「共謀罪」法案 与党、あす衆院委採決の構え 法相不信任案否決へ - 東京新聞(2017年5月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017051802000125.html
http://megalodon.jp/2017-0518-0952-50/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017051802000125.html

犯罪の計画を処罰する「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案の審議を巡り、民進、共産、自由、社民の野党四党は十七日、金田勝年法相の不信任決議案を衆院に提出した。このため、この日予定されていた衆院法務委員会での質疑は行われなかった。与党は十八日の衆院本会議で不信任決議案を否決し、十九日の法務委での「共謀罪」法案の採決を目指す。
与党は当初、十七日の法務委での質疑後に「共謀罪」法案を採決し、週内に衆院本会議で可決、参院送付を想定していたが、日程がずれ込んだため週内の衆院通過を断念。二十三日以降を想定している。六月十八日までの国会会期は残り約一カ月となり、政府・与党内では、会期延長論が出ている。
野党は十七日の法務委理事会で、同日に「共謀罪」法案の採決を行わないよう求めたが、与党筆頭理事の古川禎久氏(自民)が確約を拒んだ。予定していた四時間を加えると、参考人の陳述や質疑を除く審議時間は、与党が採決の目安としていた三十時間を超える。与党は審議を尽くしたと採決をうかがっていたため、野党が不信任決議案を出した。
決議案は金田法相について「国会での説明責任を放棄し、法務行政に関する無知や無理解が著しい。任務遂行の資格がない」とした。
民進党山井和則国対委員長は記者会見で「誰の目にも、金田氏が法相の任にあらずということは明らかだ」と批判。共産党穀田恵二国対委員長も「金田氏は一般の人が(処罰の)対象かという、一番大事な問題にさえ答弁できない」と指摘した。
一方、公明党石田祝稔政調会長は会見で「不信任決議案は十八日の本会議で粛々と処理する。否決されれば、信任決議の裏返しになるので、十九日に質疑が行われる」と話した。

加計計画「できない選択肢ない」 内閣府要求の日時記録- 朝日新聞(2017年5月18日)

http://www.asahi.com/articles/ASK5K7GR3K5KUTIL04Z.html
https://megalodon.jp/2017-0518-0555-06/www.asahi.com/articles/ASK5K7GR3K5KUTIL04Z.html

安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について、内閣府文科省に「官邸の最高レベルが言っている」などと対応を求めたとする文言が、日時や出席者が特定された文書に記されていることがわかった。文科省側が「『できない』という選択肢はない」と言われたことも書かれていた。
菅義偉官房長官は17日午前の記者会見で、朝日新聞が報じた文書について「どういう文書か。作成日時だとか、作成部局だとか明確になってないんじゃないか。通常、役所の文書はそういう文書じゃないと思う」などと述べた。
朝日新聞が入手した文書は、「○○内閣府審議官との打合せ概要(獣医学部新設)」=○○部分は実名=という題名で、文科省関係者によると、同省職員が作成した。「平成28(2016)年9月26日(月)18:30〜18:55」と具体的な日時が入り、「対応者」として内閣府の審議官と参事官、文科省の課長と課長補佐の計4人の実名が書かれている。
文書には、内閣府の出席者が「平成30(2018)年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」「これは官邸の最高レベルが言っていること」と語ったと記されている。

関連サイト)

<加計学園計画>口閉ざす文科省幹部 首相は関与否定 - 毎日新聞(2017年5月17日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170517-00000130-mai-pol&pos=1
http://archive.is/2017.05.18-005534/https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170517-00000130-mai-pol&pos=1

