<くらし調査隊>PTA ペナルティー!?退会したらあつれきが - 東京新聞(2018年6月30日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201806/CK2018063002000181.html
http://web.archive.org/web/20180630013133/http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201806/CK2018063002000181.html

くらし調査隊にメールがもたらされた。「PTAを退会したら、子どもが地域の集団通学から外された−」。岐阜県の小学校に2人の子どもを通わせる40代の女性の声だ。退会をめぐる大人の事情はあろうが、その制裁が子どもに向かうとは。現場に向かった。 (三浦耕喜)
全校一斉下校の日。他の児童が地区ごとに班をつくり、南の正門から帰る時、まず低学年の弟が裏門から出てきた。やがて高学年の兄も。車で家に向かう。便乗した記者に女性は言った。「こんな扱いをされて1年が過ぎました」
きっかけは2015年、女性がPTA退会を申し出たこと。当初、女性は委員を務めるなどPTAに協力的だったが、「平日昼にも集まれと言われ、仕事も辞めて…」と“PTA離職”に追い込まれた。PTA幹部はさらに求めた。「○○委員長になるクジを引いてほしい」。女性は恐れた。「もう限界。自分も家庭も壊れてしまう−」
ネットで調べると、同じ悩みにあふれていた。その中で女性は知った。「PTAは任意団体で、退会も自由」「全児童のための団体で、非会員への不利益があってはならない」
女性は意を決した。「プール掃除などできる協力はするので退会したい」。だが、PTA幹部の言葉は女性にはどう喝に響いた。「子どもを産んだ以上、PTAは義務だ」。他の幹部も言った。「地域に居づらくなる。子どもがいじめられる原因になる」。そして「退会後は、何らかの『区別』は表れる」と宣告。そのひとつが集団通学からの“追放”だった。
学校、市教委とも「任意団体であるPTAに助言はできても、指導する権限はない」。児童は平等と認めながら、PTAの動きは止めなかった。諸行事の運営をPTAに支えられている学校としては、強くものが言えない構図がある。県教委も「市立校に立ち入れない。解決への祈りを込めて見守る」と対岸の火事を見るようだ。
「働く母親が増えたのに行事で仕事を休み、家計は圧迫。役職も押しつけ合っている。このままでは、PTAは子どもを差別し、家族を不幸にしかねない」と女性は恐れている。

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子どもの健やかな育成のため発足したPTA。その功績は大きいが、近年、各地でPTAをめぐるトラブルも。「私も経験が」「実はこう思う」という話をお寄せください。メール=chousa@chunichi.co.jp=件名に「PTA係へ」と記入を。