「逃げ場所ないなら動物園に」 新学期へ 上野から発信 - 東京新聞(2017年9月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017090102000119.html
https://megalodon.jp/2017-0901-1003-34/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017090102000119.html

逃げ場がなければ動物園にいらっしゃい−。夏休みが終わり、子どもの自殺が最も多くなる九月一日を前に、上野動物園(東京都台東区)が短文投稿サイト「ツイッター」の公式アカウントで、こんなメッセージを発信した。このつぶやきに「逃げていいかな」「温かい言葉をありがとう」と多くのコメントがつき、共感の輪が広がっている。(井上圭子)
「学校に行きたくないと思い悩んでいるみなさんへ」で始まるツイートは三十日付。「敵から逃げる時は、一目散に水の中へ飛び込む」というアメリカバクの写真を添え、「誰かの許可はいりません。脇目も振らず逃げてください。もし逃げ場所がなければ動物園へいらっしゃい」と呼び掛けた。最後は「人間社会なんぞに縛られないたくさんの生物があなたを待っていますから」と結んでいる。
直後からコメント欄は「心に染みた」「迎えてくれる場があるだけで救われる」などの声であふれた。「いじめられていたころの逃げ場が動物園だった」という人は、「死にたくなった日もあったけど、ゾウに『また明日』と手を振ったら、明日も生きてなきゃねって思えた」。共感を示す「いいね」は、一日午前零時で九万五千を超えた。
園によると発信したのは教育普及課のツイッター担当者。「公式アカウントなので個人としてのコメントは控えたい」としながらも、「たくさんの人に見ていただきうれしい」と話す。
元園長の小宮輝之さん(69)も「すごくいい。無料開放してもいいくらい。震災後、一人で来て癒やされている人をよく見かけた。命に触れられる場所。大人も行けばいい」と勧める。
内閣府によると、十八歳以下の自殺率は一年のうち九月一日が最多。二〇一五年八月には、神奈川県鎌倉市の市立図書館が「学校が始まるのが死ぬほどつらい子は図書館へ」と公式ツイッターで呼び掛けた。