「教育格差」改善進まぬ原因は? ご意見募集 | 長妻さんの寄稿に一言 水無田気流 - 毎日新聞「政治プレミア」(2018年9月25日)

https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20180924/pol/00m/010/001000d
http://archive.today/2018.09.26-003239/https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20180924/pol/00m/010/001000d

長妻昭立憲民主党政調会長の「力の発揮を促す社会政策が持続可能な経済政策となる」は、近年何度も問い直されてきた重要な論点ですが、解決へ向けた実行力ある取り組みがなされているかは疑問です。
周知のように、日本の相対的貧困率の高さや、「貧困の再生産」ともいうべき世帯格差と教育格差の関係は、日本社会の「持続可能性」という見地から見ても、極めて重要な課題といえます。また、たしかに長妻氏のご指摘のように、日本は「子育てや教育にかける予算は先進国の中で、国内総生産(GDP)比では最低レベル」となっています。それゆえ日本では教育費の家計支出割合が高く、つまり「親が子どもの教育費を負担する」構図となっています。一方、国による奨学金は貸与型が大半を占める現状から、低所得層の子どもほど、返還の負担から利用をちゅうちょする傾向も指摘できます。これでは、所得格差が教育格差を生む傾向に歯止めはかかりません。
そもそも「超」のつく少子化の進む日本では、夫婦の完結出生児数(夫婦の最終的な平均出生子ども数)も、2015年現在すでに1.94と2人を割り込んでいます。夫婦が理想とする子ども数を持てない最大の理由は、「お金がかかりすぎる」というもの……。非婚化・晩婚化も進んでいますが、結婚したからといって必ずしも子どもを持たない/持てない人も増加しています。それゆえ、子どものいる世帯の支援は、少子化対策としても、次世代への投資という観点からも、きわめて重要といえます。
この点に関して、個人的には民主党政権時に導入された「子ども手当」の「頓挫」が気になっています。子ども手当導入とトレードオフの形で、10年度税制改革により年少扶養控除は廃止となりました。その後財源不足を理由に、同手当は所得制限のある新児童手当に変更となったのですが、年少扶養控除は復活せず、いわば子育て世帯は重税化されたままとなっています。素朴な疑問ですが、前政権・現行政権ともになぜこの点を不問に付したままなのでしょうか……。
今後の日本社会にとって極めて重要なこの問題に関し、みなさまのご意見をお待ちしております。