http://www.asahi.com/articles/ASK6N5QJNK6NUTIL03V.html
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「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」――。加計(かけ)学園の獣医学部新設計画に揺れた国会が閉会した2日後の20日、計画を巡る文部科学省の新たな文書がまた明らかになった。政権幹部や閣僚らは終日弁明に追われたが、苦しさも見える。
「正確性の面で著しく欠けていたメモが外部に流出した。副長官には大変迷惑をかけたと考えています」
20日午後。松野博一・文部科学相は新たに公開した萩生田光一・官房副長官の「ご発言概要」と題した文書について、こう言った。
萩生田氏と文科省の常盤豊・高等教育局長との面会内容を記したという文書。その存在を認める一方、松野氏が謝ったのは「副長官の発言でない内容が含まれている」との理由だ。
松野氏は今回の文書について、萩生田氏と常盤氏の発言に加え、作成者の課長補佐が内閣府などから集めた情報の「三つの内容が混在している」と説明。文書を公表した午前中の会見ではなかった「(文書は)正確性に著しく欠けていた」という表現を用い、文科省の落ち度をより強調した。
しかし、萩生田氏でなければ、文書に盛り込まれた発言は誰のものだったのか。この点について、松野氏らから明確な説明はないままだった。義本博司総括審議官は「(局長らの)記憶が定かでない」などと繰り返した。
午後にあった菅義偉官房長官の会見では具体的な言及を避ける姿が目立った。
「萩生田副長官が発言を否定しているが、なぜ文科省からこうした文書が出てくるのか」との質問に、菅氏はこう答えた。「私が聞きたいです」。文書の内容について印象を問われると、「萩生田副長官がコメントを発したとおりだと思う」とだけ述べた。
文書には加計学園事務局長の実名などが記されている。獣医学部の新設計画が「加計ありきだったのでは」との質問には、「今治市は設置のきちんとした提案を出している。話題として出るのは当然」と強調。そのうえで「文書の詳細については文科省から確認してほしい」と繰り返した。(根岸拓朗、岡戸佑樹)
■「ご注進」の職員、実は連絡役
「直接の担当者でもない。陰で隠れてご注進した」。山本幸三・地方創生相にそう非難された内閣府の職員が、実は特区について他の省庁との連絡役を務める担当職員だったことが明らかになった。20日午後にあった民進党の調査チームの会合で、内閣府の担当者が認めた。
この職員が文部科学省に送ったメールには、実質的に加計学園しか獣医学部の新設に応募できなくなる要件を加えるよう萩生田光一・官房副長官が指示したとうかがえる内容が記されていた。山本氏は16日、国会で職員について「文科省から出向していて、陰で隠れて本省にご注進した」と答弁。20日午前の記者会見で「言い過ぎたことは反省している」と謝罪した。
民進党の会合で、内閣府の担当者は「職員は他の省庁との連絡役。特区の審査に関わらないという意味で、(山本大臣は)『直接担当でない』と申しあげた」と釈明。出席議員は「進捗(しんちょく)を報告するのは本来業務」「最初から(職員に)罪をなすりつけるつもりだった」と批判した。
会合では、この日に文科省が公表した文書についても取り上げられた。「官房副長官が話していないのに、これだけ詳細なメモを文科省の職員が作ることはあり得ない」と萩生田氏の関与を問う声が相次いだ。
会合には蓮舫代表も出席し、「国会が閉じるのを待っていたかのように文書が次々と出てきた。いつ国会が開かれてもいいように準備を」と疑惑追及を強める姿勢を示した。(小早川遥平)