共謀罪 過熱 首相「新法」、民進「名称変更姑息」 - 毎日新聞(2017年2月3日)

http://mainichi.jp/articles/20170204/k00/00m/010/110000c
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共謀罪」の成立要件を絞り込み「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を巡る議論が、法案の国会提出前から過熱している。安倍晋三首相は3日の衆院予算委員会で「共謀罪と呼ぶのは全く間違いだ、と言えるものを作る」と述べ、負の印象が染みついた罪名の変更を強調。野党は「姑息(こそく)だ」と批判し、「現行法で対処できる」と追及している。
首相は3日の質疑で「一般の皆さんに『うっかりしたら(自分が処罰)対象になってしまう』という不安がある。今までの不安を払拭(ふっしょく)し全く別のものをつくる」と強調した。
共謀罪の関連法案は過去3回廃案となり、首相も1月30日の参院予算委で「大変な負荷のある法案だ」と認めた。罪名変更は負荷軽減のためで、首相は3日、「犯罪の合意に加え、実行準備が行われて初めて処罰される」と述べ、合意だけでは罪に問えないとした。
岸田文雄外相は処罰対象を従来の「共謀」から「重大な犯罪の合意」に置き換えたと繰り返し、3日は「国際組織犯罪防止条約が(締結に必要だと)求めているのは、重大な犯罪を行うと合意する合意罪だ」と説明。民進党逢坂誠二氏は「犯罪の合意は、共謀そのものだ」と反論した。
共謀罪文部科学省天下り問題と並ぶ政権追及の材料で、野党は連日政府を追及。金田勝年法相の答弁も詰まりがちで、審議は度々中断している。
民進党は、政府が「現行法では対処できないテロ事案」として1月に同党に示した事例への追及も強める。山尾志桜里氏は3日の質疑で、化学薬品によるテロはサリン特別法の政令改定で対応できるとし、航空機の高層ビル突入もハイジャック防止法を適用できるとただした。金田法相は「テロリストがどんな薬品を使用するかあらかじめ予測できない」などと反論した。
首相は法整備ができなければ「東京五輪を開けないと言っても過言ではない」としており、3日は「テロリストの襲撃を防げない(法体系の)穴があるなら、(外国人観戦客の)『おもてなし』として不十分だ」と主張。山尾氏は「新しい法律は必要ない。政府は本来ない法的な穴を(自分で)掘っている」と語気を強めた。【光田宗義】