(日米地位協定改定)保革超えた行動起こせ - 沖縄タイムズ(2018年9月17日)

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米軍キャンプ・シュワブ近くの名護市数久田で農作業小屋が被弾した事件(2018年)は米軍が捜査に協力せず進展がない。大型ヘリが東村高江で炎上大破(17年)しても、オスプレイが名護市安部の沿岸部で墜落大破(16年)しても、沖縄国際大に大型ヘリが墜落炎上(04年)しても、機体の差し押さえもできず、日本の捜査権が及ばない。
宜野座村の米軍キャンプ・ハンセン演習場で救難ヘリが墜落炎上した事故(13年)では住民の水がめの大川ダムに近接していたため村や県は立ち入りを求めたが、米軍は拒否。土壌調査は7カ月後。安全性の確認まで1年余りも取水停止を余儀なくされた。
日米地位協定によって捜査権や自治権が著しく制約されているにもかかわらず、政府は改定に踏み込まず、運用改善でしのいできた。
凶悪犯罪を巡り米側が日本側への起訴前の身柄引き渡しに「好意的配慮」を払うことや、環境補足協定で汚染事故が発生した場合、米側が立ち入りに「妥当な考慮」を払うことで合意している。運用改善と言っても、米軍の裁量次第なのである。
県は第2次大戦敗戦国のドイツ、イタリアに職員を派遣し比較調査した。
立ち入り権が明記され、緊急時には事前通告なしに立ち入りができる。米軍の訓練や演習は事前通告や承認が必要である。騒音問題など地域の意見を吸い上げる委員会も設置されている。
対等な地位協定へ改定することは主権国家であるかどうかの試金石である。改定に消極的な日本の現状は「半主権国家」と言わざるを得ない。

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地位協定は1960年の締結以来、一度も改定されたことがない。前宜野湾市長の佐喜真淳、前衆院議員の玉城デニー両氏とも地位協定改定を掲げ、一致している。
佐喜真氏は、県がすでに改定を要請している見直し項目を引き継ぐとしている。特に地位協定の運用を協議する日米合同委員会の在り方を変更したい考えだ。
合同委に自治体が関与し、地域で発生する事件・事故の防止について発言できるように改めるとしている。
玉城氏は、最低飛行高度などを定めた航空法に、米軍が縛られない特例法を廃止し、国内法の適用を訴えている。
事故や環境汚染が確認された場合は、自治体の速やかな立ち入りを認めることや、合同委の中に自治体代表が参加する地域特別委員会を設置することを求めている。

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全国知事会は今年7月、米軍に航空法や環境法令など国内法を適用することなど地位協定改定を盛り込んだ「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で採択した。
翁長雄志前知事が2016年7月に要望したのがきっかけで研究会が設置され、その成果である。基地のない知事も賛同している意味は重い。
地位協定改定は、県や政党単独では難しい。選挙戦のスローガンに終わらせることなく、誰が当選しても、国民運動として取り組む必要がある。