(政界地獄耳)パラリンピック開く資格すらない - 日刊スポーツ(2018年8月31日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201808310000262.html
http://archive.today/2018.08.31-015514/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201808310000262.html

★ご記憶の方も多いだろう。駆け出しの記者の頃は日比谷公園前の合同庁舎のエレベーターには障がい者のエレベーターガールがいた。その時の感想は政府の中央官庁が率先して障がい者雇用を守り推進するという断固たる覚悟だった。中央省庁による障がい者雇用の水増し問題は国の33の行政機関のうち、障害者手帳などの証明書類を確認せずに職員を雇用率に算入していたのは、昨年6月時点で27機関の計3460人に上る。

障害者手帳を持っている人か医師の診断書で障害が認められた人に限られるが、各省庁は厚労省による制度の周知が不徹底だったとか、「個人情報ということで手帳を確認しづらかった」と姑息(こそく)な言い訳で自らの不作為を肯定化している。だがこれらの対応は我が国の障がい者の雇用のチャンスを妨げ障がい者への理解に目を背けたに他ならない。この国は2年後にパラリンピックを主催する。障がい者スポーツと障がい者雇用は一体だ。彼らは仕事をしながらパラリンピックを目指す。その彼らから雇用を奪い、大臣の言い訳と陳謝で事が済むと思っているのか。公文書を改ざんすることも昔からやっていたとうそぶく中央官庁の腐り具合はパラリンピックを開く資格すらない。

★09年。第173回国会における首相・鳩山由紀夫所信表明演説で「『人と人が支え合い、役に立ち合う『新しい公共』の概念』、あるいは『人を支えるという役割を、『官』と言われる人たちだけが担うのではなく、教育や子育て、街づくり、防犯や防災、医療や福祉などに地域でかかわっておられる方々1人1人にも参加していただき、それを社会全体として応援しようという新しい価値観』ということになる」と訴えた。その時にはまだ官がここまで堕落しているとは思っていなかった国民も、今、鳩山の指摘に理解を示すのではないか。公の崩壊が止まらない。(K)※敬称略

第173回国会における鳩山内閣総理大臣所信表明演説 - 首相官邸(2009年10月26日)
https://www.kantei.go.jp/jp/hatoyama/statement/200910/26syosin.html

(「新しい公共」)

働くこと、生活の糧を得ることは容易なことではありません。しかし、同時に、働くことによって人を支え、人の役に立つことは、人間にとって大きな喜びとなります。
私が目指したいのは、人と人が支え合い、役に立ち合う「新しい公共」の概念です。「新しい公共」とは、人を支えるという役割を、「官」と言われる人たちだけが担うのではなく、教育や子育て、街づくり、防犯や防災、医療や福祉などに地域でかかわっておられる方々一人ひとりにも参加していただき、それを社会全体として応援しようという新しい価値観です。
国民生活の現場において、実は政治の役割は、それほど大きくないのかもしれません。政治ができることは、市民の皆さんやNPOが活発な活動を始めたときに、それを邪魔するような余分な規制、役所の仕事と予算を増やすためだけの規制を取り払うことだけかもしれません。しかし、そうやって市民やNPOの活動を側面から支援していくことこそが、二十一世紀の政治の役割だと私は考えています。

新たな国づくりは、決して誰かに与えられるものではありません。政治や行政が予算を増やしさえすれば、すべての問題が解決するというものでもありません。国民一人ひとりが「自立と共生」の理念を育み発展させてこそ、社会の「絆」を再生し、人と人との信頼関係を取り戻すことができるのです。
私は、国、地方、そして国民が一体となり、すべての人々が互いの存在をかけがえのないものだと感じあえる日本を実現するために、また、一人ひとりが「居場所と出番」を見いだすことのできる「支え合って生きていく日本」を実現するために、その先頭に立って、全力で取り組んでまいります。