クリントン氏の信頼低下、メール問題より深刻 - 英フィナンシャル・タイムズ紙(2016年10月31日)

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議員は選挙区からのフィードバックに反応する。建国の父トーマス・ジェファーソンの設計によって、下院は選挙で選ばれた人と選ぶ人の関係が最も敏感な場となっている。もしトランプ氏の支持基盤が怒れば、共和党議員はその合図に従うだろう。大半の共和党支持者はすでに、クリントン氏は不正直で腐敗していると考えている。そこから、クリントン家は「犯罪組織」だとするトランプ氏の主張を承認するのは、大きな飛躍ではない。
このような扇動的な言葉遣いから抜け出すのは困難だ。攻撃の標的がクリントン氏以外だったら、もっと容易だったろう。再びホワイトハウス入りする前の段階で、クリントン氏は米国史上、最も多くの捜査を受けている政治家になっている。夫のビル・クリントン氏でさえ、これほど多くの捜査と召喚の対象ではなかった。
もし来週勝てば、ヒラリー・クリントン氏はさらに多くの捜査と召喚に直面する。共和党は、告発サイト「ウィキリークス」の助けを得て、新たな調査を開始するのに十分な武器を持っていると考えている。野心を持つ議員にとって、クリントン氏に圧力をかけることは、国民的ヒーローの地位を獲得する絶対確実なルートだ。

■「クリントン財団」はスキャンダルの宝庫

そうした議員を図らずも味方するのが、クリントン氏自身だ。当選した場合、慈善団体「クリントン財団」と家族の関係を断ち切ると同氏がまだ約束していないのには驚く。現時点では、娘のチェルシークリントン氏が日々の財団運営を引き継ぐ計画になっている。これでは不十分だ。疑いを差し挟む余地があってはならないのだ。
クリントン財団はこの疑いを晴らすことができない。財団は多くの政府や企業、資産家から巨額の寄付を受けており、中にはうさん臭い組織や個人が含まれている。立派な大義のために小切手が書かれたという事実は助けにならない。クリントン氏の敵にしてみると、財団はニュースとスキャンダルの宝庫だ。カタールやモロッコなどの政府が、国連や例えば慈善団体「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」ではなく、ビル・クリントン氏を介してお金を回したのは、理由があってのことだ。そうすることで彼らはビル・クリントン氏と接触する機会、場合によっては同氏に対する影響力を得られたと、敵はみている。クリントン夫妻は、財団に寄付した組織の一部から多額の講演料を得ている。