平和憲法萌芽期、国民の共鳴再演 劇団民芸20年ぶり、日本橋で7日から - 東京新聞(2018年12月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120402000268.html
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グレイクリスマスは、「上海バンスキング」で知られる劇作家・故斎藤憐(れん)さん(一九四〇〜二〇一一年)が手掛け、一九九二年から九九年まで民芸では全国で約三百四十回上演された作品だ。GHQに屋敷を接収された元華族の華子は、ジョージの語る「デモクラシー」に共鳴していく。初演の九二年は、国連平和維持活動(PKO)協力法が成立し、自衛隊のあり方が議論になった時期だった。
今回、新たに演出する丹野郁弓(いくみ)さん(61)は、初演のときは演出助手。「当時もタイムリーな作品と高く評価されたが、再び政治や社会が追いかけてきた」と話す。
GHQが女性の解放を進め、国民主権憲法も促したと感謝する華子に、ジョージが「憲法を支えていくのはピープルなのです。ピープルの心が変わったとき、憲法は変わるのです」と警告する場面がある。丹野さんは「今の時代にこそ心に響くせりふがある」と訴える。
華子役の女優中地美佐子さん(50)が憲法条文を暗唱する場面も印象的だ。丹野さんは「憲法って美しい。美しく読んでほしい」と助言した。中地さんの叔父は南方で戦死している。「兄を亡くした父から『戦争放棄はありがたかった。これを守ることが大事』と聞かされてきた。この作品で若い世代にも何か感じていただきたい」と意気込む。
上演は十九日まで、東京・日本橋三越劇場で。全席指定で一般六千五百円(税込み)ほか。問い合わせは劇団民芸=電044(987)7711=へ