にアクセスし、それを手がかりに行政を監視し、考えを深めて、より良い政治を実現する――。そんな知る権利の意義を本当に理解しているのか。政略の道具にただ利用しただけではないのか。
旧民主党政権のとき、知る権利を明記し、開示の範囲を広げる情報公開法の改正案が閣議決定されたが、成立に至らなかった。その流れをくむ立憲民主党や、「抜本改革が必要」と唱える共産党は、実現に向けてどんな道筋を描いているのか。
各党の主張や姿勢を見極め、投票の判断材料にしたい。民主主義の明日がかかっている。


憲法の番人、過去の判断は? 「一票の格差」など 最高裁裁判官7人、国民審査 - 朝日新聞(2017年10月17日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S13183383.html
http://archive.is/2017.10.17-001610/http://www.asahi.com/articles/DA3S13183383.html


最高裁判所の裁判官を市民がチェックする「国民審査」が22日、衆院選と同時に投票される。15人いる裁判官のうち今回は前回衆院選後に安倍内閣に任命された7人が対象。「憲法の番人」として、これまでどんな判断を示してきたのか。
最高裁には全員で構成する大法廷と、5人からなる小法廷があり、多数決で判断する。
対象の7人全員が関わった大法廷判決は、9月に「合憲」との判決が言い渡された昨夏の参院選をめぐる「一票の格差」訴訟だけだ。初の合区導入で最大格差が3・08倍に縮小した点を評価し、戸倉三郎氏ら6人が合憲と判断した。一方、林景一氏は「違憲状態」との見解。「1人1票の原則は国際的潮流だ。約3倍の格差で違憲状態を脱したと明言するにはためらう」との個別意見を述べた。
裁判所の令状なく捜査対象者の車などにGPS(全地球測位システム)端末を取り付ける捜査が違法かが争われた訴訟の大法廷判決(今年3月)を審理したのは、大谷直人氏、小池裕氏、菅野博之氏、木沢克之氏、山口厚氏の5人。いずれもGPS捜査はプライバシーを侵害する行為で、令状がなければ違法と判断。国会での立法で対応するよう促した。
「夫婦は同姓」「女性は離婚して6カ月間は再婚禁止」とする民法の規定は憲法違反かが争われた訴訟の大法廷判決(15年12月)の当時に任命されていたのは大谷氏と小池氏。2人とも夫婦同姓を「合憲」とし、再婚禁止規定のうち100日を超える期間の部分を「違憲」とする多数意見に賛同した。
厚木基地(神奈川県)の騒音被害を巡る訴訟の小法廷判決(昨年12月)は、大谷氏と小池氏に加え、木沢氏が審理。3人とも自衛隊機の夜間・早朝の飛行を認める判断に賛同した。米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、埋め立ての承認を取り消した沖縄県知事を国が訴えた訴訟の小法廷判決(昨年12月)には、菅野氏が加わった。ほかの裁判官と同じく「埋め立て承認に違法がないのに取り消した」として、県側を敗訴とした。
小法廷では今年、「森友学園」への国有地売却問題に絡み、国が持つ交渉記録などのデータについて、小池氏が裁判長としてNPO法人保全申し立てを退ける決定(今年9月)をした。大谷、木沢、山口の3氏も同意見だった。
 (岡本玄)

関連サイト)
国民審査を受ける最高裁裁判官7人のアンケート回答全文 - 朝日新聞(2017年10月12日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20171013#p13

9条俳句訴訟 市民の言論を守りたい - 東京新聞(2017年10月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017101702000141.html
https://megalodon.jp/2017-1017-1232-27/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017101702000141.html

「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」−。さいたま市の女性が詠んだ俳句をめぐり公民館の月報に掲載を拒否したのは違法との判決が出た。憲法論議が大テーマの時代こそ市民の言論を守らねば。
 俳句サークルは約二十人。会員の投票で「秀句」を選び、公民館の月報に掲載するのが慣例だった。ところが二〇一四年、「梅雨空に『九条守れ』…」が選ばれると、公民館側は不掲載とした。
 ちょうど集団的自衛権の問題が大きな政治課題となっていた時期だ。公民館側はサークル側に公平・中立の立場から掲載は好ましくないと説明した。
この問題に関係した公民館職員はいずれも元教員らである。さいたま地裁は次のように述べる。

<教育現場において、国旗国歌に関する議論、憲法に関する意見の対立を目の当たりにして、辟易(へきえき)しており、一種の『憲法アレルギー』のような状態に陥っていたのではないかと推認される>
この俳句の提出を受けたとき、たしかに複数の職員で「掲載は問題」「掲載は困難」と結論を得た。だが、検討不足だった。判決は「俳句を掲載できない理由について、十分な検討を行っていない」と厳しく突いている。
仮に「護憲=不可」が不文律の状態だったならば、まるで検閲同然ではなかろうか。判決は「これを掲載しないことが、逆に公民館の中立性や公平性、公正性に反する可能性があることの議論はなかった」と書いている。
判決はこう述べる。

