<金口木舌>時計の針はどこへ向かう - 琉球新報(2023年1月13日)

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かつての北谷町の印象を聞くと、高齢の人は「何もなかった」と答えることがある。民間調査で「住みたい街」1位にもなる現在の姿と結び付かないが、閉塞(へいそく)感が強かった

▼日本復帰時、北谷村は面積の半分以上が米軍基地。まちづくりをする場所もなかった。復帰を節目に策定したのが、基地返還の推進を掲げた村振興計画だった
▼先日、歴代北谷町長による座談会があった。辺土名朝一さんは復帰時に県外自治体を視察し、長期計画によるまちづくりを学んだ。計画に基づき村が求めたハンビー飛行場やメイモスカラー射撃場の返還は飛躍の原動力になった
▼気になる計画も進む。自衛隊の配備強化や米海兵隊の新部隊創設など、沖縄を要塞(ようさい)化する動きだ。13日の日米首脳会談でも計画推進を確認しそうだ
▼歴代県政の振興計画は基地の整理縮小による「平和で豊かな沖縄」を将来像に掲げてきた。跡地利用だけでなく、重い基地負担の解消や沖縄戦を繰り返さない決意の反映だ。県民の頭越しで進む日米の計画にどう向き合うか。分岐点にいる。