最低賃金改定 生活できる額へ速く - 東京新聞(2017年8月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017081702000149.html
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二〇一七年度の最低賃金の引き上げ幅は二十五円となる。時給で決める方式となった〇二年以降最大だった昨年度を超え3%のアップ。だが、非正規労働で生活するには、とても十分とはいえない。
まず、言っておきたいことがある。政権は最低賃金の引き上げでアベノミクスの下支えを狙う。だが、これを法律で定めるのは憲法二五条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障するためだ。それを忘れてほしくない。
最低賃金は、企業が払う賃金の最低額だ。働くすべての人に適用され、これを下回る賃金は違法となる。労使が参加する国の中央最低賃金審議会が毎年、改定の目安額を決める。改定はいわば非正規労働者の“春闘”といえる。
審議会が示した目安額(時給)は、全国平均で二十五円引き上げ、八百四十八円とする。安倍政権が三月に公表した「働き方改革実行計画」に掲げる「年3%程度ずつ引き上げ時給千円を目指す」との方針に沿った決着だった。
二十五円の引き上げは昨年度を上回った。安倍政権は引き上げを求めた成果と胸を張るが、目標の千円まで開きがある。政府は毎年のように「千円」を目標に掲げるが、実現への歩みは遅い。
厚生労働省の毎月勤労統計調査ではパート労働者の時給は〇八年から既に千円を超えている。業種や地域によっては、千円実現が十分可能なのではないか。
八百四十八円では、普通に働いても年収は二百万円に届かない。国税庁民間給与実態統計調査では、年収二百万円以下は約千百三十万人いる。民間労働者の二割強が、この収入で踏ん張って生活している。引き上げがこのままのペースでは千円到達にはあと六年ほどかかる。非正規の人の正社員化を進めることは無論として、この賃金で家計を支える非正規労働者が増えていることを考えれば、一日も速く目標額に到達すべきだ。
国は都道府県を四ランクに分けランクごとに目安額を決めた。現在、東京は九百三十二円で、最低額の宮崎、沖縄との差額は二百十八円。だが、今改定ではさらに四円差が広がる。審議会で労働側は、三年以内に最低額を八百円超にするよう要望した。地域差の縮小も同時に実現したい。
賃金アップには、経営体力の弱い中小零細企業の業務効率化などへの支援や、大企業の下請けに対する不当に低い取引価格など下請けいじめの適正化を進めたい。 

少年法に目を向けて 高校生と弁護士ら劇上演 文京で19、20日:東京 - 東京新聞(2017年8月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201708/CK2017081702000172.html
https://megalodon.jp/2017-0817-0919-44/www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201708/CK2017081702000172.html

弁護士と高校生らのオリジナル劇「もがれた翼パート24 ヒーローたちのラプソディ」が十九、二十の両日、文京区の文京シビックホールで上演される。少年事件の背景や少年法の意義、更生について考えてもらおうと東京弁護士会が主催。「普通に見える子どもたちが事件の加害者にも被害者にもなる。身近な問題として目を向けて」と来場を呼び掛けている。 (奥野斐)
劇は、会社を経営する父親と専業主婦の母親の下、何不自由ない生活を送っていた男子高校生が主人公。フィギュアスケートに打ち込んでいたが、父親の交通事故などで、やめることになった。そんなある日、アルバイト先の先輩と事件を起こしてしまう…。
スケートリンクはもう俺の居場所じゃない」
「完璧だと思ってた親はニセモノでした」
行き場のない怒りや悲しみを訴える主人公の独白が多い。弁護士や保護司らと接していくなかで罪と向き合い、立ち直っていく姿が描かれる。「ヒーローとは何か」という問い掛けもテーマの一つだという。
オリジナル劇「もがれた翼」は、一九九四年、日本が「子どもの権利条約」を批准したことを機に始まり二十四回目。今年は、少年法の適用年齢を二十歳未満から十八歳未満に引き下げる議論が進んでいることなどを受け、少年の犯罪と更生を題材とした。高校生と弁護士ら約十五人が出演する。
主人公の母親役の田畑智砂弁護士(50)は、同じ年ごろの子を持つ親として「演じながら子どもとの向き合い方が大切だと思った」。弁護士役を務める吉川(きっかわ)由里弁護士(36)は「少年たちに接している弁護士だから作れた劇。どの家庭でもありえることで、多くの人に見てほしい」と話す。
公演は十九日午後五時、二十日午後一時、同五時の計三回、小ホールで。入場無料、各回定員三百人。開演九十分前から入場受け付け。問い合わせは東京弁護士会人権課=電03(3581)2205、平日のみ=へ。

弁護士と高校生らのオリジナル劇「もがれた翼パート24 ヒーローたちのラプソディ」
https://www.toben.or.jp/know/iinkai/children/tsubasa/part24.html