<税を追う>取材班から いつまで続ける軍拡 - 東京新聞(2018年11月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018111302000128.html
https://megalodon.jp/2018-1113-0925-46/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018111302000128.html

防衛省が来年度予算で初めて「極(ごく)超音速ミサイル」を可能にするエンジンの研究費を要求した。極超音速とは音速の五倍以上の速度域を指し、その速さは現代のミサイル防衛網を突破すると言われる。以前に聞いた自民党国防族議員の話を思い出した。
「中国はマッハ10、アメリカはマッハ20を目指すと聞く。開発されればイージス艦の迎撃ミサイルは当たらない。THAAD(サード)(米軍の高高度防衛ミサイル)もイージス・アショア(地上配備型迎撃システム)でも対応できなくなる」
米国、中国、ロシアの軍事大国で、開発競争が激化しているという。無人機にも搭載可能で、議員は「バスに乗り遅れるな」と言わんばかりにまくしたてた。
頭がくらくらした。軍拡の野望に、人類はいったいどこまで膨大な国家予算を注ぎ、突き進むのか。
米国の無人攻撃機による誤爆で祖母を失い、けがをしたパキスタンの少女ナビラ・レフマンさん=当時(12)=から、二年前にもらったメッセージがある。
「米国は無人機攻撃でテロ指導者の何人かを殺せたかもしれないが、地域のテロはむしろ増えた。無人攻撃機に費やすお金を教育に使えば、この地域を楽園に変えられるはずです」
軍拡の果てに起きている世界の現実を、攻撃型兵器をほしがる日本の政治家はどこまで想像しているのだろう。問われているのは戦争のリアルを想像し、軍拡に頼らずに平和を求め続ける強い意志だ。 (望月衣塑子)