沖縄の今、高校生が実感 全国60人 辺野古、普天間へ - 東京新聞(2018年12月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201812/CK2018122802000253.html
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島袋文子さん(手前左)の話に耳を傾ける高校生ら=沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前で

米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う名護市辺野古(へのこ)での埋め立て作業が続いている。沖縄で今、何が起きているかを学ぶため、東京都や埼玉、長野、沖縄県など各地の高校生ら約六十人が辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前をはじめ県内を回った。沖縄戦の体験者から話を聞き、普天間飛行場を見て、基地負担の重みを体感した。 (村上一樹)
沖縄を訪れたのは「高校生平和集会in沖縄」(主催・同実行委員会)の参加者で、二十二〜二十四日に基地周辺や戦跡を巡り、交流を深めた。
二十三日はゲート前で、辺野古在住の島袋文子(しまぶくろふみこ)さん(89)の話に耳を傾けた。島袋さんは十五歳の時に沖縄戦を体験し、基地建設に抗議する座り込みを続ける。
「死体の浮いた池の、血が混ざった泥水を飲んで生き延びた。日本軍の盾にさせられ命を落とした中学生もたくさんいた。二度と悲惨な戦争をしてはいけないという思いで、毎日座り込んでいる」。島袋さんの言葉に、涙を流す高校生もいた。
前名護市長の稲嶺進さんはゲート前で高校生らに訴えた。「新基地が完成すれば、今後も基地の被害に苦しめられる。次世代の子どもたちに、負担を押しつけるわけにはいかない」
その後、二〇〇四年に米軍ヘリが墜落した宜野湾市沖縄国際大学に足を運んだ。大学屋上からは、普天間飛行場や輸送機オスプレイが間近に見えた。
東京都多摩市の高校三年、大庭暁人(あきと)さん(18)は、基地負担について「沖縄だけの問題ではない。日本の問題として、国民全体で議論していかなくてはいけないと思った」と受け止めた。
埋め立てられる予定の辺野古・大浦湾の近くで生まれ育った高校二年、渡具知和奏(とぐちわかな)さん(16)=名護市=は、今回の交流について「本土の人にも、自分の目で見て心で感じて、沖縄がこれからどうあるべきかを考えてもらいたい」と語る。渡具知さんは毎週末に家族でろうそくを持ってキャンプ・シュワブ前に立ち、新基地反対を訴えている。
高校生平和集会は広島、長崎市などで定期的に開かれている。沖縄での開催は一五年以来、六回目。


大学の屋上から普天間飛行場や輸送機オスプレイを見る全国の高校生ら=沖縄県宜野湾市の沖縄国際大で(いずれも村上一樹撮影)