「総理のご意向」はあったのか−−。学校法人加計学園岡山市)が愛媛県今治市獣医学部を新設する計画に絡み、文部科学省で共有されたとみられる文書の存在が17日、明らかになった。獣医学部の新設は、国内では半世紀ぶり。文書からは内閣府が国家戦略特区制度を使って、計画を一気に前に進めようとする様子がうかがえる。一方、文科省は幹部らが取材に対して口を閉ざし、張り詰めた雰囲気に包まれた。
獣医学部は学園が運営する岡山理科大の七つ目の学部となり、2018年4月の開学を予定する。キャンパス用地(約37億円相当)は今治市が無償譲渡。総事業費192億円のうち最大96億円を市と愛媛県が負担する。
国は獣医師の「質の確保」を理由に、大学設置や定員増を厳しく制限してきた経緯がある。獣医師養成系の大学は現状、全国で16あり、定員は計930人とされるが、新設の獣医学部は定員160人になっている。
加計学園は07年以降、今治市獣医学部を設置し大学を核にした企業誘致や地域再生を図る「構造改革特区」の構想に市、愛媛県とともに参加。認められない時期が続いたが、市は15年、安倍政権が進める国家戦略特区に指定された。
学園理事長の加計孝太郎氏は安倍晋三首相の友人とあって、野党側は国会で「獣医師は不足していない」「加計学園ありきで、これに合わせて制度設計をしたと疑わざるを得ない」などと追及。首相は3月の国会で「働きかけて決めているなら責任を取る」と主張。「加計学園から私に相談があったことや圧力が働いたということは一切ない」と関与を否定している。
「私自身は承知していない。確認させてほしい」。17日開かれた衆院文科委員会で、松野博一文科相は文書の存在を問われ表情を変えずに答弁。大学教育を所管する高等教育局の局長らは取材を拒んだ。午後5時ごろ、担当の浅野敦行・専門教育課長が廊下で記者団の質問に応じたが「文書があるかないかも含めて確認作業中」と繰り返すだけだった。【遠藤拓、伊澤拓也、千葉紀和】

加計学園新学部「総理の意向」 民進追及 菅氏は「怪文書」- 東京新聞(2017年5月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017051802000129.html
http://megalodon.jp/2017-0518-0955-14/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017051802000129.html

安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が系列大学の獣医学部を国家戦略特区に新設する計画を巡り、文部科学省が特区を担当する内閣府から「総理の意向だ」などと伝えられたとする文書の内容が十七日、分かった。新設に反対する自民党内の動きへの対応を検討したやりとりも記載されている。
加計学園愛媛県今治市獣医学部新設を計画している。民進党が入手した文書はA4判八枚。文科省内閣府のやりとりを記録したような内容で箇条書きに近い。作成者や作成日時は記載されていない。
菅義偉(すがよしひで)官房長官は十七日午後の記者会見で、文書について「怪文書みたいではないか。出どころも明確になっていない」と語った。安倍首相の関与は否定した。
民進党は調査のためのプロジェクトチームを設置し、同日午後に文科省内閣府の担当者を聴取した。文科省の松尾泰樹官房審議官は「(文書の存在を)確認中。今の時点では記憶にない」と答えた。内閣府の塩見英之・地方創生推進事務局参事官は「(文書に記載された文科省との)やりとりがあったかは確認できていない」とした。
文書には、獣医学部を二〇一八年四月に開設する日程について「官邸の最高レベルが言っていること」「総理のご意向」などの記載がある。自民党への対応に絡んで「以前、官邸から、『内閣』としてやろうとしていることを党の部会で議論するな、と怒られた」という記述もある。

