今治市がたった一日で即決した96億の補助金 安倍首相が会見でスルーした加計疑惑が再燃 (今西憲之さん) - AERA dot. (2017年6月19日)

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安倍晋三首相は通常国会閉幕に伴い、19日夕に官邸で記者会見した。
首相の「腹心の友人」が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、「総理のご意向」などと記された文部科学省の内部文書が存在することが同省調査で明らかになったが、首相は「2転3転し、国民の不信を招いた」「印象操作のような議論に対して、つい強い口調で反応してしまう。そうした私の姿勢が、結果として政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省している」と謝罪。だが、これまで通りの主張を繰り返し、特に中身はなかった。
そんななか、加計学園愛媛県今治市獣医学部を新設する計画を巡って新たな疑惑が地元で浮上している。
大学設置認可申請書の締切日にあたる今年3月31日、加計学園今治市に対し、96億円の補助金申請をし、菅良二・同市長はなんと即日に交付を決定。
加計学園に対し、通知していたことを示す、公文書を筆者は入手した。
地元では「96億円は市の歳出の12%に相当するのにずさん過ぎる。あまりに露骨だ」と非難の声が上がっている。
獣医学部の建設予定地約16.8ヘクタール(評価額36億7500万円)は、今治市から加計学園へ無償譲渡されることが決まっているが、さらに県と市から補助金として大学校舎、施設整備費など192億円の半額、96億円を出すことが決定。
筆者が入手した<今治市立地事業費補助金交付決定通知書>という文書によると、加計学園の加計晃太郎理事長名義で<申請書>が出されたのは、3月31日。そして今治市が<交付決定通知書>を出したのも3月31日。申請にかかる書類が起案されたのも、3月31日だ。
安倍首相の「総理のご意向」文書が出されたのは2016年10月17日。
その直後、加計学園獣医学部建設にあたり同月31日にボーリング調査の申請書を今治市に提出した。
その時も即日に許可が下りていた。
これほど大きな事業、巨額な金額を支出するのに、たった1日ですべてが完結している。通常の「お役所仕事」では考えられない手際の良さだ。
一方、加計学園が申請した補助金。その<要綱>には補助金事業は<原則として競争入札>とされている。獣医学部の建設工事現場に張り出されていた設計者のSID創研は加計学園のグループ企業。建築を請け負ったアイサワ工業は、自民党・岡山1区の逢沢一郎衆院議員の従兄が経営している会社だ。
また地元住民たちが建設費が高いとして加計学園に対し、たびたび大学の建築、設計に関する図面などの書類を公開するように求めているが、オープンになっていない。
「本当にきちんと入札が行われたのか、疑問」(前出の市民団体)
「県や市は当初、補助金は64億円が上限としていた。それがフタを開けてみれば、合併特例債など別財源で約30億円も上乗せしている。加計学園が千葉県銚子市千葉科学大学を数年前、設立した際も、銚子市は約80億円を投じたあげく、財政破綻寸前まで追い詰められました。今治も二の舞いになるのではないか」(市議会関係者)
加計疑惑はまだまだ燻りそうだ。(ジャーナリスト・今西憲之)