[大弦小弦]県外の子ども食堂を取材中、小学校低学年の女児が一時行方不明に・・・ - 沖縄タイムス(2019年2月28日)

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県外の子ども食堂を取材中、小学校低学年の女児が一時行方不明になった。食堂前の空き地で遊んでいたが、いつのまにかいないという

▼取材どころではなく、スタッフに交じって夕暮れの見知らぬ街を約1時間捜し回った。事故や事件に巻き込まれた可能性など、想像したくない事態が頭をよぎった

▼女児は近隣の駐車場で車の陰に隠れていた。叱られてへそを曲げ、困らせようとしたという。複雑な家庭事情も垣間見えた。ボランティアの自発的な活動だが運営は相応の備えや緻密さが必要だと痛感した

▼子どものおなかを満たすと同時に、心を満たす機能が求められる。継続するにはむしろ食事を媒体として、子どもの話に耳を傾けることの方が重要かもしれない

▼コンビニチェーンのファミリーマートが3月から全国2千店で「こども食堂」を始める。評価する声もあるが、イベント的な開催では子どもとの丁寧な関係づくりは難しい。本部の指示で店員がやらされるなら子ども食堂の理念とは懸け離れる。企業として店員の賃金や労働環境を改善する方が社会貢献、との意見もある

▼子ども目線で考えると、誰に見られるか分からない地域のコンビニで「支援」は受けづらく、困難を抱えた子ほど利用は難しい。善意で子どもの心を傷つけることもある。慎重な対応を求めたい。(田嶋正雄)