◆不自然な決定プロセス 学園に有利な条件追加
加計学園獣医学部新設を巡る決定プロセスは不自然な点が目立つ。
今年一月、国は今治市広島県地域の国家戦略特区内に獣医学部を新設する事業者を募集する段階になって、新たに「一校に限る」という条件を追加した。公募期間は八日間。以前から今治市に計画していた加計学園に有利な条件で、申請は同学園だけだった。
特区で獣医学部新設を認めるに当たり、「既存の大学・学部では対応が困難なこと」「先端研究や感染症対策など獣医師が新たに対応すべき具体的な需要が明らかになること」などの条件も設けていた。これまで野党は国会で条件を満たしているのか質問したが、政府側の明確な回答はない。
獣医学部の新設は、獣医師の質の確保という観点から新設や定員増は五十年以上抑制されてきた。
獣医学部新設を求めてきた今治市は、二〇一四年まで十五回にわたり、小泉純一郎政権で導入された構造改革特区に申請してきたが、採用されなかった。安倍首相が規制改革の一環として創設した国家戦略特区に再申請した途端、事態が進展。申請から加計学園の事業認定まで一年半のスピード決定だった。
国家戦略特区は従来の特区とは異なり、首相主導で規制緩和を進めるのが特徴で、政権トップの意向が反映しやすい制度だ。
不自然な特区認定プロセスに、国会では野党から「加計学園ありきで進められたのでは」との批判が上がっていた。安倍首相は「加計学園から私に相談があったことや、圧力が働いたことは一切ない」と関与を否定している。 (中沢誠)

加計学園獣医学部新設を巡り文科省が記録したとされる文書(一部抜粋)>
獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項】 
○平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。これは官邸の最高レベルが言っていること。
 【大臣ご指示事項】 
○平成30年4月に開学するためには、平成29年3月に設置認可申請する必要があるが、大学として教育確保や施設設備等の設置認可に必要な準備が整わないのではないか。平成31年4月開学を目指した対応とすべきではないか。
 【大臣ご確認事項に対する内閣府の回答】 
○設置の時期については、今治市の区域指定時より「最短距離で規制改革」を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている。
○「国家戦略特区諮問会議決定」という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか。平成30年4月開学に向け、11月上中旬には本件を諮問会議にかける必要あり。
 【10/7萩生田副長官ご発言概要】 
○平成30年4月は早い。無理だと思う。要するに、加計学園が誰も文句が言えないような良い提案をできるかどうかだな。構想をブラッシュアップしないといけない。
○学校ありきでやっているという誤解を招くので、無理をしない方がいい。
※【】は文書のタイトル。それぞれ1枚の文書。

加計学園問題 首相は自ら真相を語れ- 東京新聞(2017年5月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017051802000144.html
http://megalodon.jp/2017-0518-0955-34/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017051802000144.html

安倍晋三首相に近い人物が経営する私立大学の学部新設に首相の意向が働いていたとしたら、権力乱用との批判は免れまい。首相は自らの関与の有無について、進んで真相を明らかにすべきである。
李下(りか)に冠を正さず、という言葉は死語になってしまったようだ。学校法人「加計学園」(岡山市)系列大学の獣医学部愛媛県今治市に新設する計画である。
市と県が二〇〇七年から一四年まで、十五回にわたって申請しながら認められなかった獣医学部の新設が、なぜ安倍政権の下で一転、五十二年ぶりに、それも今治市で認められることになったのか。そこに安倍首相の意向は働いていなかったのか。不可解なことがあまりにも多い。
きのう明らかになった文部科学省が作成したとされる文書には、内閣府から「官邸の最高レベルが言っていること」「総理の意向だと聞いている」などと言われた、との内容が記載されていた。
菅義偉官房長官は記者会見で文書の内容を全面否定し「首相からも一切指示はない」と強調した。
しかし、にわかには信じ難い。
というのも、首相と、同法人の加計孝太郎理事長とは極めて近しい関係にあるからだ。本紙報道によれば、一二年の第二次安倍内閣発足以降、首相は加計氏と十三回にわたって会い、ゴルフを四回、夕食を九回ともにしている。
首相自身、加計氏のことを「どんな時も心の奥でつながっている友人」「まさに腹心の友だ」と語ったことがある。
首相が国会で答弁したように、本当に「加計学園から私に相談があったことや、圧力が働いたことは一切ない」のだろうか。単に否定するだけでなく、国民に説得力のある説明をすべきである。
文書の有無や真偽にかかわらず自らに近しい人物に対して、便宜を供与したように疑われる行為は厳に慎むのが、権力者としてあるべき振る舞いだろう。
首相自らは仮に直接関与していなかったとしても、官僚組織に首相の意向を忖度(そんたく)させるようなことも、あってはならない。
安倍首相夫妻は学校法人「森友学園」への格安での国有地売却をめぐっても、政治的関与の可能性が指摘されてきたが、与党側は昭恵氏の国会への招致を拒み、真相を闇に葬り去ろうとしている。
権力の側にある人間は何をやっても許される、と考えているのだろうか。だとしたら、思い違いも甚だしい。

