陸自「不存在」イラク派遣日報発見 公表まで3カ月 防衛省 - 毎日新聞(2018年4月3日)

https://mainichi.jp/articles/20180403/ddp/001/010/003000c
http://archive.today/2018.04.03-101829/https://mainichi.jp/articles/20180403/ddp/001/010/003000c

小野寺五典防衛相は2日、国会で「存在しない」と説明していた陸上自衛隊イラク派遣時の日報が見つかったと発表した。陸自では昨年、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報を隠蔽(いんぺい)していたことが問題になり、当時の稲田朋美防衛相らが引責辞任した。小野寺氏は「さらなる文書の探索を行うなど適切に対応していきたい。文書を見つけられなかったことをおわびする」と陳謝した。
日報は2004〜06年の376日分、約1万4000ページ。
当時、陸自が派遣されたサマワの宿営地内外には迫撃砲やロケット弾が撃ち込まれ、治安面の不安が指摘されていた。
昨年2月16日、野党議員の資料要求に不存在と回答し、同20日の衆院予算委員会では稲田氏が「残っていないことを確認した」と答弁していた。
しかし、南スーダン日報問題の再発防止策の一環として統合幕僚監部が昨年7月から各部局に散在する日報を集約したところ、陸上幕僚監部研究本部(現在の教育訓練研究本部)で電子データが見つかり、今年1月12日に陸幕総務課に報告した。衛生部は1月26日に紙媒体で残っていることを確認した。陸幕から統幕には2月27日に報告された。
防衛省は、公表までに少なくとも3カ月近くかかったことについて「確認作業をしていた」と釈明した。小野寺氏には3月31日に報告したという。同省は資料要求した野党議員に今月半ばをめどに日報を提出する。
一方、防衛省は「日米の『動的防衛協力』について」と題する文書について、昨年5月の情報公開請求に対し、本来開示すべき3文書のうち一つしか開示していなかったことも公表した。3月30日の衆院外務委で共産党穀田恵二氏から「同じ表題で内容が違う文書がある。開示時に意図的に抜き取ったのではないか」と指摘され、確認した結果、31日に内容が類似した2文書が見つかった。
それぞれ担当局長と防衛相への説明用で、同省が開示したのは説明後に作成した文書だった。小野寺氏は2文書を開示しなかったことについて「意図的に(開示内容を変えた)ということではなく、内部資料用だと認識している」と改ざんを否定した。
防衛省は、穀田氏が所持する文書が2文書のどちらかと同一かどうかを明らかにしていない。
開示は昨年7月と9月に分けて行われ、1回目と2回目の間に文書を更新した記録が残っていた。日米防衛協力課は同省の調査に「不開示部分を特定する作業中、一部に触れてしまったのかもしれない」と説明したという。【秋山信一】