<金口木舌>過ちを繰り返さないために - 琉球新報(2023年1月14日)

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「『戦争するんじゃないかねー』って心配さ」。年明け、本紙を愛読する妻の祖母が不安げな表情でつぶやいた。沖縄戦を生き抜いた90代の祖母。「孫やひ孫に同じ経験をさせたくない」。平和への思いは強い

▼昨年末の「安保関連3文書」の閣議決定もあり、本紙も防衛、安保関連の記事に紙面が割かれる。新年からも「中国と長期戦想定」「配備増強『島が要塞(ようさい)化』」とおどろおどろしい見出しが躍る
▼主にニュースの出どころは日本の中央からだ。自衛隊施設へのミサイル配備の動きや補給拠点整備、司令部の地下化など矢継ぎ早に情報が流れ出てくる
▼戦前、戦中、新聞はプロパガンダだった。大本営発表を垂れ流し、フェイクニュースで戦意高揚に加担した。沖縄の新聞も同様だ。偽りの情報で県民を戦場へ駆り立てた
▼情報あふれる今こそ、中央の発信だけに頼らず、不安を抱く小さな声にも耳を傾け、「危機」の実態を問い、安保戦略や防衛計画の妥当性を検証する必要がある。過ちを繰り返さないためにも。次の戦争を止められるのは今しかない。