学部新設で「総理の意向」 事実関係の解明が必要だ - 毎日新聞(2017年5月18日)

https://mainichi.jp/articles/20170518/ddm/005/070/032000c
http://archive.is/2017.05.18-005741/https://mainichi.jp/articles/20170518/ddm/005/070/032000c

これまでの説明との整合性が問われるのではないか。
理事長が安倍晋三首相と親交のある学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が、国家戦略特区に獣医学部を新設する計画にからんで、安倍首相の「意向」などが記された文書が残されていた。
大幅な規制緩和で経済活性化を目指すのが同特区だ。
担当する内閣府からの伝達事項として、文部科学省に文書があり、学部の早期設置に関して「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと記されている。
政府は昨年11月、獣医学部の新設を決めた。1校だけ認めるとし、今年1月の公募で、愛媛県今治市に新設を計画する同学園だけが手を挙げた。用地は今治市の無償譲渡だ。
同学園は、来年4月の開校に向けて準備を進めており、現在、文科省の審議会が認可を検討中だ。
これまで野党は国会で「加計学園が利益を受けている」などと追及してきた。だが、首相は「(同学園から)相談や圧力が働いたということは一切ない」と否定していた。
今回の文書は、これにまつわる両府省のやりとりとされる。松野博一文科相は調査するという。菅義偉官房長官は「首相から一切指示はない」と否定している。
政府は、今回の文書の存在について確認をすべきだ。いきさつや背景も調査して、明らかにすべきだ。特区を巡って内閣府と官邸、および文科省の3者でどのようなやりとりがあったのかが、問題の核心だ。
文書によれば、文科省は学園の準備状況から、早期開設が難しいという認識も示している。
同学園が新設を急いでいる中での安倍首相の「意向」なのかどうか。
もし内閣府の働きかけが、安倍首相の指示ではなくても、理事長と首相の関係から「そんたく」したのではないかと疑われかねない。しっかりした説明が求められる。
森友学園」の問題では、首相の妻の関与が焦点となっている。「総理のご意向」という官庁の文書の文言は、よりいっそう不可解な印象を与える。
政策決定の過程を巡る事実関係の解明が最優先だ。

加計学園問題 疑問に正面から答えよ- 朝日新聞(2017年5月18日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S12942531.html
http://megalodon.jp/2017-0518-0956-05/www.asahi.com/articles/DA3S12942531.html

政府はすべての国民に公正・公平に向き合い、首相との距離によって対応に差が出るようなことがあってはならない。
民主主義国家の当たり前の原則が掘り崩されているのではないか。そう疑わせる問題が、朝日新聞が入手した文部科学省作成の文書で明らかになった。
文書には、岡山市の学校法人が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について、特区を担当する内閣府文科省に対し「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」と手続きを進めるよう促した記録がある。
この学校法人は、安倍首相が「腹心の友」と呼ぶ人物が理事長を務める「加計学園」。
記載が事実であれば、内閣府が「総理のご意向」をかざして首相の友人に便宜をはかろうと動いたととれる。首相と政府の信頼に関わる重大な事態だ。
事実関係をすみやかに調べ、国民に説明する責任が首相と関係省庁にはある。

