核廃絶の決意忘れるな=「被爆国の責任」政府に−73回目、長崎原爆の日 - 時事ドットコム(2018年8月9日)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018080900210&g=soc
http://archive.today/2018.08.09-053331/https://www.jiji.com/jc/article?k=2018080900210&g=soc

長崎は9日、73回目の原爆の日を迎え、爆心地に近い長崎市松山町の平和公園で、市主催の「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」が営まれた。田上富久市長は平和宣言で、核保有国に対し、核兵器廃絶を掲げた1946年の国連総会決議第1号の決意を忘れないよう訴え、日本政府には、核兵器禁止条約に賛同し、被爆国としての責任を果たすよう求めた。
式典には、被爆者や遺族、安倍晋三首相らが参列し、犠牲者の冥福を祈った。国連事務総長として初めてグテレス氏が出席。米ロ中など核保有国全8カ国も含め、71カ国の代表も参加した。
7月末までの1年間で新たに死亡が確認された3511人の名簿を遺族らが奉安。犠牲者に水と花輪をささげ、原爆投下時刻の午前11時2分、鐘の音に合わせ1分間黙とうした。原爆死没者数は17万9226人となった。
田上市長は平和宣言で、「核兵器は必要だと平然と主張し、核兵器で軍事力を強化しようとする動きが再び強まっている」と懸念を表明。「核廃絶を目標とした決意を忘れないで、人類がもう一度被爆者を生む過ちを犯す前に、核兵器に頼らない安全保障政策に転換することを強く求める」と訴えた。
世界に対しては、国連で昨年採択された核兵器禁止条約の早期発効に向けて協力するよう呼び掛けた。条約に署名しない日本政府には、「唯一の戦争被爆国として、世界を非核化に導く道義的責任を果たすこと」を要求。朝鮮半島の非核化の動きを受け、「北東アジア非核兵器地帯」の実現への努力も求めた。
続いて、被爆者代表の田中熙巳さん(86)が「平和への誓い」を読み上げ。安倍首相は「核兵器のない世界の実現に向けて、粘り強く努力を重ねることがわが国の使命だ」とあいさつしたが、広島に続き今年も核兵器禁止条約に言及しなかった。
グテレス氏は「長崎を核兵器による惨害で苦しんだ地球最後の場所にするよう決意しよう」と呼び掛けた。