(私説・論説室から)古墳時代の方が… - 東京新聞(2020年12月2日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/71842

もしかして女は古墳時代の方が生きやすかったんだろうか。国立歴史民俗博物館で開催中の「性差(ジェンダー)の日本史展」(六日まで)を見に行き、濃密な内容に刺激を受けつつ、切なさもこみあげた。
展示や図録によると、弥生時代後期(一世紀後半)から古墳時代前期(四世紀)にかけて、女性首長は一般的に存在していた。前方後円墳に埋葬される女性首長の割合は三割から五割。男性の場合は鉄のやじりか甲冑(かっちゅう)が一緒に埋葬されているため、性別がおおよそ判別できるのだという。
三割は、政府が二十一世紀になって「指導的地位に占める女性の割合」の目標としている数字だ。今年までに達成することを目指していたが、できずに延期した。
男性優位・父系原理の国家体制を決定付けたのは、七世紀末に始まった、中国の法体系(律令(りつりょう))の導入。明治維新後に作られた法体系も女性を排除する方向に働いた。
いい意味で心がへとへとになった展示の最後、元厚生労働省事務次官村木厚子さんのインタビュー動画に少しだけ励まされた。「制度で排除されてきたものを、制度でまた取り込んでいくことができるんじゃないか」
来館者には若い女性グループやカップルもいた。彼女ら、彼らが生きやすい社会にするためにも、分厚い岩盤に穴を開けなければ。 (早川由紀美)

 

少年院の少女 素顔を知って 自助団体の女子代表が本出版 - 東京新聞(2020年12月2日)

www.tokyo-np.co.jp

 

女子少年院の少女たち ―「普通」に生きることがわからなかった

女子少年院の少女たち ―「普通」に生きることがわからなかった

  • 作者:中村すえこ
  • 発売日: 2020/11/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 


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(政界地獄耳)「五輪中止」その議論がないのが問題だ - 日刊スポーツ(2020年12月2日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202012020000058.html

★11月30日、NEC東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの1年延期に伴い、本来は年末に期限を迎えるスポンサー契約を延長する方向で大会組織委員会と調整していることを明らかにした。スポンサーは金額に応じて「ワールドワイドオリンピックパートナー」「ゴールドパートナー」「オフィシャルパートナー」「オフィシャルサポーター」とランク分けされており、スポンサー契約料は五輪史上空前の約3500億円になる。NECはゴールドパートナーで年間25億円といわれている。ちまたで言われている1年延期に伴う費用とコロナ対策費の3000億円と重なる。

★大手旅行会社や航空会社などはリストラを宣言しているがスポンサーを続けるのだろうか。立憲民主党国際局長・亀井亜紀子は雑誌の取材に「東京オリンピックパラリンピックを来夏に開催することは、現実的には難しい。開催すべきではありません。スポンサー企業も、本音では開催を望んでいないのではないでしょうか」と問い「一部の人が来夏の開催にこだわっているので、現場が付き合わされている、というのが実情ではないでしょうか」と指摘する。

★亀井の言うようにその一部の人たちは来夏の五輪をやるかやらないかの議論を封印し、規模をどうするか、客を入れるか否かばかりを議論するが、世論調査では軒並み7割近くが中止を望んでいる。Go To トラベルに既に1兆円がつぎ込まれ、今後も来年の大型連休まで続けるという。1日、官房長官加藤勝信は首相・菅義偉から「防災減災、国土強靱(きょうじん)化のための5カ年加速化対策。仮称でありますが、取りまとめるよう指示があった」と会見で説明。5年で15兆円を計上する計画だ。政界関係者が言う。「五輪中止を日本政府と都が決めれば1000億程度の違約金が発生する。場合によっては増税してもでも払ってすっきりさせたらどうだ」。五輪関係者は猛烈に反発するかもしれないが、その議論がどこにもないことも問題だ。(K)※敬称略

 

(政界地獄耳) おちょこで決まる税金の使い道 - 日刊スポーツ(2020年12月1日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202012010000067.html

★来年に開催予定の東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの延期とコロナ予算対策費に3000億円がかかると読売新聞が連日スクープで書き立てるが、どこが用意してどう運用するのかの主語がない。今月5日に国会は閉会するが、こんな予算も野党や議会のチェックもなく政府与党で決められていくのだろうか。税金の投入は場合によってはちゅうちょなく進めるべきだが「精査に関して誰も知らない」「いつの間にか」「政府が予備費から出した」など、結論だけ発表されることが増えている。

★それだからこそ国会を閉じずに、いつでも委員会が開けるようにしておくべきではないか。通年国会にして不具合があるのは学術会議問題や、桜を見る会のゆくえなどの追及を恐れる与党だけ。心ある自民党議員にも同様の思いがある。だが野党は3週間前から会期延長を求め続けたが、自民党から返答はない。国会はだらだらと閉会していく。

★もうひとつの巨大事業、大阪・関西万博について元大阪府知事で元大阪市長橋下徹、現市長・松井一郎、現知事・吉村洋文が大阪の経済活性化のために大阪・関西万博はどうあるべきかを考えるフォーラム「万博2025 どうなる日本? どうする大阪!」にそろい踏みした。その中で橋下は15年12月、松井、吉村とともに当時の首相・安倍晋三官房長官菅義偉との酒席を振り返り「万博が実現したのは松井さんの政治力。安倍さんのおちょこに酒をついで『(万博は)必要ですよね総理』と口説いた」と暴露。「お酒をつぎ倒して実現した」と解説すると、吉村も「おちょこ事件」といって「あの事件以来、グワーッと動いた」と振り返った。国民の税金はこうして使い道が決まっていくようだ。(K)※敬称略