小西氏「組織的隠蔽だ」 暴言3佐「国民の敵」は否定 - 東京新聞(2018年4月25日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201804/CK2018042502000132.html
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防衛省統合幕僚監部の三十代の三等空佐が、民進党参院議員の小西洋之氏に暴言を吐いた問題で、同省は二十四日、調査の中間報告を明らかにした。三佐は「ばかなのか」「気持ち悪い」などの発言をしたと認めたが、「おまえは国民の敵だ」との発言は否定した。これに対し、小西氏は「あったものをなかったものにする組織的隠蔽(いんぺい)だ」と反発。識者は「個人の問題にとどめてはならない」と指摘している。 (原昌志、佐藤圭)
防衛省は三佐の言動は自衛隊法の「品位保持の義務」などに違反する可能性があるとして、近く調査結果と処分を公表する方針。
同省によると、三佐は十六日夜、ジョギング中に遭遇した小西氏を「おれは自衛官だ。あなたがやっていることは日本の国益を損なうことじゃないか」「ばかなのか」などと罵倒。小西氏の安保法制への批判的な姿勢が念頭にあったという。また「(すぐに警察を呼ぶような)そういう行為が気持ち悪い」とも発言。最終的に「大変申し訳ありませんでした」と謝罪した。
これに対し、小西氏は二十四日、取材に「『国民の敵』は大きな声で二、三度言われた」と説明。この発言に「シビリアンコントロール文民統制)が崩壊する重要な話だ」と感じ、現場で豊田硬防衛事務次官に電話をしたといい、「事実がねじ曲げられている」と憤慨した。現場では三佐に、戦前の五・一五事件二・二六事件を例に出しシビリアンコントロールの重要性を説いたという。
水島朝穂・早稲田大教授は「『国民の敵』は『非国民』に匹敵する言葉。独り歩きさせないために防衛省が火消しに走った可能性はある」とした上で、「指揮中枢にいる幹部自衛官が、国会議員に暴言を吐いたこと自体が重大問題。個々の言葉を否定したところで本質は変わらない」と指摘。
飯島滋明・名古屋学院大教授は「『国民の敵』の発言がなかったとしても、主権者が選んだ国民代表に従うシビリアンコントロールの観念が、自衛隊に浸透していないと思わざるを得ない。個人の問題ではなく組織全体で再発防止が必要だ」と話す。