経緯はいかにも不自然だ。
文科省関係者によると、文書は昨年9月から10月にかけて作成。松野文科相が、学園の求める18年4月の開学について、教員確保など準備が整わない可能性を指摘し、難しいとする考えを示していた記述もある。
ところがわずか数カ月後の今年1月、内閣府文科省は18年4月に開校する1校に限り、特例で獣医学部設置を認めると告示。加計学園が特区事業者に認定された。他の大学からも手があがっていたのに「獣医学部空白地域に限る」との条件があとから追加された。
獣医学部の新設が認められたのは52年ぶり。加計学園愛媛県今治市から36億7千万円分の市有地を無償で受けとる。
一連の経緯や首相のかかわりについては、これまでも野党が国会などでただしてきた。
野党側は、長く認可されなかった学部新設が同学園に限って認められたことに「首相と理事長の個人的な関係が影響したのではないか」と指摘する。
これに対し首相は「友人だから会食もゴルフもする。でも、彼から頼まれたことはない」と自らの関与を否定してきた。
「安倍1強」と言われる強い権力と周辺の人脈、不可解な政府の決定――今回の構図は、首相と妻昭恵氏の関与の有無が問われている森友学園への国有地売却問題とも重なる。
松野文科相は「現状では文書の存在を確認していない」と述べた。森友学園問題での財務省のような、事実究明に後ろ向きな態度は許されない。

日本の平和主義 見直すべきは安保法だ- 東京新聞(2017年5月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017051802000145.html
http://megalodon.jp/2017-0518-0956-05/www.asahi.com/articles/DA3S12942531.html

現行憲法自衛隊を規定した項目はない。それでも東日本大震災があった翌二〇一二年の内閣府世論調査自衛隊に「良い印象を持っている」と答えた国民は初めて九割を超えた。
次に行われた一五年の調査でも九割を超え、各地の災害救援で献身的に働く隊員の姿が自衛隊の評価を押し上げている。
本来任務の国防をみると、「必要最小限の実力組織」(政府見解)とされながらも、毎年五兆円前後の防衛費が計上され、世界有数の軍事力を保有する。
自衛隊は安全・安心を担う組織として広く国民の間に定着している。変化を求めているのは安倍晋三首相ではないのか。
憲法解釈を一方的に変更して安全保障関連法を制定し、他国を武力で守る集団的自衛権行使を解禁したり、武力行使の一体化につながる他国軍への後方支援を拡大したり、と専守防衛の国是を踏み越えようとするからである。
安倍政権は、自衛隊に安保法にもとづく初の米艦防護を命じた。北朝鮮からの攻撃を警戒する目的にもかかわらず、北朝鮮の軍事力が及びにくい太平洋側に限定したことで安保法の既成事実化が狙いだったとわかる。
米艦を守るために他国軍と交戦すれば、外形的には集団的自衛権行使と変わりはない。安保法で改定された自衛隊法は、武器使用を決断するのは自衛官と規定する。
集団的自衛権行使を命じることができるのは大統領と国防長官の二人だけとさだめている米国と比べ、あまりにも軽く、政治家が軍事を統制するシビリアンコントロールの観点からも問題が多い。
米艦を防護しても国会報告は必要とされておらず、速やかに公表するのは「特異な事態が発生した場合」だけである。今回、報道機関の取材で防護が明らかになった後も政府は非公表の姿勢を貫いた。
国会が関与できず、情報公開もない。政府が恣意(しい)的な判断をしても歯止めは利かないことになる。
安保法により、自衛隊は軍隊の活動に踏み込みつつある。憲法九条に自衛隊の存在を明記するべきだと発言した安倍首相の真意は名実ともに軍隊として活用することにあるのではないのか。
現在の自衛隊が国民から高く評価されている事実を軽視するべきではない。必要なのは憲法を変えることではなく、安保法を見直し、自衛隊を民主的に統制していくことである。

