https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/344471
https://megalodon.jp/2018-1114-1117-47/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/344471
おとがめなし、とは腑(ふ)に落ちない。中央省庁の障がい者雇用の水増し問題で、制度を所管する厚生労働省が同省職員の処分を見送る方針を出したことにだ
▼理由は「道義的な責任はあるが、処分に値する違法行為はなかった」から。長年の不手際の責任を職員に問うことは難しいと判断したというが、それ自体が疑問である
▼水増し問題を巡っては、他の省庁では退職した人や死亡者を計上したり、障害者手帳などを確認しないでいいという引き継ぎがなされたり、本人には知らせずに障がい者にしていたケースなど悪質な手法も明らかに。多くの自治体でも単純な集計ミス、認識不足もあった
▼職員個人を処分するという単純な話ではない。長年にわたる組織上の問題が、障がい者雇用のあり方をゆがめてしまったことの重大さを認識しているかどうかである
▼そもそも、なぜ長年放置されてきたのか。なぜ実態把握ができなかったのか。解明されていない。政府の検証委員会では「故意性」は認めなかったが、故意でなければ、制度や法令を熟知していないというもっと深刻な問題があるといえる
▼障がいがあってもやりがいを持って働ける環境づくりやサポートは行政の役割でもある。身内への甘さは同じ過ちにもつながりかねない。責任の所在を不問にしたままでは、信頼回復はない。(赤嶺由紀子)