「子どもの貧困対策法」 参院選控え、生活保護削減のカモフラージュか-田中龍作ジャーナル(2013年5月18日)

http://tanakaryusaku.jp/2013/05/0007122

日本の子どもの貧困率は15・7%(厚労省2009年調査)でOECD加盟国中でも高い水準にある。特に親が一人しかいない子どもの貧困率OECD中、最下位だ。遺児の母親の勤労年収は149万円(あしなが育英会調べ)という低さである。

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17日、政府は生活保護費を切り下げ、なおかつ生活保護申請を絶望的なまでに難しくすることなどを盛り込んだ法案を国会に提出した。参院選を間近に控え「子どもの貧困対策法」はカモフラージュにも見える。

原発事故・子ども被災者支援法」と同じく議員立法であることから、「子どもの貧困対策法」は政府の手厚いバックアップを得にくい。しっかりとした予算措置を伴った制度でなければ貧困は連鎖する。子どもの顔が暗い国に未来はない。

9歳で父親を亡くし、奨学金で高校、大学に進学した下村文科相
「日本は他国に比べて公的教育支援が少ない、お金のことを心配せずに進学できる環境づくりをしたい」と宣言

子どもの貧困対策 今国会で法律制定を-NHK(2013年5月18日)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130518/k10014673911000.html
http://megalodon.jp/2013-0518-2207-12/www3.nhk.or.jp/news/html/20130518/k10014673911000.html


子どもの貧困対策を進める法律を作る動きが出ているなか、市民団体が集会を開き、今の国会での法律の制定と実効性を持たせるため子どもの貧困を減らす数値目標を盛り込むべきだと訴えました。



集会は、子どもの貧困問題に取り組む市民団体などが開きました。
国の調査では、貧困状態にある子どもの割合は15.7%で、特に一人親世帯では50%を超え、先進国の中で最も高くなっています。
このため、国会議員の間で子どもの貧困対策を進める法律を作る動きが出ています。

いま子どもたちの貧困に目を向けねば、未来は大きく蝕(むしば)まれる-東京新聞(2013年5月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013051702000103.html

英国のブレア元首相は、政権獲得前の党大会の演説で、こう言って喝采を浴びた。「政府の最優先課題を三つ挙げろと尋ねてほしい。教育、教育、教育だ」

その政権を財務相として支えたブラウン氏は首相ほど華も人気もなかったが、雄弁家のブレア氏をうならせる名言を吐いている。「子どもは人口の20%だが、未来の100%だ」

1980年代、サッチャー政権の構造改革で英国病を脱した英国はしかし、新たな病を得た。格差が広がり、貧困に苦しむ子どもが急増した。70年代半ばに5%だった児童の貧困率は、90年代半ばには14%にも達した。そこで登場したブレア政権の取り組みで、2005年には10%にまで抑えた。

では、日本の子どもの貧困率はいかほどか。経済協力開発機構OECD)によれば、85年に11%だったのが、09年には15.7%にもなった。

であるのに、子育て支援などに費やされる公的な支出は、国内総生産(GDP)の1%。英国やフランスは3%台だ。児童の貧困率は先進三十五カ国中で九番目に高く、対策費のGDP比は下から七番。さて、政治の貧困度は何番目だろうか。

さすがに、「子どもの貧困対策法」制定を求める声が広がり、議員立法の動きも本格化してきた。あすは東京で市民集会も開かれる。いま子どもたちの貧困に目を向けねば、未来は大きく蝕(むしば)まれる。