いま読む日本国憲法(46)第76条 裁判官 良心のみ従う- 東京新聞(2017年5月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2017051802000194.html
http://megalodon.jp/2017-0518-0957-40/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2017051802000194.html


七六条から八二条までは「司法」の章です。現憲法は立法、行政、司法の三権を分けることで国家権力の暴走を防ごうとしていますが、本章で最初の条文の七六条にも、そうした思想が垣間見られます。
一項は、司法権最高裁判所下級裁判所に属すると規定。裁判所法に基づいて高裁や地裁、家裁、簡裁が下級裁判所として置かれています。
三項は「裁判官の独立」を定めた項。裁判官はだれからも命令や政治的圧力を受けることなく、ただ良心に従い、憲法と法律にのっとって裁判を行うという、大事な原則です。
注目されるのは、二項の特別裁判所の禁止。特別裁判所は、特別な身分の人や出来事を扱うため、司法権を持つ裁判所の系列とは別に設けられる裁判所のことです。
明治憲法下では、軍人を裁く軍法会議や皇室間の訴訟を扱う皇室裁判所がありましたが、現憲法は「法の下の平等」(一四条)に反するなどの理由で禁じたのです。
裁判官を罷免するかどうかを決める弾劾裁判所は、裁判所とは別系列ですが、憲法自身が認める例外とされます(六四条)。人事院海難審判所公正取引委員会などは行政機関ですが、裁判所に似た役割を果たします。結果が不服なら裁判所に訴えることができるので、特別裁判所ではないと判断されています。
自民党改憲草案は、七六条は現行憲法とほとんど同じですが、新設する九条の二の五項で「国防軍に審判所を置く」と定めました。草案Q&Aは「審判所とは、いわゆる軍法会議のこと」と解説しています。
一般的に軍法会議は戦場行きを拒んだ兵士らを裁く場で、非公開で行われる可能性があり護憲派が強く批判していますが、特別裁判所の設置を禁じた七六条との矛盾も指摘されます。
    ◇
「読むための日本国憲法 東京新聞政治部編」(文春文庫)をベースに、憲法の主な条文の解説を随時掲載しています。
自民党改憲草案の関連表記
七六条
(2)特別裁判所は、設置することができない。行政機関は、最終的な上訴審として裁判を行うことができない。
((1)(3)は略)
 九条の二
(5)国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。

高浜原発4号機 「臨界」の状態に - NHKニュース(2017年5月18日)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170518/k10010985451000.html
http://megalodon.jp/2017-0518-0958-51/www3.nhk.or.jp/news/html/20170518/k10010985451000.html

17日に再稼働した福井県にある高浜原子力発電所4号機は、18日午前6時に核分裂反応が連続する「臨界」の状態になりました。
福井県高浜町にある関西電力高浜原発4号機は、17日午後5時、運転員が中央制御室で原子炉にある核燃料の間から核分裂反応を抑える「制御棒」を引き抜く操作をして原子炉を起動させ、1年3か月ぶりに稼働しました。

関西電力はその後、原子炉に差し込まれている32本の制御棒のうち24本を引き抜いた後、残りの8本を半分程度引き抜いた状態で原子炉の冷却水に含まれる核分裂反応を抑える成分を薄めるなどの作業を行いました。

その結果、18日午前6時に核分裂反応が連続する「臨界」の状態になったということです。

関西電力は今後、「臨界」の状態を維持しながら制御棒の性能の検査などを行い、今月22日に発電と送電を始めた後、徐々に原子炉の出力を高めて来月中旬に営業運転に入る計画です。

使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を使うプルサーマルでの発電が、高浜原発4号機では初めて行われます。

去年2月の再稼働では、発電と送電を始める作業に入った直後に原子炉が自動停止するトラブルが起きていることから、関西電力は慎重に今後の操作を行うとしています。

豊洲、再び100倍ベンゼン検出 数十億円の新対策提案へ- 東京新聞(2017年5月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017051701001880.html
http://megalodon.jp/2017-0518-0959-10/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017051701001880.html

