ベストセラー 「日本会議の研究」販売禁止の仮処分決定 - 毎日新聞(2017年1月7日)

http://mainichi.jp/articles/20170107/k00/00m/040/116000c
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ベストセラー「日本会議の研究」で名誉を毀損(きそん)されたとして、日本会議の源流とされる宗教法人の元幹部の70代の男性が出版元の扶桑社(東京都港区)に販売差し止めを求めた仮処分で、東京地裁は6日、名誉権の侵害を認めて販売を禁止する決定を出した。
関述之裁判長は「販売を継続することで男性は回復困難な損害を被る。問題の部分を削除しない限り販売してはならない」とした。
同書はノンフィクション作家の菅野完(すがの・たもつ)氏が執筆し、改憲運動に力を入れる日本会議の沿革や活動内容を検証した。昨年5月発行で15万3000部を売り上げた。
決定によると、同書は宗教法人が1970年代に青年会機関誌の部数を拡大する運動を展開し、青年会の学生が消費者金融から借金して機関誌を買うことを余儀なくされたと記載。取り立てが激しい時代だったことから「結果、自殺者も出たという。しかし、男性は馬耳東風だった」と記述した。
決定はこの部分について「男性の社会的評価を低下させ、自殺者が出たことを裏付ける客観的資料はない。男性にも取材しておらず、真実でない蓋然(がいぜん)性がある」と判断した。男性側は他にも5カ所について名誉毀損を主張したが、いずれも退けた。
男性側代理人内田智弁護士は「決定を歓迎する」とコメント。扶桑社は「当社の主張がほぼ認められたが一部削除を求められたことは遺憾。決定内容を精査し、今後の対応を決める」とした。菅野氏は「扶桑社と協議して対応を決めたい」としている。【島田信幸、川崎桂吾】