https://mainichi.jp/articles/20170628/k00/00m/010/174000c
http://archive.is/2017.06.28-001018/https://mainichi.jp/articles/20170628/k00/00m/010/174000c
「共謀罪」の成立要件を改めたテロ等準備罪を新設する改正組織犯罪処罰法が7月11日に施行されるのを前に、法務省が、同罪が適用された事件で取り調べの録音・録画(可視化)の実施を可能な限り求める国会の付帯決議とともに、適切な運用を求める通達を全国の地検などに送付したことが分かった。国会審議で野党や弁護士会から捜査権の乱用を懸念する声が相次いだことを踏まえ、現場の検察官らに適正な捜査を促す狙いがある。
通達は23日付。法務省刑事局長名で最高検や高検、地検宛てに出された。
検察は裁判員制度開始を前にした2008年から、殺人など裁判員裁判対象事件で可視化の試行を始めた。昨年5月には改正刑事訴訟法が成立し、裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件で、逮捕後の取り調べ全過程で可視化が義務付けられた。可視化に関する部分は19年6月までに施行される見通しだが、テロ等準備罪は対象に含まれていない。
そのため、同罪を巡る国会審議で、日本維新の会などが「自白偏重の捜査が行われ、冤罪(えんざい)が起きる可能性がある」と懸念を表明。自民、公明両党と維新が修正案を提出し、可視化の対象とすることを検討する趣旨の付則を加えた。付帯決議にも「できる限り(可視化を)行うように努めること」と盛り込まれた。【鈴木一生】