(余録)沖縄で先週末、子育て世代の女性を中心にした… - 毎日新聞(2016年11月24日)

http://mainichi.jp/articles/20161124/ddm/001/070/103000c
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沖縄で先週末、子育て世代の女性を中心にしたフットサル大会「ダイモンカップ」が開催された。5回目の今年は約40チームが「初心者」「チャンピオン」「35歳以上」などに分かれてボールを蹴った。
大会は女性の貧困や孤立を防ぐネットワークづくりを目指し、2012年に始まった。就労支援などのブースを設けたり、食料や書籍の寄付を呼びかけたりして参加した女性たちが人や情報とつながる取り組みを展開してきた。
運営は一般社団法人ダイモン。代表理事の糸数温子(いとかずあつこ)さん(30)は大学院時代に所属したフットサルチームで、結婚して働く女性たちが好きなスポーツを続けることの難しさを知った。
家事や子育てに追われ、夫や子どもらの理解と協力なくしては休日に練習で外出するどころか、自分の時間を持つのさえままならない。大会は誰々さんの妻や誰々さんの母ではなく、名前を持ったひとりの女性として気軽に参加、交流できる場になっている。
離婚率が全国で最も高い沖縄県ではシングルマザーが多く、子どもの3人に1人が相対的貧困状態にある。「生活に困っているのにサッカーをしている場合か」との声を聞くこともある。だが、糸数さんは「一緒に楽しい時間を過ごすことが人生の糧になる。それが生きづらい状況から抜け出すための資本になる」と話す。
貧困は社会や経済の問題であり、スポーツができることは限られている。ただ、心地よい体験を通して人と人をつなぐことはできる。心が折れそうになった時、支えてくれる誰かの顔を思い浮かべられるかどうか。ダイモンカップの意義と役割はそこにある。