川内原発1号機 6日から定期検査 - NHKニュース(2016年10月5日)

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http://megalodon.jp/2016-1006-0942-57/www3.nhk.or.jp/news/html/20161005/k10010719041000.html

鹿児島県にある川内原子力発電所1号機は、原発事故のあと作られた新しい規制基準に基づいて再稼働した原発としては、全国で初めて、6日から定期検査に入り、原子炉本体や新たに導入された機器の点検が行われます。
川内原発1号機では、5日午後6時すぎから、核燃料の間に制御棒を入れて出力を徐々に下げる作業が始まり、6日の午前1時ごろには発電と送電を止めて定期検査に入ります。
今回の定期検査はおよそ3か月間行われ、九州電力によりますと、原子炉本体に異常が無いか点検するほか、新たな規制基準に基づいて導入された移動式の発電機や原子炉格納容器の水素爆発を防ぐ装置が正常に作動するかの確認など新たに16項目増やし、合わせて124項目の検査が行われる予定です。
川内原発をめぐっては、鹿児島県の三反園知事が運転を直ちに停止し、安全性を再点検するよう要請していましたが、九州電力は、即時停止には応じない一方で、先月27日から非常用電源などの設備が問題なく作動するかなどを確認する特別点検を始めています。
川内原発1号機について、九州電力は、12月8日ごろに原子炉を起動して11日に発電を再開し、その後、来年1月6日まで検査を行う計画で、2号機はことし12月16日から定期検査に入る予定です。

美浜3号機、審査合格 40年ルールは既に形骸化 - 福井新聞ONLINE(2016年10月6日)

http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/106173.html
http://megalodon.jp/2016-1006-0942-31/www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/106173.html

【論説】原子力規制委員会は、運転開始から11月で40年となる関西電力美浜原発3号機が新規制基準に適合しているとする「審査書」を正式決定した。運転延長を目指す高経年炉の審査合格は高浜1、2号機に次ぎ2例目。改正原子炉等規制法で定める「原則40年」の形骸化が進むことに、世論の反発が強まるのは必至だ。
強い揺れが繰り返し、従来の知見を超えた熊本地震の脅威を契機に、原発の安全性を巡る国民不安も高まっている。美浜3号機は耐震設計の目安となる基準地震動を見直し、最大加速度を従来の750ガルから993ガルへ大幅に引き上げた。使用済み核燃料プールの構造強化が必要だが、それで安全は確保されるか、規制の実効性も問われる。
関電が目指す最長20年の運転延長手続きでは、設備の詳細設計をまとめた工事計画と運転延長の審査を受けなければならない。その期限が11月末である。
手続きが遅れがちな関電対応にいら立ち、尻をたたきながらの審査合格にこぎつけた。まさに「スケジュールありき」の対応といえる。原発の運転期間を原則40年と定め、厳格に対応しているはずの規制委が延命を急がせている構図は規制行政の独立性の観点からどうなのか。
規制委は高浜1、2号機の場合も他の原発を押しのけてまで対応を急いだ。最優先すべきは国民の信頼と理解である。より透明感のある厳格審査の中で適正な判断を下していくべきだ。
関電は今後、2020年春ごろまでに安全対策工事を終え、早期再稼働を視野に入れる。ただ、古い原発特有の課題である電気ケーブルに防火対策を施す必要もある。重大事故時の対応拠点となる緊急時対策所の新設などを含め工事費は1650億円。高浜1、2号機の場合は2千億円を見込むが、さらに費用が膨らむ可能性も出てくる。
運転延長は「例外中の例外」とされてきたにも関わらず40年ルールは形骸化。古い原発の淘汰(とうた)が進む一方で延命措置も着実に進行する。電力事業者が「費用対効果」で判断し、新たな投資に見合う採算が見込めるとみれば20年延長を選択するということだ。
それでは「40年ルール」とは何なのか。東京電力福島第1原発事故を教訓に、同様の過酷事故を起こさないための規制強化であり、原発の信頼回復への方策ではなかったのか。
原発は、炉内構造物や蒸気発生器などは交換できるが、圧力容器は交換しようがない。中性子を浴びて劣化し、割れに至る「中性子照射脆化」現象が懸念されれ、運転が40年に達しない原発で予想を超えて劣化が進んでいる例も確認されている。もっとチェック体制を強化すべきである。
今後、大飯1、2号機も延命が検討されている。40年規制を見直す政治的動きに加え、新増設などを求める電力側の声も高まる。エネルギー基本計画で原発依存度を「可能な限り低減させる」とした政府の基本姿勢が厳しく問われよう。

美浜3号、期限切れとの戦い続く 「安全よりスケジュール」と批判も - 福井新聞ONLINE(2016年10月6日)

http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/npp_restart/106159.html
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原子力規制委員会が5日、関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の「合格証」を決定し、審査は大きなヤマを越えた。審査期限の11月末までに残る手続きは「工事計画」と「運転延長」の審査。規制委事務局の原子力規制庁は「残りの審査も大詰め」としている。ただ、新たな論点が浮上すれば期限切れとなる可能性もあり、なお予断を許さない情勢だ。
美浜3号機は昨年3月に安全審査を申請。その後の審査で基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)が見直され、考慮する揺れは24パターン、最大加速度も993ガルに引き上げられた。このため耐震評価が複雑になり、使用済み燃料プールの燃料収納容器を国内初の構造に変更しなければならなくなった。関電が全ての耐震評価の資料を規制委に提出したのは、今年の8月26日になってからだ。
9月6日の審査会合では、規制庁の山形浩史規制総括官が「当初考えていた予定より1カ月遅れているということは共有できているのか」と指摘。「早く100%のものを出さないと間に合わない。夏前から何となく(関電が)のんびりしている」と詰め寄った。
規制委は再三、審査期限のある美浜3号機、高浜1、2号機について関電側に期限切れのリスクを警告。一方で、規制委は審査が大詰めを迎えていた大飯原発3、4号機を後回しにし、40年超の3基の審査を優先した。
結果として「残りの審査は全般的に細かな直しがあるものの、論点整理はおおむね終わった。期限に関しては悲観的ではない」(規制庁担当者)というところまでこぎつけた。規制委の田中俊一委員長も5日の記者会見で「時間切れを避けたいと、事業者も我々も努力し、一つのヤマ場を越えたことは確かだ」と振り返った。しかし一連の対応は「安全よりスケジュールありき」との批判も根強い。
関電は速やかに工事計画申請の補正書を提出する方針だが、規制庁は「スケジュールに今乗っている作業はこなせても、後出し論点があると困る」とする。
前規制委員長代理の島崎邦彦氏が今年6月、熊本地震を参考に関電大飯原発に関して基準地震動の過小評価の恐れを指摘した問題は、規制委が最終結論を得るまでに1カ月以上かかった。こうした事態が一つでも起これば、期限切れへと傾く。
関電の担当者は審査合格を受け「日々、精いっぱいの審査対応をしている。今後も期限に間に合うよう、真摯(しんし)かつ的確に対応していきたい」と語った。