豊洲市場で東京都が実施している地下水モニタリング調査で、環境基準の最大100倍前後のベンゼンなど有害物質が再び検出されたことが17日、関係者への取材で分かった。土壌汚染対策を議論している「専門家会議」の18日の会合で示される。専門家会議は有害物質を含む地下水を封じ込めて安全性をより高めるため、総額数十億円かけて新たな対策工事を実施することを提案する。
専門家会議は、汚染を環境基準以下にする「無害化」を将来的な目標とした上で、対策工事で豊洲の安全が確保されるとの評価を示す方針。小池百合子知事が評価を受け、移転の可否をどう判断するかが注目される。
(共同)

<消えた有権者>(上)代筆投票 法改正で家族付き添えず- 東京新聞(2017年5月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201705/CK2017051802000190.html
http://megalodon.jp/2017-0518-0959-30/www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201705/CK2017051802000190.html

高齢となるなどで一票を投じることができない「消えた有権者」は全国で二百万人以上−。四月五、六日付の連載で、その可能性を指摘した。だが、あくまで八十歳以上に限った推計。八十歳未満にも障害者にもいるだろう。読者の体験が裏付ける。 (三浦耕喜)
名古屋市中川区でパン店を営む佐藤奈美さん(53)は悩んでいた。四月二十三日に投開票された名古屋市長選の一週間ほど前。認知症で要介護2の母、克江さん(77)を投票に連れて行くべきかどうか。ゆっくり話せば会話もできる。書くのは難しくなったが、読み聞かせれば理解できる。「でも、二度とあんな怖い思いをさせたくない」。佐藤さんは昨年七月の参院選を思い出していた。
混む当日は避け、期日前投票に連れて行った。だが、受付でこう言った途端、選管職員に母から引き離された。「代筆ですが…」
代筆担当という男性職員に記載台へ連れていかれる母。脇には別の男性職員が付く。不正がないかチェックする立ち会い役だ。両脇から見知らぬ男性に注視され、母はおびえている。近づくことも許されず、佐藤さんは投票所の出口から叫んだ。「候補を読み上げてください。そうすれば理解できます!」。職員の一人が佐藤さんに手をかざし、声を遮った。
佐藤さんのいとこ、母からみるとめいが東京で地方議員をやっていた。選挙で着るスーツは洋裁が得意な母が仕立てた。めいの活躍に目を細めながら、政治の動きを注視していた。母の一票は大切にしたい。「だから、もっとやさしくやってください…」
その時、別の職員が投票所から出てきた。佐藤さんは事情を詳しく説明した。その職員が仲立ちし、何とか投票にまでこぎ着けた。
「あのつらさをもう一度味わわせるのか」。佐藤さんは悩む。「家族になら意思を表せる人も多いはず。どうして、こんな仕組みなのでしょう」
以前は家族やヘルパーが付き添えた。記者がそう言うと佐藤さんは驚いた。二〇一三年五月の公職選挙法改正をめぐる衆参両院の議事録を見てもらう。この改正で「代筆などを担う者は選管職員に限る」との趣旨が定められた。
議事録には、政治家の良心が共鳴する議論がつづられている。法案は与野党各党の共同提案だ。改正の狙いは、成年後見を受ける人の選挙権を取り戻すこと。それまでは成年後見人を立てる際、被後見人の選挙権が剥奪されていた。それは理不尽との司法判断が出て、スピード成立したのが改正公選法だった。その際、被後見人の一票が悪用されないよう、公正を保つ目的で加えられたのが「選管職員に限る」の規定だった。
「そうでしたか。よかれと思ったのが裏目に出たと…」と佐藤さん。議事録にはこうある。「弱い立場にある人たち、この人たちの思いのこもった一票を国に届けないで何が民主主義か」(公明党国重徹衆院議員)。その言や善し。だが、そのために消えた、あるいは消えかかっている一票もある。
思い立った佐藤さんは母を市長選の期日前投票に連れ出した。受付に笑顔の女性がいた。男性の立ち会い役がにらみを利かせるが、女性のソフトな案内で投票できた。「でも、次の選挙では母の症状は確実に進んでいます。今の制度のままで母の意思を受け止めてもらえるでしょうか」と佐藤さん。この一票を守る意思は政治にあるだろうか。

