18年4月開学「内閣府に計画作らされた」 本紙に前川前次官が証言 - 東京新聞(2017年6月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201706/CK2017060202000126.html
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安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡り、前川喜平・前文部科学省事務次官(62)は一日、本紙のインタビューに応じ、昨年十月ごろ、特区を担当する内閣府からの指示で文科省が「二〇一八年四月開学」を前提とした開学スケジュールを作成させられたと証言した。「一八年四月開学するまでの段取りを、(特区担当ではない)文科省で作れということ自体がおかしい話だった」と内閣府の対応を批判した。
スケジュールを記した文書は、野党が入手した資料に含まれており、前川氏はこの日のインタビューで、当時、同様の文書を示され、担当課から報告を受けたことを認めた。
文書は「今後のスケジュール(イメージ)」との表題が付いたA4一枚。昨年十月〜一八年四月の開学まで時系列で、学部新設までの必要な手続きを列記している。例えば、昨年十月は「国家戦略特区諮問会議(方針決定)」、同十二月は「特定事業を実施すると見込まれる者の公募 ※最短8日間」、今年八月は「審議会の審査を経て、文科大臣が認可」などと書いてある。
それとともに、「競合があった場合、事業者選定にさらに時間がかかる見込み」などと文科省側の懸念事項も赤色で添えられている。
前川氏はインタビューで「昨年九月二十六日に内閣府文科省の専門教育課とがやりとりしたとき、内閣府の審議官からスケジュールを作れと言われて作った文書」と明かした。
前川氏によると、昨年九月から十月にかけて、内閣府は一八年四月開学を前提に、獣医学部新設に慎重な文科省に早期対応を迫っていたという。前川氏は当時のやりとりを記録した文書の存在も証言しており、その中には内閣府からの伝達事項として「平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」との文言がある。
前川氏は「一八年四月開学は大臣も疑問を持っていたし、(学部認可を判断する)設置審議会を通るかどうか昨年十月の時点では分からない。開学の時期まで指定されるのはおかしな話」と振り返る。
内閣府が一八年四月開学を前提としていた理由については、「『官邸の最高レベルが言っている』とか『総理のご意向』との説明しかない」と話した。
 (インタビューの詳報を三日に掲載する予定です)

内閣官房参与審議官…要請次々と
加計学園側は昨年八月以降、文部科学省内閣府などに、獣医学部新設実現に向けて働き掛けを強めていた。昨年八月に前川喜平文科省事務次官の元を訪れ「早く進めて」と要請していたとされる学園理事で当時内閣官房参与だった木曽功氏は、翌九月に内閣府で特区を担当する藤原豊審議官を内閣官房の執務室に呼び、特区の状況などを説明させていた。
藤原氏はこれまでの国会答弁で、昨年の春と九月に木曽氏と面会したことを認め、「他の特区のことも含め最新の状況を説明した」と述べている。面会は三十分程度で、特区制度の概要や最新の状況全般について木曽氏の質問に答えたという。獣医学部新設について「他の項目とともに一般的な説明をした。木曽氏が学園理事だったことは知らなかった」と答えている。
木曽氏は本紙の取材に「全国の国家戦略特区での取り組みを幅広く尋ね、説明を受けた。問題があるとは思っていない」と回答した。
一方、学園の加計孝太郎理事長は昨年九月六、七日に松野博一文科相山本幸三地方創生担当相に面会。山本氏には「特区に提案しているのでよろしく」と伝えたという。
木曽氏は文化庁文化財部長や文科省国際統括官などを経て、二〇一四年四月〜一六年九月に内閣官房参与として国連教育科学文化機関(ユネスコ)の文化関係施策を担当した。一六年四月から加計学園理事で千葉科学大学長を務める。

◆木曽氏側が反論「面会、人事の話」
木曽氏が学長を務める加計学園系列の千葉科学大の広報部は一日、コメントを出した。前川氏と面会した趣旨について「学長が知人に頼まれ、前川氏の退官後の身の振り方を意向確認しただけ」と強調した。
人事の話の後、雑談で国家戦略特区の話が出た事実は認めた。だが「『よろしく』くらいは言うかもしれないが、学長から具体的なお願いをする必要はなく、まして圧力をかける理由もない」と反論した。