森友 「破棄した」答弁の佐川長官 国税内部も批判 - 毎日新聞(2017年11月22日)

https://mainichi.jp/articles/20171123/k00/00m/040/102000c
http://archive.is/2017.11.22-155211/https://mainichi.jp/articles/20171123/k00/00m/040/102000c

森友学園との国有地売却に関する交渉記録について、国会で「破棄した」と答弁した財務省の佐川宣寿前理財局長。7月から国税庁長官として徴税事務のトップに立ち、税務署の職員たちは納税者の反発にさらされている。動静の伝えられることのない佐川氏だが、現場に自身が悪影響を与えているという自覚はあるようだ。【和田浩幸】
自身の影響は自覚
「納税者からさまざまなご意見が寄せられていることも承知している。特に年明け以降ご苦労をおかけする」。佐川氏は22日、全国税労働組合(全国税、稗田慶三中央執行委員長)との団体交渉の冒頭、「一言申し上げたい」と切り出した。
年明けには確定申告が始まる。職員が新たに逆風にさらされる可能性を認めた発言だが、森友学園には直接言及せず、陳謝もなかった。毎日新聞は佐川氏のコメントを求めたが、国税庁国税広報広聴室が22日、「所管行政に関わらない事柄について答える立場にない」という談話を出したのみだった。
佐川氏の就任直後から、各地の税務署には「書類を廃棄したと言えば許されるのか」「あなたに適正・公平な行政を語る資格があるのか」などといった苦情が寄せられてきた。
稗田委員長はこの状況を踏まえ、佐川氏が初めて出席した10月4日の団交で「現場で苦悩する職員へ何らかの言葉を発するべきだ」と迫った。佐川氏は回答を避け、「明るく風通しのよい職場を作りたい」などと語るのみで、国会と同じく「問答無用」の姿勢を崩さなかった。全国税は10月25日付の機関紙で「職員へ謝る姿勢なし」と批判した。
実際、各地の税務署はこれまでなかったクレームにさらされている。徴収や調査で任意提出を求める資料について、納税者から「来年からは提出しない」と言われたり、領収書がないため仕入れ税額控除を認めなかった際、「おたくのトップは認められている」と嫌みを言われたりするケースが起きている。
佐川氏は長官就任時の恒例だった記者会見も開いていない。全国税の真貝正治書記長は「何を聞いてもやり取りがかみ合わないのは国会と同じ。来年の確定申告ではさらに苦情が寄せられ、現場が混乱する恐れもある。引き続き追及したい」と話している。