国有地 格安の謎…査定9億円、学校法人へ1億円で売却 - 毎日新聞(2017年2月16日)

http://mainichi.jp/articles/20170217/k00/00m/040/106000c
http://archive.is/2017.02.16-161610/http://mainichi.jp/articles/20170217/k00/00m/040/106000c

ごみ撤去に8億円、妥当か
4月に開校する小学校建設のため、学校法人に売却された大阪府豊中市の国有地について、財務省近畿財務局がいったん売買価格を非開示としたことに端を発し、売却を巡る経緯に注目が集まっている。土地は評価額を大幅に下回る価格で売却されたことから問題視する声が上がるが、国は地下に埋まったごみの撤去費を差し引いたと正当性を主張。開会中の国会でも取り上げられた。【服部陽】
今春、小学校開校
国が売却した土地(約8770平方メートル)は豊中市野田町にある。取得したのは、大阪市淀川区で幼稚園を運営する学校法人「森友学園」で、今春、小学校が開校する。名誉校長には安倍晋三首相の妻昭恵さんが就くといい、注目度は更に高まった。
元々、この地区は近くにある伊丹空港の騒音対策区域だったため、国土交通省大阪航空局が土地を買い進めてきた。航空機の性能が上がり、1989年に区域解除されたことに伴って区画整理が始まり、一つに集約された広い土地が生まれた。
国はこの土地が不要になり、大阪航空局の依頼を受けた近畿財務局が2013年に売却先を公募。森友学園が手を挙げた。
森友学園は15年5月、土地を借り受ける契約を結び、校舎建設に着手。ただ、地中からガラス片や木くずなどのごみが見つかった。学園側は「国に撤去を任せると時間がかかる」との理由で土地の購入を希望し、近畿財務局は昨年6月に随意契約で売却した。
ここで問題になったのが、近畿財務局がとった売却額の非開示の措置。国の通達により公表が原則だが、学園側が地下ごみの風評被害を懸念し、開示に同意しなかった。これを問題視した豊中市議が、開示を求めて大阪地裁に提訴した。
提訴2日後公表
提訴から2日後、学園側が開示に同意し、売却額は1億3400万円と判明した。学園は「公表しないことで、不当に安く取得したと誤解を受ける恐れがある」と考えたという。
ただ、開示だけで事態は収束しなかった。近畿財務局から依頼を受けた不動産鑑定士は、土地を9億5600万円と評価したことが明らかになり、売却額との開きに注目が集まった。財務省によると、大阪航空局は地下に埋まったごみの撤去・処分費を約8億円とはじき出しており、これが差額の根拠となったという。
産廃処理の費用
8億円は妥当な額なのか−−。大阪航空局は、建設用のくいが打たれる最深9.9メートルまでごみが埋まっていると想定。ごみは産業廃棄物として処理する必要があり、半分程度の約4億円を処分費と見込んだ。ただ、提訴した豊中市議は「それにしても売却額が安すぎる」とみる。
この撤去費の見積もりについて、森友学園籠池泰典理事長は「8億円もかかるとは知らなかった。あくまで土地を買いたいと言ったら、費用は1億3400万円と聞いただけ」と話す。実際にかかった撤去費について、代理人弁護士は「他の工事も一緒になっているので、すぐには分からない」とした。
15日にあった衆院財務金融委員会でも質疑に上がり、財務省の佐川宣寿理財局長は「国交省において適正に算定された」と説明し、火消しを続けている。