稲田防衛相 虚偽答弁の責任は重い - 毎日新聞(2017年3月15日)

http://mainichi.jp/articles/20170315/ddm/005/070/121000c
http://archive.is/2017.03.14-220353/http://mainichi.jp/articles/20170315/ddm/005/070/121000c

答弁を訂正して謝罪すれば済む問題ではない。
稲田朋美防衛相が14日、これまでの説明から一転して学校法人「森友学園」関連の民事訴訟に原告側代理人弁護士として出廷していた事実を認め、過去の国会答弁を撤回した。
まず経過を確認しておく。
稲田氏は13日の参院予算委員会でも「私は森友学園籠池泰典氏の事件を受任したことも裁判を行ったこともなく、法律相談を受けたこともない」と断言していた。
ところが、森友学園が2004年に起こした民事訴訟の口頭弁論に、稲田氏が森友側の弁護士として出廷していたことを示す裁判所作成記録の存在が発覚した。すると姿勢は一変し、「出廷したことがあるのではないかと推測している」と人ごとのように記者会見で語ったうえで「裁判所の記録がある以上、記憶違いだった」と国会で釈明した。
結果として答弁が虚偽であったことは間違いない。「虚偽ではなく記憶違いだった」という稲田氏の説明は著しく説得力を欠く。
そもそも今回の国有地売却問題は、籠池氏と政治家とのつながりがあったかどうかが大きな焦点だ。
稲田氏は明言は避けながらも同じく弁護士の夫が裁判に関わっていたことは否定していなかった。「(前日まで)自信を持って答弁していた」と言うなら、なぜ自らの接点もきちんと確認しなかったのか疑問だ。
一方で稲田氏は、森友学園の系列幼稚園で園児に教育勅語を暗唱させていることに関連し、戦前の教育勅語を再評価する国会答弁をして野党などから批判を浴びている。
ならば稲田氏は森友学園と近いと見られるのを嫌って、無関係であることを強調したかったのだろうか。
いずれにしても、結局、ウソがばれたから認めたのではないかと見られても仕方がない。閣僚が国会答弁を軽んじるのは許されない。
にもかかわらず菅義偉官房長官は稲田氏の責任について「全く問題ない」と早々と語り、安倍晋三首相も擁護する構えだ。
菅氏は務台俊介・前内閣府政務官岩手県の台風被害視察を巡り「長靴業界はだいぶもうかった」と軽口をたたいて辞任した際には「不謹慎極まりない」と強く批判していた。虚偽答弁の方が責任はより重大だ。この政権の対応も理解に苦しむ。
稲田氏が「籠池氏とは10年来、まったく会っていない」と答弁している点に対しても、籠池氏は一部のインタビューで「1年か2年前、会合でお目にかかった」と語っている。
稲田氏との関係だけでなく、確認すべき点は多い。やはり籠池氏ら関係者の国会招致が必要である。