「共謀罪」法案の閣議決定 首相官邸前で市民が抗議「監視社会は嫌だ」 - 東京新聞(2017年3月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017032102000236.html
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世論の強い反対に遭い、過去に三回廃案になった法案が「テロ対策」の名の下に復活した。二十一日に閣議決定された組織犯罪処罰法改正案。犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の創設を巡って、国会での議論が始まる。「考えただけで罪になるなんて」。閣議決定がなされた首相官邸前では、降りしきる雨の中、法案に反対する市民が抗議を繰り返した。

◆「共謀罪」法案閣議決定
二十一日午前、東京・永田町の首相官邸前で開かれた「緊急行動」には、主催者発表で約三百人が集まり、「監視・密告社会は嫌だ」と声を上げた。
「捜査機関が『準備行為』を見極めるためには、私たちを日頃から観察していることが必要なはずだ」
雨の中、官邸に向かってシュプレヒコールしていた東京都台東区の吉野典子さん(60)が危ぶんだ。「すぐに一般市民が逮捕されることはないかもしれないが、互いに『この人と付き合わない方がいいのでは』などといった萎縮が起き、監視・密告が横行する。そんな嫌な社会にはしたくない」
共謀罪」法案が最初に出された二〇〇三年から反対運動に参加している品川区の安藤裕子さん(65)は「政府は五輪までのテロ対策を強調するが、与党議員の中からも指摘があるように、テロ防止効果は乏しいのが実態だ」と批判した。
文京区の橋本えつさん(75)は「戦前の治安維持法で人々が大変な思いをしたのを見たり聞いたりしている。デモですら共謀罪の対象になり得るので怖い」。渋谷区の大河内むつみさん(69)は「考えただけで裁かれるなんてとんでもない。心の中に国家が手を突っ込んでくる。そんな社会になってしまうのではないか」と憤った。
 ◇ 
日本国民救援会の鈴木猛事務局長(56)はマイクを手に、「話し合いは民主主義の土台だ。民主主義の根幹を否定するような法案は絶対に許さない」と強い口調。
日弁連共謀罪法案対策本部副本部長の海渡(かいど)雄一弁護士は「政府に異議を申し立てる大衆運動にさえ適用されかねない。特定の個人を監視して恣意(しい)的な捜査を可能にし、市民生活を脅かす」と訴えた。