[衆院沖縄3区補選]地域振興どう進めるか - 沖縄タイムス(2019年4月5日)

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衆院沖縄3区の補欠選挙は、9日の告示まであと4日となった。
辺野古問題と並んで見逃せないもう一つの争点は、暮らしに密着したソフト分野の政策と地域振興である。
県が昨年7月から9月にかけて実施した県民意識調査によると、「重点的に取り組むべき施策は何か」との問いに対し、最も多かったのは「子どもの貧困対策」(42・1%)だった。
2位の「基地問題」(26・2%)、3位の「観光」(26・1%)など、他の項目を大きく引き離しており、県民の関心の高さがうかがえる。
立候補を表明している自民党公認で元沖縄担当相の島尻安伊子氏(54)は、政策発表会見で明らかにした「四つの挑戦」のいの一番に、子どもの貧困対策を取り上げた。
沖縄担当相として2016年度沖縄関係予算に10億円の経費を計上、県内各地をこまめに回り、懇談会やシンポジウムなどで現場の声を聞いてきた。
無所属で「オール沖縄」勢力が推すフリージャーナリストの屋良朝博氏(56)は、これまでの公共事業主導の振興策をあらため、人材育成、社会福祉の充実にシフトすべきだと訴える。 
子どもの貧困問題を「一丁目一番地の最重要政策」と位置づける玉城デニー知事の後継者として、人への投資を強調する。
子どもの貧困対策は、問題解決に向け、社会的な機運を絶やさないことが重要だ。これまでの施策の効果を点検し次につなげてもらいたい。

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地域振興を進める上で欠かせないのは、県土の均衡ある発展に配慮することである。
沖縄観光は依然として絶好調であるが、観光客が素通りしてしまう地域も少なくない。そこをどうやってテコ入れするか。
島尻氏は、沖縄全体の底上げのためには中北部の再活性化が必要だと強調する。
特に沖縄、うるま、名護の3市と北部地区については、沖縄アリーナ整備構想や国際物流拠点としての中城湾港整備、地元負担のない北部基幹病院の実現など、数多くの振興策を掲げている。
屋良氏は、沖縄を物流拠点と位置づけ、中北部地区に中継貿易の拠点形成をめざす、としている。
観光で北部を元気に、との考えから、観光の新名所として「琉球ビレッジ」を整備することや、ヤンバルを周遊する路面電車(LRT)の整備、などを提案する。
振興策にはハード分野とソフト分野があり、どこに重点を置くかで候補者の違いがはっきりするだろう。

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沖縄県は、2022年5月に、復帰50年という大きな節目を迎える。沖縄振興特別措置法に基づく現在の沖縄振興計画は、12年度から21年度までの10年計画である。
「ポスト復帰50年」をどう構想するか。現行の振興計画は期限切れ後、どうするか。従来の手法を踏襲するのか、改めるのか。改めるとすればどこを改めるのか。
その議論を本格的に始める時期が来ている。