<思想や信条を理由として、俳句を月報に掲載しないという不公正な取り扱いをしたことにより、女性の利益を侵害した>
このサークルの俳句は三年八カ月にわたり月報に掲載されてきたから「女性の俳句も掲載されるという期待は、法的保護に値する人格的利益であり、掲載しなかったことは違法だ」とも言った。
この問題は俳人金子兜太さん(98)と作家のいとうせいこうさん(56)の対談で取り上げられ、本紙の「平和の俳句」が一五年から始まるきっかけとなった。
毎朝、毎朝、平和を詠んだ一句で一日が始まる。各地から届く無数の俳句は、戦争を憎み、平和の尊さをかみしめている人々の連なりである。
行政の中立性、そんな取り澄ました理由で過剰反応を起こしていないか。俳句は自由だ。普通の人々の「平和」という強い言論が朝から、息をのませる。

大飯原発1・2号機の廃炉検討 費用増で運転延長断念か - 朝日新聞(2017年10月17日)

http://www.asahi.com/articles/ASKBK3GXHKBKPLFA001.html
http://archive.is/2017.10.17-044138/http://www.asahi.com/articles/ASKBK3GXHKBKPLFA001.html

関西電力が2019年に運転開始から40年を迎える福井県大飯原発1、2号機について、廃炉を検討していることがわかった。これまで最長20年の運転延長を原子力規制委員会に申請する方針だったが、安全対策費用がかさむことなどから方針転換も視野に入れる。
大飯1、2号機は出力117・5万キロワット。1979年に運転を始め、1号機は2010年、2号機は11年に定期検査に入った。11年の東日本大震災の後は運転を止めたままだった。これら2基の廃炉が決まれば、関電の原発廃炉となるのは美浜1、2号機と合わせて計4基になる。大飯1、2号機の廃炉が決まれば、出力100万キロワット超の「大型原発」では、事故を起こした東京電力福島第一原発を除いて初めてとなる。
大震災の前は、関電は原発で発電量の約4割をつくっていた。しかし、震災後、これらを動かすためには巨額の安全対策費用が必要になった。関電はすでに7基を動かすために8300億円超を投じる計画で、大飯1、2号機を動かせば、額はさらにふくらむ。関電は、2基を動かして火力発電の燃料費を減らしても、安全対策費に見合うほどのメリットはないとの判断に傾きつつある。
企業や家庭で節電が進んだことや家庭向け電気販売の自由化で、関電は電気販売で苦戦している。16年度の販売電力量はピーク時の10年度から2割減。17年度はさらに約6%減を見込む。大飯の2基を廃炉にしても供給には余力がある。
関電は「現在、(運転延長に向けた)原子炉設置変更許可申請の準備を行っており、技術面、安全面での検討を行っているところです」とのコメントを出した。

(筆洗)ハリウッド映画プロデューサーのセクハラ疑惑 - 東京新聞(2017年10月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017101702000139.html
https://megalodon.jp/2017-1017-1233-21/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017101702000139.html

原節子さん主演の映画「青い山脈」など、日本映画黄金期の名映画プロデューサー、藤本真澄(さねずみ)さん(一九一〇〜七九年)には、切ない伝説がある。その原さんに心を奪われ、かなわぬ恋に生涯独身で通したというのである。
ある対談で作家の山口瞳さんに真相を聞かれ「これは(自分が)惚(ほ)れてただけの話で」…。やはり原さんとなじみの深い小津安二郎監督と「独身協会」を結成していたことを認めている。ホレ抜いていたのは女優としてか、女性としてか。ある作品では原さんの起用に反対する原作者を粘り強く説得するなど、いじらしい逸話を残している。
藤本さんの「恋」とはだいぶ違う。米ハリウッドの大物映画プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏のセクハラ疑惑である。
被害に遭ったと訴えているのは女優やモデル。配役などに強い権限を握る映画プロデューサーは、明日を夢見る若い女優にとっては絶対に逆らえぬ存在だろう。その地位を利用して不埒(ふらち)な要求をしていたのか。おぞましい。
アカデミー賞受賞のプロデューサーだが、疑惑が事実なら、三流だと言いたい。藤本さんが助監督時代、原さんを立たせたままにして監督に叱られたそうだ。「女優が立っていたら、コンディションが崩れるじゃない。いい芝居ができないじゃない」
女優を苦しめるだけの人間に良い映画など作れるはずもなかろう。