「多世代」「多国籍」集う場に 古民家改修の「カサコ」が1周年:神奈川- 東京新聞(2017年5月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201705/CK2017051802000184.html
http://megalodon.jp/2017-0518-0959-54/www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201705/CK2017051802000184.html

横浜市西区の住宅街にある古民家を改修した交流スペース「CASACO(カサコ)」が1周年を迎えた。1階は地域の憩いの場、2階は外国人留学生のホームステイ先になっており「多世代」「多国籍」の人々でにぎわう。世界60カ国を旅したNPO法人「コネクション・オブ・ザ・チルドレン」代表、加藤功甫(こうすけ)さん(28)が「多様な背景を持つ人々が集う場に」と開設した。 (加藤豊大)
四月、地域住民らを集めてカサコで開かれた一周年記念パーティー。近所に住む杉本祐美子さんは、カサコに出入りするうちにトルコからの留学生と仲良くなり、中学、高校生の娘二人とともに一緒に野球観戦に行ったという。「近所で思いがけない出会いがあった」と喜ぶ。
加藤さんは横浜国立大学大学院進学後の二〇一一年、「さまざまな価値観に触れたい」と、友人と二人でユーラシア大陸を横断する自転車の旅に。ポルトガルから上海まで、三十カ国二万キロを一年かけ走破した。
「旅先では、見ず知らずの自分を家族のように受け入れてくれた」。カザフスタンの砂漠で食料を切らしたとき、現地の人から水や食べ物を受け取った。店先で居合わせた人と意気投合、家に泊まらせてもらったことは数え切れない。
帰国後、日本を訪れる世界中の友人や旅人を招いて恩返ししようと、野毛山動物園横浜市西区)近くの住宅街にある築六十年以上の古民家を借りた。餅つきや運動会など、地区の町内会行事にも参加しているうち「旅人や地域の人たちが家族のように結び付く場を作りたい」と思うように。古民家を改修してカサコを開設しようと思い立った。
近所の建築事務所「トミト・アーキテクチャ」が設計を担当。共同代表の伊藤孝仁(たかひと)さん(29)は「立ち寄りやすく、くつろげる空間を目指した」と話す。通りに面した一階壁面は中の様子が見えるよう一面ガラス扉にし、二階の床を一部抜いて開放感のある吹き抜けを作った。市民の街づくり事業を支援する横浜市助成金も得て、昨年四月に完成した。
カサコは加藤さんや伊藤さんをはじめ「旅」「建築」「街づくり」といったキーワードで結び付いた七人の仲間で運営している。一階部分の使い方はさまざま。地域住民らが日替わりオーナーを務めるカフェや子育て中の母親たちの集いの場、放課後の子どもたちの居場所などとして、月に十五回ほど開かれている。
四部屋ある二階には、イタリアやスイス、デンマークなどからの留学生計十人ほどが、この一年間で入れ替わり居住。彼らと地域住民との交流も活発だ。留学生が母国の食事をふるまったり、二月の節分には子どもたちから豆を投げられる鬼役になったり。カサコを去るとなると、住民が集まって別れを惜しみながら送り出す。
加藤さんは現在、「自分で考え生きる力」を教えたいと、旅の経験をもとに県内外で講演会や小中学校への出前授業を重ねる。「子どもたちや地域の人たちに世界に目を向け視野を広げてもらい、海外の人たちには観光だけではなく深く日本や日本人のことを知ってもらいたい。カサコをその実践の場にしていけたら」と語る。