「ウーマンラッシュアワー」村本大輔さんが沖縄訪問 県民投票実施を求めハンストの男性にインタビュー - 毎日新聞(2019年1月17日)

https://mainichi.jp/articles/20190117/k00/00m/040/005000c
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お笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔さん(38)が16日、沖縄県を訪れ、米軍普天間飛行場宜野湾市)の名護市辺野古移設の賛否を問う県民投票(2月24日)の実施を求めて宜野湾市役所前でハンガーストライキ(ハンスト)をしている「『辺野古』県民投票の会」の元山仁士郎代表(27)を励ました。村本さんは「勇気のある活動が多くの人に響き、みんなが考えればいい。とにかく応援している。来てよかった」と語った。
ウーマンラッシュアワー」は2013年の最も面白い漫才師を決める「THE MANZAI」で優勝。村本さんは沖縄の米軍基地や原発など時事問題をネタに漫才を展開し、ツイッターでも自らの意見を積極的に発信している。宜野湾市沖縄市など県内5市が県民投票の実施を拒否したことに抗議して元山さんが15日からハンストを始めたことを知り、休暇を使って駆け付けた。
村本さんはインターネットで配信するラジオ向けに、市役所前で初対面の元山さんにインタビュー。「なんでハンストをやることになったの」「『辺野古の人は(移設を)OKしている』とかよく言うじゃないですか。どう思う」「このエネルギーはどういうところから出ているの」などと漫才でみせるような早口で矢継ぎ早に質問を投げかけた。
元山さんは「辺野古の基地建設や普天間飛行場のことについて、将来、子供に『お父さんはあの時何をしてたの』と絶対聞かれると思う。その時に、ちゃんと何をしたか話したいなと。その一つが県民投票に向けて取り組むことだった」と思いを打ち明けた。
そのうえで「沖縄のことを沖縄の人たちで決めたい。賛成でも反対でも自分は納得できると思う。みんなで決めたんだから。賛成だったら日本政府はドンドン進めていくと思うし、反対だったらぜひ考え直してほしい。この普天間飛行場をどうするかということを、日本全体で、沖縄以外の都道府県でこそ考えてほしい」と語った。
村本さんも「僕も地元が福井県おおい町で、原発があって、反対と大きな声では言えない雰囲気がある」「米軍基地の問題でも、僕は沖縄に対して押しつけている部分が国民の意識の中にあると思う」と吐露。「きょうなんか『沖縄行く』と言ったら20歳の女の子が『私も行きたい』と。でも『基地の話を聞きに行く』って言うと急に引かれる。『難しい、やめてよ』って。表の沖縄と裏の沖縄への無関心の温度差がすごい」とも語った。
ホワイトハウス辺野古への移設工事中止を求める署名をモデルのローラさんらが呼び掛けたことにも触れ、「ニュースでは、芸能人が政治的な発言をするのはありかなしかという話になり、その本質が扱われない」と語った。
インタビュー中には、普天間飛行場を離陸した米軍垂直離着陸輸送機オスプレイ2機がごう音を立てて市役所上空を飛んだ。村本さんは驚いた表情で見上げ、「こんなのがずっと続いているんですね」と絶句。元山さんが「これが日常ですね、残念ですけど……」と応じる場面もあった。
 元山さんは村本さんに対し、「民主主義国家と言われている日本において、(市長によって)投票権を奪うということがあり得ていいのかとすごく疑問に思う」「米軍基地問題はやはり日本の問題だし、米国の問題でもある。沖縄の問題だとくくられてしまうのはすごく残念」と訴えた。
約30分間話し合った後、村本さんは「自分の意思を表明して、あそこに座るという彼の覚悟に勇気をもらった。ネット上でいろいろ言われても、彼のように体を張っていく、あの姿が人々を変えていくんだろうなと。来てよかった」と語った。元山さんは「ハンストをいろいろな人が知って考えてくれればいい。村本さんのような芸人さんにも伝わってうれしかった」と話した。【遠藤孝康】